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蟹騎士様の魔族生活  作者: ホワイト爺
第一章 魔族街デアントの住人
16/74

1-4 レヴィと蟹

part レヴィ


私は隊長と団長に挨拶して退室した。部屋を出たらリチャードさんとポピー君が入団について聞いてきた。


「で、どうだった!」


「入団できましたか?」


「はい!団長ができる範囲の願いを聞いてくれると言ってたので、騎士団の入団と第五部隊の入隊をお願いしました」


「「え!」」


「え?」


少しの沈黙そしてリチャードさんが口火を切った。


「だ、第5部隊に入隊できたのか!?」


「え、ええ」


「うおっしゃぁ!」


リチャードさんどうしたんだろう?そんなに第5部隊って人員に切羽詰まってたのかでしょうか?


「ようやく、僕にも後輩ができるんですね・・・」


な、何かポピー君が泣きそうなんですけど。そんなにリチャードさんの悪戯が酷いのですかね。


・・・ですけど


「何かポピー君が先輩っておかしいですね」


「酷くないですか!?」


それに同調してリチャードさんが会話に混ざる。


「今までも思ってたが、なんつーかポピーより赤髪の方が騎士として場馴れしてる感じがすんだよなぁ」


ギクッ


「確かに・・・どこかそんな佇まいというか、貫禄ありますね。僕どころか先輩よりも、まるで今まで騎士だったみたいに」


ギクギクッ


<二度目の命>についてバレる訳にはいかない。バレたら絶対面倒な事になるからだ。私は咳払いをして話題をそらす。


「ゴホン!そ、そういえば、まだ名乗っていませんでしたね。今更ですが私はレヴィといいます。これから第5部隊でお世話になります!」


「「え」」


「だからなんですか!?そのリアクション!」


目を逸らす2人。まさか名前無しかと思ってたのですか。まぁ、今まで名乗らなかった私のせいですけど。更にこの名前は母からとった偽名ですけど。


「さすがに酷くないですか・・・」


そう言うと二人は、ばつが悪そうに頭をかいた。


「すいません。えっと、レヴィさんと呼んでもいいですか!」


「え!じゃ、じゃあ俺もレヴィって呼んでもいいか?」


「ええ、構いませんよ」


「よし!」とガッツポーズを取った。今日のリチャードさん何か変ですねぇ。とそこでシジマさんが透明化を解いて現れた。そしていきなり右腕をだされると


「これからよろしく頼む」


「はい!こちらこそよろしくお願いします」


こちらも右腕を出し握手をする。二人も手を出してきて


「これからよろしくお願いします。レヴィさん」


「その、よろしくなレヴィ!」


「はい!よろしくお願いします!」


私もその手を握った。こうしてレヴィは第5部隊として認められた。とそこでシジマさんがいきなりポピー君を脇に抱えた。


「ちょ!?な、シジマさん!!」


「リチャード、レヴィはまだここについて何もわかってない。先輩として教えてやれ」


それだけ言ってそのまま透明状態になっていく。ポピー君が宙に浮いた光景に変わって180度方向を変え凄い速さで廊下の向こうに消えていった。


「ええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・・・・」


ポピー君の声が空しく響いていった。て言うかシジマさんあんなに喋るんだ、初めて見ました。そしてポピー君を連れて何処にいったんでしょうか?


「シジマさん急にどうしたんでしょうね?」


「さ、さぁ・・・余計なことしやがって。んじゃ、ここを案内するぜ。何処か見てみたい所とかあるか?」


途中の方はよく聞こえなかったがリチャードさんが案内してくれるようだ。お言葉に甘えよう。


「そうですねぇ・・・じゃあ!」



part ???


ザザァーン・・・ザザァーン・・・


波が音をたてている。太陽がギラギラと照らす。風が海の匂いを運んでくる。

そんな事を考えてつつ、浜辺ではしゃぐ一人の女性。彼女は王都を抜けここゼリア海岸の浜辺にきていた。ずっと城の中にいたのだ、これぐらいいいはずだと思い、完全に羽目を外している。とそんな彼女に執事の若い男が走ってくる。


「王女様!お待ち下さい!ここはモンスターが出るのですよ!護衛の方々の所に戻りましょう!王様も怒られます!」


そういうと彼女はムッとしてそのまま海の方へと向かってしまう。そこで興味を引く物があったのか、屈みこみ手を海水に入れる。


「王女様!「ねぇねぇ!」・・・何ですか?」


彼女がいつもこんな満面の笑顔をする時は、だいたい録でもないことだと執事は分かっていた。いやいやながらも警戒しながら進む。彼女に何かあったら自分の首が跳ぶからだ。


というか最近、城に小さな金髪の子供を連れてきたのだ。名前はしらないが、将来大物になるといって孤児院から無理矢理連れてきたのだとか。


そんな例もあるので、どんな物でも拒否する心構えをしながら、止めに入る。


「王女様・・・いい加減に「これ可愛い!!」え・・・ぎゃあああぁぁあ!?」


彼女が手に持ってるのは赤い一つ目の不気味な小さな赤い蟹だった。いきなり目の前につき出されたのでそのまま海にひっくり返ってしまう。海水が口に入り塩辛くなる。


「ど、どこが可愛いのですか!?そんなものポイして下さい!」


だがこの言葉が燃料になった。

執事はしまった!と思ったがもう遅い。王女は頬を膨らましている。


「いいもん・・・可愛いもん!決めた!これ飼います!王女権限です!」


ムキになった王女はもう止まらない。とても負けず嫌いなのだ。


「か、勘弁してくださいよぉ・・・てか、口がグロテスク過ぎませんか!」


ため息を吐く執事と満足毛な王女様は蟹を持ったままこの大陸の真東・・・王都マギニの帰路についた。

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