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蟹騎士様の魔族生活  作者: ホワイト爺
第一章 魔族街デアントの住人
49/74

1-37 蜘蛛騎士

part タイナ


ぐぬぬ・・・不味い


「さーて・・・なんで飲み逃げしたんだ?んー・・・?」


私の目の前には眉間に血管を浮き上がらせたライオンさんと狼マークが入ったバッチをつけた犬、狼の魔族の三人が立っていた。赤髪と鳥魔族は私を預けた後どこかに向かっていった為ここにはいない。


くそう・・・あの赤髪女め・・・アイツさえいなければ今頃酒をたらふく飲んでいたのに


「え、えーとですねー、そう!これには悪の帝王と龍の陰謀が


ズダーン!!!


私の真横に巨大な大剣が振り下ろされる。狼さんが振り下ろしたものだ。


「おい・・・次ふざけたら真っ二つだぞ・・・!!!テメェは俺の部隊に手を出したんだからなぁ!!」


「はい!!喋ります!喋ります!!ペラペラ素直に喋ります!!!」


次ふざけたら真っ二つと言っていたが嘘だろう。きっと四回ぐらい切られて八分にされてしまう。だって目がすげぇ血走っているんだもん。

私は涙目と震えた声で弁解する。


「え、えっとですね・・・私その、ほら美人じゃないですか・・・待ってー!剣を振り上げないでー!最後まで聞いてー!!!」


隣の犬くんが大剣を振り上げてる狼さんを「まぁまぁ」となだめてくれる。めっちゃいい子!


「・・・続けろ」


「はい!!・・・だから毎日毎日男が口説いてくるのよー。別に店の物をサービスしてくれるとかなら私も歓迎なんだけどね、その、無理矢理してくる輩もいるのよ・・・私だって抵抗するために殺さない程度の仕込み毒とか毒糸とか仕掛けたりするけど、だいたいみんな翌日には仕返ししに数を増やしてくるのよ」


「「「あー・・・」」」


三人とも納得というか呆れたような声をだす。魔族ってそういうやつ多いよなー、って顔だ。


「もう、ね、嫌になってたのよ。それの所為で仕事場の女子から妬まれるし、毎日毎日男撃退戦闘を繰り返して・・・お陰で仕事をクビになり、酒に逃げてたのよ。気づいたら糸の扱いは〈達人〉になって、毒に〈腐食猛毒〉なんて増えてたわ。男に見つからないように隠れながら移動してたから〈隠密の達人〉もあったわね・・・」


流石に不憫に思えてきたのか三人とも可哀想な者を見る目になる。全部事実だけどチョロいわね騎士団。


「そんなこんなで新しく出来た街があると聞いてここにやってきたのよ。そこなら見回りの騎士が多いはずだし。なんだけど・・・」


「「「え」」」


「細かいところまでパトロールしてないのね・・・美味しい酒を求めてたら"スプリング"なんて素晴らしい酒屋を見つけたわ。だけどそこは大通りからだいぶ離れててね、騎士さんが来ないのよ」


・・・


「なんか・・・その・・・すまん」


「仕方ないわよ・・・変異モンスターとか反魔王派とか大変なんでしょ。で、えーと、そう!そのお店が夜にしか開いてなくてねー、その間までいろんな店を回っていたのよ。でそこで・・・」


「黒豹魔族のナンパにあったと・・・」


「ええ、あとは貴方達が鳥魔族さんから聞いた事とほぼ一緒よ」


私の話を聞き終え、ふーむ・・・と考え込むライオンさん。おそらくどう罰するか考えているのだろう。どうかお慈悲がありますようにと何度も天に祈る。


そこに天使が舞い降りる。


「あのー、だったら騎士団に入れてあげたらどうですか?」


「ハァ?なんでいれなきゃいけないんだ」


「罰として騎士団で働かせればいいじゃないですか。そうすればこの人の行動を逐一報告に上がりますし、それで暫く何もなければ解放するというのはいかがでしょうか?」


「だが女の騎士なんて・・・そういえばいたな・・・」


「貴方もそれでいいですか?タイナさん」


「え、でも、私は犯罪者よ!そんな事してバレたら騎士団の信用が落ちちゃうわ!」


「いえ、1つだけ大丈夫なところがありますよ。そこは敗残兵の料理好きな狼が隊長として仕切り、身元不明の不気味な蟹が入隊したり、翼のない不良騎士の鳥が初恋していたり、隠れてないと落ち着かない蜥蜴がそれを見守ったり、剣術が全く出来ない犬騎士だっています」


「それカオスじゃないかな!?下手な牢獄より怖いんだけど!!」


「それに貴方にとって損はありませんよ、騎士団に入団すれば悩みから解放されるじゃないですか」


ん?どういう事?頭の中にクエスチョンマークが大量に出てくる。


「だって流石に騎士を無理矢理ナンパする人なんていませんよ。それは魔王様に喧嘩を売る行為になりますからね」


ナンパ地獄から解放される事、それは私にとって願っても無い事だ。思わず身を前に乗り出してしまう。


「で、えーと・・・そんな感じでいいですか団長?」


うむ、と再び考え直すライオンの団長さん。それとは対照的にポカーンとした狼隊長さん。


「へ、ヘイ、ポピーお前自分で何言ってるかわかってるのか?」


「ええ、この人を第五部隊に入れようと・・・」


「おま・・・!?これ以上変人増えたらどうするつもりだ!!俺が大変になるだろうが!!!せ、せめて常識人を入れよう。な?」


「ハルス」


「え・・・いや、待ってくださいよ、何ですかその達観した目は!?う、嘘ですよね。嘘だと言ってくださいよ団長!」


しかし悲しきかな狼さんの願いは儚い。


「コイツをお前の所に入れる。後は任せたぞ」


「・・・・・・・・・・・・はい」




現在


「という訳何です!!ご理解いただけましたでしょうか?」


「マジですか・・・」


「マジのマジマジ大マジよー、ああ、後これ」


私は手に持っていた物をレヴィちゃんに手渡す。白と赤色の騎士団制服だ。


「何ですか・・・これ?」


「レヴィちゃん専用の制服だってさ。とても破れにくい上にいろんな機能があるんだって。魔王様からの贈り物だよ!!」


「アイツは一体何がしたいのですか、はぁ・・・ありがとうございます」


なんか凄い複雑な顔してる。そんなに嫌いなの?だがそれよりも最大の問題点がある。それは


「ねぇ・・・レヴィちゃん」


「何ですか?」


「ちゃんとお風呂入った?」


・・・


何故無言だし

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