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蟹騎士様の魔族生活  作者: ホワイト爺
プロローグ
2/74

0-2 体の仕組みと血濡れの殺戮夜叉

part 蟹


歩き初めてどれくらいの時間がたったのだろう。太陽は空の中天に差し掛かり海岸から砂浜に出た頃、私の腹の虫が鳴ったのである。


「お腹すいたなぁ 何かあるといいのですが・・・」


だがこの体何でもかんでも食べてもいいのだろうか?猫とかは玉ねぎとか食べてはいけないが、蟹にもそういうのがあるのだろうか?そもそも魔族に食べてはいけない物とかあるのだろうか?歩きながらジーっと考えても結果は出ず、そして「まぁ肉なら大丈夫だろう」とだいぶ雑な結論を付けた。


だが更なる問題が。


「これ口どうなってるのでしょう?」


そう、今まで鏡や顔が写るものがないため、確認できずにいたのだ。さっきまでいた所は崖になっており海が下にあったため覗けなかった。だが此処は砂浜であるならば、海水で確認できると思ったのだ。早速海に向かい覗き込むが・・・


「え・・・」


先ず目についたのが[真っ赤な光]だった。

顔の目に当たる部分が黒い帯状になっており、そこで赤い丸が動いていたのだ。私が目を動かすとその光も動く。まさか・・・これが私の・・・目?


「こ、こんなの嘘・・・ですよね・・・そ、そう!きっと成長すれば2つ目になれますよ!・・・な、なりますよね?・・・うぅ、なれるといいなぁ・・・」


何か視界が変だと思っていたが、こういう事だったとは・・・ ショックを受けてる私に更に悲劇は続く。


「うわぁ・・・な、なぁにこれ・・・?」


顔の口に当たる部分の甲殻が左右に開きその中から舌ではない、もの凄くグロテスクな口が出てきたのだ。その口は四角形に広がり、その隅には小さな牙がついていた。正直これを見た後に何か食べる気はしない。


「はぁ・・・私・・・どうしてこんな目に・・・」


あまりの異常に女性としてショックが隠せず、ため息を吐いてしまう。いくら魔族になったと言って覚悟して見たとはいえ心のダメージがでかい。

だが空腹には勝てず、とりあえず食料調達を考えた。


ここが海なら魚がいるのでは、と思い至ったが釣竿を作る技術は私にはない。

森にある果物は・・・蟹って柑橘類は大丈夫なのか?というかもしかしてこれ・・・甘いもの食べれないのでは・・・?


私の、大好きな、甘いものが、食べれない?


クッキーもケーキもパイも果物の飲料水も全部口にできないかもしれない?


最悪の考えに至ってしまい両手を砂につけ落ち込んでしまう。


「そんな、そんなの・・・あんまりよおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」


暫くの間ステラは動けなかった。女には意味があるとしても甘いもの禁止は地獄なのだ。


数時間後


「見つけた!」


数時間かけて漸く立ち上がったステラは肉を探し求めた。獲物を探して十数分後、の視線の先には黒い鱗をした1m位のトカゲがいた。周りをキョロキョロ見ている。


「あれは・・・エッグリザードかな?」


エッグリザードとは基本的に自分より小さい獲物を食べて生きているが、大好物は他種族の卵でよく家畜の卵に手を出すモンスターだ。

厄介なのが逃げ足が早いことで自分より大きな卵を抱えていても、そのスピードが衰える事がない。だが弱点があり卵を探し当てた時無警戒になるためそこを一撃で仕留める必要があるのだが。

ステラはそんなのお構い無しに足に力を込めてエッグリザードに走り出した。



part 卵蜥蜴(エッグリザード)


ドォン!という音がした方向にエッグリザードが顔を向けるとそこには、赤い何かがこちらに向かっていた。しかもその赤い一つ目は確かにこちらを見ており、更にもの凄いスピードだ。


「ゲェェ!?」


驚きの声を上げ、エッグリザードは本能に従い全力で逃走する。そして確認のため後ろを振り向くと・・・


「ツ カ マ エ タ」


赤い何かがもうこちらに手を降り下ろすところであった。その後ろに赤く血に濡れた殺戮夜叉の姿が見えた。



part 蟹


よし、一撃で仕留めれた!思わずガッツポーズしてしまう。だがここで問題が・・・


「あ、どうやって調理しよう・・・」


ここには火なんてあるわけなく。ステラは火魔法は使えない。どうしたものかと考え、そしてある結論に至った。


「魔族なら生でも大丈夫ですね!」


ここにステラ以外の魔族がいたら、ツッコミそうな事を言いながら次の問題に当たった。水がないのだ。


「ですけどこの体・・・蟹、ですよね。海水飲めますかね・・・?」


そう思い海水を手ですくい、甲殻を開け口を伸ばす。結果は・・・


「ぶっ!ゴホ!ゴホゴホ!しょ、しょっぱい・・・ぺっ!ぺっ!む・・・無理ですね」


口に含んだものを吐き出すという女性としてあるまじき行動をしながら、周りを見渡す・・・すると


「あれは・・・スライム!」


水の塊のようなモンスターを見つけた。スライムは自我がなくて、一般的には害はなく倒しても水になるだけで利益にならないモンスターだった。

だがステラからしたらオアシスの様なものだ。森に少し入り大きめの防水性のある葉っぱを見つけそれを組み、器の様にする。そしてスライムの下へいき


「ふん!」


チョップを入れる。スライムは呆気なく活動を停止し水に変わっていく。それを先ほど葉で組んだ器に入れ、口に通す。

乾いた喉が潤う感覚。やけに美味しく感じる水を一気に飲み干し、一息つく。


「ふう・・・水ってこんなに美味しかったっけ・・・」


それから狩ったリザードエッグの調理に入った。手に魔力を流し親指から小指に流れるイメージを作る。それをチョップの形にし、魔力の流れる速度を上げ、エッグリザードの体に入れる。すると刃物で切ったかの様に中に入っていく。この技術はステラの訓練に賜物であり、努力の結晶だ。・・・まぁ果物ナイフ程度の切れ味なので殴った方が早いが。


そのままエッグリザードを切り裂いていき皮、血、骨、内臓を摘出する。見事肉だけになった。食事を始める。


「いただきます・・・」


蟹食事中・・・


「ご馳走様でした」


エッグリザードの肉は大変美味で、人間の食卓に並ぶことも珍しくないのだ。生で食べたのは今回が初めてだったが食べれない事はなかった。

・・・火と調味料が物凄く欲しくなったけど。


残った内臓や骨を土に埋めている時、気になっている事について考えていた。


「このエッグリザードは何でこんな所にいたんだろう?」


エッグリザードは基本的には影で隠れて獲物を狩る。卵を見つけたとき以外にはあんな開けた所にいないのだ。だが、あのとき周りに卵はなかった。という事は・・・


「何者かに追い出された?」


その時森の方から叫び声が聞こえた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

殺戮夜叉 効果 相手に恐怖を与える

血濡れ 効果 恐怖を与える効果にプラス補正がかかる

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