鑑定魔石
part レヴィ
ぐー・・・ぐー・・・冬眠とはキツいものですね。体の感覚や物事を考える事は出来ますが体が全く動きません・・・強制力がかなり強いですね。
スヤスヤ・・・暇ですねー。皆さんアレから大丈夫でしょうか?少し耳に力を込めて・・・
するとだんだんと回りの物音が聞こえてくるようになってきた。感覚は私が一番最初の目覚めた時と似ている。
馬車の車輪が回る音、馬の走る音、跳ねた時に荷物が揺れる音。周りの最近になって聞き慣れた騒がしい部隊の声が・・・
「ちょトカゲさん!?馬の手綱はどうしたの!!?てか痛い痛い!?マジで痛い!!レヴィちゃんと違って加減できてないよ!!ほ、骨が曲がるううううううう!!!」
・・・ほ、本当に元気ですね。こんな寒い中どうしてあんなにはしゃげるのだろう?というかトカゲって誰?どういう状況ですか?気になりますねぇ・・・
目が開かないのを悔やんでいると何か小さな物を置いた音が聞こえ小さい足音が遠く。おそらくポピー君だろう。彼は唯一この部隊で回復魔法が行える貴重な戦力だ。私も一度救われている。ただ戦闘能力が低く、拙い防衛技術を振り回している程度なので不安が残る。今度一緒に訓練でもしないか誘ってみよう。
などと考えていると近くに誰かの足音が聞こえてくる。うーん?ハルス隊長にしては音が小さいし、さっきから聞こえる会話からしてシジマさんでもタイナさんでもない、じゃあリチャードさんですか。
すると体に突如不快感が出てくる。なんかこう・・・覗かれてるような妙な視線を感じるというか
何でしょう?なんか嫌な予感がします。というかこの魔力の感覚はどこかで?そう、確か王都マギニでの魔王との戦闘の時・・・に
・・・
まさか・・・か、鑑定!?え・・・ちょ!!?しかも魔力も魔王レベル!!!な、なんでそんな高レベルな魔法を使えるのですか!!?いや・・・まて・・・この部隊にそんな魔法を使える人はいない・・・これは・・・魔石の魔術付与?そんな魔石をいったい何処から・・・?いや、今はそれよりも早く抵抗しなくちゃ!!!
必死に体中の魔力を高め循環させる。魔法はある程度魔力で相殺でき、このように魔力を高める事で抵抗が可能なのだが・・・
だ、ダメだ・・・魔王レベルに魔力に対抗仕切れない!!ど、どうすれば・・・ああ、もう!!!
唐突な鑑定という出来事と様々な予想外の重なりで完全にレヴィはテンパっていた。それのせいもあり魔力制御効率は格段に下がってしまっていた。
そしてついに
「・・・マジかよ・・・ああクソ!!!こんなのって・・・」
あ、バレた、どう、しよう、う?あ、ああ?
意識の明滅が激しい。考える事がマトモに出来ない。奈落に落ちていく感覚し、体がガクンと重くなる。遠くなる意識の中聞こえてくる。全てを嘲笑うかのような言葉が
「レヴィが・・・男・・・だなんて・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん!?
part 魔王
「おーい、デュランー」
「なんですか魔王様?また資金を無駄遣いしたのですか?流石に怒りますよ。魔王様のお部屋にあるもの全部売りますよ」
「おま・・・!!サラッとひどい事言いやがったぞコイツ!!それに無駄遣いじゃない、ほら、いつだっけか俺が試しで作った鑑定魔石あっただろ。あれってどうした?まだあれ未完成だから他の魔力付与師に完成を依頼しようかと思って・・・」
「え!?あれ未完成なのですか?」
「うん?その反応だと、もしかしてお前・・・」
「は、はい。第五部隊に支給してしまいました」
「あちゃー、まぁずっと放って置いた俺も悪いしな。後で連絡入れといてやれ」
「それ失敗作だからマトモに機能しないってな」
シリアス「働きたくないでござる」
というわけで第2章のプロローグ終了です。