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蟹騎士様の魔族生活  作者: ホワイト爺
プロローグ
4/74

0-4助ける理由

part 蟹


ゼリア海外近くの森の中、自然的熱気が強い環境に対応した背の高い木の間を未だに慣れてない体で全力の力を出せないまま駆け抜ける赤い魔族がいた。


ステラは砂浜から森に入り走っていたが、違和感に包まれた。森が静かすぎるのだ。虫とかはいるがエッグリザードのようなモンスターが全然見当たらない。


なんというか・・・嵐の前の静けさですね・・・いったい何が?


気にはなるが、先ずは悲鳴の確認が最初だ。そう思いながら声の発声地点と思われる場所についた。


「この辺りだと思いますが・・・」


私は悲鳴が聞こえた森に入り、声の出所を探していたがそれらしい物は見つからなかった。声が聞こえたということはそれほど遠くではないと思ったが、もしかしたら移動してしまったのかもしれない。


「うーん・・・せめて手がかりがあれば変わるのですが見つかりませんね。足跡なら追えますかね?」


そう思い足跡を探すとあっさり見つかった。

まず大きな人の足があった。ステラの足の3倍以上はあるだろう。そして、3つの同じ位の靴の足跡も見つけた。

この感じとエッグリザードの事からして森に大きな人形のモンスターが現れたのだろう。そしてそれに襲われた三人。

人か魔族かどうかわからないが、確かめない訳に行かないと思い足跡を追いかけようとする。


その時。パァン!と破裂音がなった。ここからだいぶ近いようだ。


「向こうですか!」


私は足に力を込めてドン!という音と共に地面を蹴り軽くクレーターを作りながら全力疾走する。

そしてドォォォォォン!という轟音と地響きが届いてくる。急ぐ心に従い更に足に力を込め再加速する。


私が現場に着いた時視界に写ったのは、足を怪我した様子の鷹の魔族とそれを必死に起こそうとする犬の魔族、そしてそこに拳を降り下ろそうとするジャイアントレッドオーガの姿だった。

その光景を見た私は色々な疑問が湧いた。何故ここゼリア海岸という人間の領土に魔族がいるのか?何故ここにレッドオーガ、しかもその変異種が火山地帯でもないのにいるのか?だがその謎はある言葉ですっ飛んでいった。


「お前ら逃げろぉぉぉぉ!」


この言葉で、私は動き出した。ここは戦場ではない、ならば助けてもいい筈だ。助けを求められた訳じゃない、これは私が助けたいと思ってやることだ。私のやりたいことだ。

メチャクチャな考えなのは理解してる。でも


放っておけなかった。あんな悲痛な声を聞いて放って置いたら自分が自分じゃなくなる気がした。


私は止まりかけた足に力を加え巨赤鬼に跳びかかり、巨赤鬼の後頭部に拳を叩きつける。これが〈拳王〉の拳だと言わんばかりに。巨赤鬼はそのまま倒れる。まだアレは死んではいない筈だ。


私は後ろを振り向き魔族二人に声をかける。


「大丈夫ですか?」



part リチャード


「大丈夫ですか?」その声に答えるのに時間が必要だった。いろんな事が頭の中で廻っていたのだ。

まず何がおきた?俺とポピーはジャイアントレッドオーガに潰されたんじゃないのか?そしてこの目の前にいる赤い1つ目の魔族(まず魔族なのか?)は誰だ?俺達はこの魔族に助けられたのか?俺が混乱している内に隣のポピーが答える。


「え、あ?は、はい大丈夫です?」


何故疑問系。


おそらくコイツも混乱しているのだろう。その答えに赤い魔族は安心した様子を見せる。どうやらこの魔族が助けてくれたようだ。

巨赤鬼をやっつけたのか?と思った時。


「ゴアアァァァァ!!!」


と怒りに染まった雄叫びを上げて起き上がりやがった。くそ!この足じゃ起き上がれねぇし、ポピーの回復魔法も間に合わねぇ!だが俺の焦りとは真逆で、落ち着いた様子で赤い魔族が


「下がっててください」


そう言い、巨赤鬼に向かっていった。それをポピーと2人で口を開けて呆然と見ていると聞き慣れた声が耳に届く。


「おいお前ら無事か!?」


 隊長がこちらに無事かどうか聞きながら走ってくる。それに答えず俺は質問してしまう。


「た、隊長・・・アイツはいったい・・・?」


「バカ野郎!あんまり無茶するんじゃねぇ!!おいポピー魔法をかけてやれ!」


「は、はい!わかりました! すみません先輩、僕のせいで・・・」


ポピーが回復魔法をかけながら耳と尻尾を下げて謝ってくる。ほんとこの辺りが犬っぽいよな。だがこのままだと謝り続けてしまうのでフォローを入れる。


「あんま気にすんなよ・・・レッドオーガがいねぇって言ったのは俺だ、自業自得さ・・・だから謝んなよ。お前はこの第5部隊で唯一回復魔法使えんだ。胸を張りな」


実際その通りなのだ。レッドオーガがいないと言って油断したのは自分なのだから。

ちゃんと警戒していたらその分余裕ができていたのだ。そうなればポピーへのフォローもきちんと出来ていて、こんな傷を負う事もなかっただろう。

それにポピーは回復魔法という珍しい魔法が使える。これで今まで多くの騎士が助けられたのは確かな事実だし、その功績で第5部隊に配属されたのだ。十分誇れることだ。


「先輩・・・」


ポピーが申し訳無さそうな顔をまだしてるが・・・、まぁさっきよりマシになっただろう。と思ったあたりで、轟音がなる。


「・・・アイツはいったいなんだ?」


俺が最初聞きたいことを聞いてきた、というより思わず溢した感じで言葉にする隊長。隊長の目線を追うとそこには巨赤鬼と力対決をしている赤い魔族(化け物)がいた。

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