1-19 飲み逃げ
part レヴィ
私とリチャードさんは騎士団本部をでてデアントの商業東通りに来ていた。
時間は昼過ぎの食事を終える時刻のようで飲食店からいろんな魔族が出てくる。それは1グループのバカ騒ぎする蟻魔族の集団だったり、昼間から酒を呑んでいる妖艶な蜘蛛の魔族やそれをナンパしようとチラチラ様子の伺っている猫の魔族がいたり様々だ。
「さて、どう勧誘したものですかね」
「たしかになぁ、ここにいる奴はだいたい職についてるからなぁ。話だけで勧誘はできねぇだろうな。騎士団の魅力を見せれりゃあいいんだが」
「魅力ですか。うーん」
と、考えているとさっきの飲食店から怒号が聞こえてきた。
「てめぇ!喧嘩売ってんのかオラァ!!」
どうやらさっきの猫・・・いや、違う黒豹の魔族のようだ。そいつが蜘蛛の魔族につっかかっている。
「はぁ・・・参ったわぁ、あたし今いいお酒呑んでるのよぉ。ヒック。ええっと黒猫さん」
「豹だ!!この飲んだくれ蜘蛛!いいから俺と来い!」
「いやよ~。まだ樽4つ分しか飲んでないわ~、まだ二樽飲めるわよ~」
「まだ飲む気かよ!!見ろ!ここの店主涙目じゃねぇか!!少しぐらい遠慮しやがれ!!」
「店員さ~ん。この人にマタタビ酒樽2つ~」
「誰も飲まねえよ!!つか多い!本当になんなんだお前!なんでナンパした俺が疲れてるんだ・・・」
「あ、そうだわ。私の代わりにお勘定払ってくれたら付き合ってあげてもいいわよ」
「・・・いくらだ」
店員が「こちらになります」といい伝票を渡す。そしたら黒豹の目が飛び出した。
「ば、おま!こんな額払えるか!!・・・見たところお前手ぶらのようだがいくらもってんだ?」
「無一文★」
「「ふざけんなああああああああああああああ!!」」
黒豹と店主が叫んだと同時に蜘蛛が猛スピードで向かいの店の天井に登っていく。凄い食い逃げ、いや飲み逃げである。
「待てオラァ!!」
と言い黒豹が追いかけようとするが肩を店主に掴まれる。
「お勘定お願いします」
「え?いやだってアイツの伝票じゃねぇか」
「今はアナタが握ってますよね」
自分の手にある伝票を見てその後再び店主の方を見る。だが顔色が数段悪い。汗もダラダラである。
「・・・嘘だろおい。ちょ待て、お互い話し合えばきっと分かり合える!」
など言い合っていた、すると隣にいたリチャードさんが口を開く。
「ありゃすげぇな。きっと蜘蛛魔族が得意の糸を使ったんだろうが、あんなスピード初めてみたぜ」
「へー、そうなんですか。この街は食い逃げってよくいるんですか?」
「まぁ、いるっちゃいるが・・・あそこまでの額を食い逃げするのはそういねぇな。見ろよ、黒豹野郎が顔を青ざめてるぜ」
と、そこで黒豹さんがこちら見て叫んでくる
「お、おい!鷹のお前!その服装にバッチ、騎士なんだろ。あの飲み逃げ腐れ蜘蛛を捕まえてくれ!頼む!このままじゃ破滅だ!助けてくれ!」
「はあ!?なんで俺が」
私がリチャードさんの言葉を遮って答える
「わかりました!!いいでしょう!」
「レ、レヴィ!?何言ってんだ!俺達は勧誘活動があるだろ!」
もちろんわかっています。なので・・・
「もしあの蜘蛛を捕まえたら、お願いを聞いてくれますか?」
「あ、ああ!!なんだって聞く。だから早く捕まえてくれ!」
リチャードさんの顔が何か察した表情になった。
「レヴィって、意外と外道だよな」
「[女に騙される男が悪い]って教わりましたから」
「誰だよ教えた奴・・・!」
とってもフリーダムな母です。とは言えないのでリチャードさんの手を握り駆け出す。
「ほら、いきましょう!逃げられちゃいますよ!!」




