プロローグ2
私が転生してから17年が経過した。
チャイムの鐘の音が響く。
それは、この学園の四時限目の授業の終了を知らせるものであった。
「はい、今日はここまでっ。」
「起立っ」
昼休みが始まる。生物というものは物を食べ、エネルギーを栄養を摂取しなければ生きていくことができない。この学園に通う人間は、この時間に食事をとるのだ。
だから私は、この時間に今日も昼飯を食べる。おかげで『食』の喜びというものを知ることができた。
そこに。
「たっかなっしくーん」
いかにも頭の悪そうな顔面を筆頭とした五人の集団が、馬鹿の出しそうな声で呼び掛けてくる。
「今日の昼飯代、五人分くんないかなー?」
この人間は、この時間になると必ずと言っていいほど現れる。そして昼飯の代金を要求してくる。恐らく、この顔の上半分を覆うまでに延びきった髪の毛と、体の線の細さが相まって、なめられているのだろう。
「…………ほら」
渡したときに、札が擦れて少し音をたてた。
「よしっ、んじゃ、明日もよろしくなっ!」
そう言って彼らは去っていく。これは『イジメ』というのであったか? これもまた人生というものなのだろう。どうせ彼らは昼飯は食べずに、渡した金を何か別のことに使うのだろう。
さて、昼飯を食べ…「大丈夫?小鳥遊君」…ることはかなわなかった。
「毎日せびられてるけど、本当に大丈夫なの?」
「あぁ、大丈夫だよ」
話しかけてきたのは坂本美憂。隣の席の女であった。人間的感覚からすると、『出るところは出ていて肌がキレイで性格もひねくれていない理想的な女の子』であるらしい。つまり可愛い女の子らしいのだが。こればっかりは神であるためわからない。
感情や味覚は理解できたが、美的感覚だけはどうにもわからない。これはもう少し人間で生活し、なれる必要がある。
そういえば、創造神はあれは可愛い女の子なのだろうか?あとで可愛い女の子のデータをとって比べてみよう。
「なにかあったら本当に言ってね?」
「おーいみゆー、そんな厨二放っといて食堂いこー」
坂本の友達が失礼な物言いをしてくる。否定はしないが。なぜなら神だから。厨二病だろう。
「あんなこといってるけどきにしないでね。私食堂行くけど、なにかあったら本当に言ってね?」
「あぁ、まぁ」
もちろん行くことはない。
「お昼ちゃんと食べるんだよー」
「言われんでも」
そう、言われなくても食べる。現に、金をせびられ、話しかけられなければ、今頃弁当の半分は食べ終わっているであろう時間が過ぎていたのだから。坂本は去っていく。
「さて、食うか………」
『いただきます』とは言わない。『死』を司っているのだ。存在しているだけで、死ぬことに感謝しているといっても過言ではないだろう。………やっぱり厨二病だなぁ。
さて、今日の弁当はなんだろうか。先程のとおり、味覚は理解したので味を楽しむことは私の趣味でもある。なので一応飯の時間というものは楽しみにしているのだ。
しかし、私の母親である人は、少し天然なところがある。たまに常人には理解できない、よくわからないことするのであった。夏場に刺身を入れられていることもあったし、炊く前の白米が入っていたこともある。この前など水筒の中に、容量一杯にゼリーが詰め込まれていた。
あの人は、本当に何を考えているのかわからない。
まあ、そうそう無いことであるので、大丈夫であろう。さて、今日の中身はなんだろうか。
早速開けると、今弁当の中身は━━━━
500円と、『買って食べてね 母より』と書かれた謎のメモであった。
━━━━弁当箱の意味。
私はコンビニに行き、おにぎりを食べた。添加物の味がした(←美味しい)
★★★★★★★
さて、5時限目が始まる。私はいつも最初は起きているが、途中で寝てしまう。
なぜならわかりきっていることを学ぶ為だ。
転生したときに、不自由がないようにと、知識は全て記録してしまったのだ。今は物理の時間だ。なんなら新しく物理法則でも作って、新しく学ぶことを増やしてやろうか。(創造神が)
あぁ、でも、世界に反映するときにわかってしまうから結局退屈なのは変わらないか………
「なぜならここは━━━━」
あぁ…今日もお休み、5限目よ━━━━
私はやはりいつもの通りねむってしまった。
だから私は気づかなかった。
「えっ?」
「な、なにっ!?」
「きゃあっ!」
「おい、なんだよこれっ!」
「し、しらねぇよ!?」
教室の床に浮かんだとてつもなく大きな魔方陣に。
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