冷たい眼差し
俺―神速 黒羽は幼少の頃からよく「大人しい」とか「大人びてる」とか言われてきた。…普通に生活してるだけなんだけどな。
そんな俺には双子の妹がいる。神速 朱音。明るく、活発でクラスでもあいつの周りには友達がたくさんいる。性格と爽やかな笑顔のおかげだろう。兄ということで紹介してもらった奴もいる。そいつとは今でも仲が良い。とても明るくて優しい友人だ。どうやら類は類を呼ぶらしい。
そんな俺達が高校生の時、向かいの家に誰かが越してきた。親が挨拶に行くというのでついていった。どうやら、俺達と同い年の男の子もいるらしい。確か、りんと…だったかな、母からそう聞いていた。
「…」
こちらを向いた気配。ふと2階の窓を見ると、冷たく、冷徹な眼差しがこちらを向いていた。
「…っ」
目が逸らせず、固まってしまう。すると奴―凛斗はふっと目を逸らし、カーテンを閉めてしまった。
「黒羽、黒羽?くーろーはーくーん」
なんだ、あの目は。人間ってあんな目ができるのか…?俺は怖くなって思わず走って家に帰った。
「あっ黒羽!?」
母が話しかけてくるが構わず走り去ってしまった。
―――――――――――――――
「お兄ちゃん、どうかした?」
震えていると朱音が話しかけてきた。先程のことを説明すると朱音は俺の手を取り玄関へと引っ張っていく。
「おま、何するんだよ」
「お兄ちゃんのそれってつまり『気になってる』ってことでしょ?じゃあ仲良くなって色々聞かなきゃ!」
「で、でも奴は」
「お兄ちゃん、大切なのは明るさと笑顔だよ?」
朱音は俺の手を両手で握りしめてニコッと笑う。俺は降参したと肩で合図し、朱音に付いていく。
奴―篠崎 凛斗のことを、知るために。