現実は
「あ、篠崎さん?ちょっといいですかー?」
朱音はインターホンを鳴らしながら朱音が応対する。しばらくすると、お母さんが出てくる。
「凛斗に会いたい?構わないけど、たぶんゲームばかりやってると思うわよ?」
構わない、と朱音。そのまま2階に上がっていく。
お菓子をお母さんに渡しつつ、朱音に付いていく。
「失礼します」
ドアをノックし恐る恐る入っていく朱音。俺は入らずにドアの隙間から顔を覗かせる。
そこには、真っ暗な部屋に大型モニターが数台、その隣にはパソコンが置いてあり、様々なアイコンが点滅を繰り返している。
「高台やった、右通路やった…中央に2人入った…ナイスキル」
凛斗はコントローラーを巧みに操作し、銃で敵を倒していく。あれは…スナイパーライフルだろうか、遠距離から確実に敵を倒している。
「あ、あのー…」
「あと2人…左広場に1人、援護回って…中央高台やった、あとそこだけ…ナイス、お疲れ様…」
どうやら試合が終わったようだ…おそらく凛斗が使っているキャラクターが一番上に輝いている。
「あ、あの、すいません!」
「ん?」
ようやく凛斗がこちらに気づいたようでヘッドホンを外す。朱音もその冷たい眼差しを向けられる。
貫かれたように一瞬ビクッとするも引かずに喋り続ける。
「私、神速 朱音って言います!こっちは双子の兄の黒羽です!あなたのことが知りたくてここに来たの、お話しませんか?」
朱音がいつもの笑顔―俺には分かる、だいぶ引き攣ってる笑顔だ。
断られるか―2人ともそう思っていた。
「えっあっ僕で良ければ、なんでも話しますっ」
顔を上げるとそこには顔を真っ赤にした少年が。
「…あれ?」