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蟹騎士様の魔族生活  作者: ホワイト爺
第一章 魔族街デアントの住人
15/74

1-3 騎士団長と新入り騎士

part 獅子


ハルスが通して来たのは、全身を赤い甲殻で覆った一つ目の魔族だった。

ハルスの言う通り確かに見たことがない魔族だ。


「こちらが我々を助けてくれたオリジン・キャンサーの・・・えっと・・・?」


ん、どうしたんだ?と思っていると赤い魔族が口を開けずに自己紹介してくれた。


「オリジン・キャンサーのレヴィです」


・・・まさかコイツ、命の恩人の名前を聞いてなかったのか?


私がハルスを睨むと申し訳なさそうな顔をする。ハルスがこんなミスをするのは珍しいな。

私はレヴィという男の方を向き感謝の言葉を送る。内心は幻と言われたオリジンに会えた事でジャンプして大喜びしているが、表には出さない。


「そうか。私は魔族騎士団団長のデュランだ。この度は我らの第5部隊を助けてくれたことを感謝する。何か願いはあるか?可能な限りを尽くすことを約束しよう」


そう言うとレヴィは少し考えた様子を見せてから予想外なことをいった。


「では、私を魔族騎士団第5部隊に入れて下さい!」


・・・は?


今何ていった?オリジンが騎士団に入団したい?それも第5部隊(問題部隊)に?私はハルスの方を見る。ハルスも私と同じ様に呆然とした顔をしていた。私はハルスを捕まえ隣の部屋に入っていった。


「ハルスチョットコイ」



part ハルス


あー・・・やっべぇ・・・。


俺は今、団長に捕まれ団長室の隣部屋、別名説教部屋に来ていた。

ここに来たのは初めてではなく、結構な頻度できている。主にリチャードのせいだが。


それにしてもレヴィが騎士になるとは言っていたが、まさか第5部隊に入ると言い出すとは・・・。


俺は正座をし、目の前には凄い顔で仁王立ちしている獅子(団長)がいた。団長の口が開かれる。


「ハルス」


「はい」


「オリジンに何て言った?」


「はい・・・その、騎士団に入ってみないか、と言いました」


「勝手に勧誘したんだな」


「はい」


少しの間、そして俺の両肩に手が置かれた。思わず身構えてしまう。

怒られる心辺りは幾らかあった。まず命の恩人の名前を知らなかった事。命を救ってくれた相手の名前を聞けない理由があった訳でもなく、ただ聞き忘れていたのだ。いくらなんでも失礼過ぎる。

次に騎士団に勝手に勧誘したこと。本来、勧誘等の募集行動は団長の許可がいる。それを行わず勝手な事をしたのだ。

そして第5部隊という変人部隊に興味を持たせたことだ。巨赤鬼を単独で討伐できる腕があるのだ、そんな事ができるのは騎士団では団長だけである。それだけの実力ある者を第5部隊に置いておくのは勿体ないのだろう。置かれるとしたら騎士団部隊で更にエリートの第一部隊だろう。

団長が息を大きく吸い込む。俺は目を閉じ怒鳴り声に備えるが・・・


「よくやった!」


聞こえてきたのは誉め言葉だった。訳が分からず聞いてしまう。


「あの・・・怒らないのですか?」


「ん?なぜ怒る必要がある?お前はオリジンという幻を連れてきただけではなく、騎士団という組織に入れた。これは誉められるべき行動だ!しかも実力は私と同等かそれ以上の持ち主。騎士団に間違いなく栄光をもたらすだろうな!」


俺はホッとした。それと同時に喜んだ。これ程団長が喜ぶ功績なのだ、資金の増額や新しい支給品なども見込めるかもしれない!


だがそこに容赦ない言葉が入る。


「だがそれはそれだ、募集行動の違反をしたのは間違いないんだ。それに命の恩人の名前を知らないままでいた事実は容認出来ない。・・・覚悟してるよな!命の恩人を待たせる訳にはいかん、戻るぞ」



「・・・はい」



part レヴィ


デュラン団長とハルス隊長が戻って来ましたが・・・隊長なんか老け込んでませんか?

それとは反対で微笑んでいる団長が話し出す。


「よし、お前の入団を認め第5部隊に配属しよう。騎士団はお前を歓迎するぞレヴィ。

さて住む所だが、ここにある宿舎を使うといい。騎士団の制服とバッチは明日の朝届けるよう手配しよう。宿舎には多くの騎士がいるから仲良くしてやってくれ」


「わかりました!騎士団への入団を認めて頂きありがとうございます!」


「うむ、ハルスはまだ私と話す事があるので、騎士団の仕組みについてはまた後日とする」


「了解しました!では失礼します」


そう言い私は部屋から退出した。ハルス隊長が完全に白くなってた気がするが気のせいだろう。


この時団長は知らなかった・・・レヴィがあの姿(全身甲殻)で来たため知るよしもなかったのだ。彼女が女だということに。


これが波乱の幕開けとなった・・・騎士団本部で絶叫が響く・・・

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