将来有望な少年時代①
幼少期は割愛します。
というか、幼少期まで事細かに書くのは好きじゃないんですわ・・・。
ナルザスの幼少期はどの文献にも書かれていない。
それはナルザス自身が、その過去を穿り返してほしくなかったが故である。
しかしナルザスは6歳の頃、突如として歴史の表舞台に立つ。
それは狩猟具を確りと扱えるようになった事でもあるのだがしかし、6歳でとは驚愕に値する。
というのも当時の成人は良くて9歳頃からであり、3年以上早い成人は珍しかった。
その子が最初の獲物を狩った日、村中がお祝いムードに包まれた。
「すげえなボウズ!あのヘルボアを6歳で仕留めるたぁ、良い腕してるぜ!」
「そんな・・・・・・ぼくなんてまだまだですよ。それよりも狩人頭さんに並ぶ人に早くなりたいです!」
ナルザスを褒める50歳くらいの男。彼はこの村で『狩人頭』を務めていた。
なおヘルボアというのは、体長5mはあるイノシシの一種であり、新人狩人の9割が死ぬほどの突進力を誇る怪物である。
それをナルザスは弓と矢のみで倒してしまったのだから、褒められて当たり前ともいえる。
・・・・・・もっとも、弓矢だけではなく罠や毒矢なども使ったからこその結果なのだが、当時の風潮では【弓矢や毒や罠を使うのは弱い奴の象徴】とされていた。
しかしその弱いはずの武器を駆使して、たった6歳の子供が、新人狩人の9割を死に至らしめるイノシシを狩ったというのは、かなり驚愕する事だったのだといえる。
当時、成人して直後の狩りは死人が多かった。しかし生存して帰ってきて、しかも『遭遇即死亡』と謳われたヘルボアを狩っていた。何度も言うが、当時としては驚くべきことだった。
しかも普通の子供は、自らの狩りの獲物を自慢する上に狩人頭を超えるとか大言壮語を吐く子が多いのだが、ナルザスは自らの獲物の自慢をせず、帰って謙虚に務めた。
だからこそ、村中の大人が彼を応援した。いつか立派な男になると信じて。
曰く「弱き者の武器を使って獲物を狩る雄姿は見事。剣や槍の使い手には成れないだろうが、弓矢だけで獲物を狩るその腕は見事。毛皮には余計な傷もないから衣服にも使える」。
だが一方で、村中の子供たちからは嫌われる事となった。
曰く「自慢もしないし、弱い者が使う弓矢や毒や罠と言った卑怯な手段をとる臆病者」。
それが当時のナルザスだった。
しかしナルザスは7歳の頃、突然村を追いだされる。
追い出された理由は解らない。
村の子供らが彼を追い出したとも、流行病で両親が死んだためとも言われるが、真相は定かではない。少なくともナルザスはそのことに対しては死ぬまで言及しなかった。
もしかしたらそれは、自らを養ってくれた両親や村の人々への、彼なりの感謝だったのかもしれない。