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陽気な闇

自分でつけといて何ですけど、もう闇が陽気とか意味不明ですね。すみません。でもこれ以外浮かばなかったんです。サブタイトル『夏祭り・続』とコレで迷った結果なんです。すみません(二回目

 『めだかすくい』と書かれた屋台の前で、キャシー達と別れる。とったおたまじゃくしやめだかは、近所の子供達にあげるらしい。直前にトッポギを追加購入したチカは、上機嫌にトッポギを食べていた。


「なんか食べたいものとかある?」

「充分食べた」

「じゃ、遊ぶ屋台回ろ」

「射的もう一回行こうぜ」

「良いよ~」

「あときゅうりも買おうぜ」

「······」


 さっき『充分に食べた』と言っていた気がするのだが。


「気のせいだ」


 さようですか。





「射的さぁ、対戦やろう」

「ちょ、空さん、冗談言わないでくださいよ」

「お前本気出せ」

「私こういうの苦手だから、やりたくないんだけど」

「そんな楽しそうに言われても、説得力皆無なんだけど」

「あははははっ」


 空のツッコミに、笑って返す。しかしまぁ、何かを狙って撃つという、細かいことが苦手なのは確かだ。

 空との対戦が楽しみなのも確かだがね。


「片手で対戦な」

「片手は本気で無理。君、できるの?」

「できんじゃね? 経験的に」

「うわ、不確かだねぇ。良いよ、やろう。何発?」

「五発で良いだろ。百円」

「了解。交互に撃とう。撃ったらすぐに私を見てね。私も、君の番の時は見てるから」

「撃つのは小さいやつを、一発につき一つで。最後に落とした数で競う。当たるってことは落とすって事だぞ」

「異議なし。行こう」

「おう」


 百円玉を一枚だけ握りしめ、射的屋へ向かう。


「百円で五発、二百円で十発、どっち?」

「「五発」」

「はいよっ」


 陽気なおじちゃんに、お金を渡す。銃は好きなものを選べと言われたから、互いに選んだ銃を交換することにした。銃に工作されていないのは、一回目に空がやった時に確認している。

 実際に持ってみると、想像よりずっと重い。

 これを片手で持ってる客はいなかったからな、と思いながら、左端の銃を空に渡し、空からは右端の銃を受け取った。


「おじさーん、今から私ら勝負するんで、ちょっと見とってくれません?」

「おお、お嬢ちゃん、勇ましいね。彼氏さんも頑張れ~!」


 唐突な申し出を、おじさんは笑って受け入れる。予想した通りの人柄で嬉しいよ。勝負の間、他のお客の相手は奥さんがしてくれるようだが、案外周りの客達も私達を見ていて、その必要はないみたいだ。


「最初と最後は一緒に撃とうぜ」

「良いよ。1、2のバン!ね」

「おう」

「じゃ、1」


 カウントしながら、構える。適当に構えたせいで、私は左手、空は右手という状況だ。


「2」


 約束通り、本気で狙う。


「バン!」


 同時に、撃った。

 二つの駄菓子が落ちる。当然、片方は私が狙ったものだし、あのタイミングで撃ったのは、私と空だけだから、もう一つは空が狙ったものだろう。

 何も言わずに、空の方を見る。

 空も一瞬私に目をやった後、すぐに狙いを定めて、撃った。カエルっぽい生き物のマスコット?が落ちる。

 空が銃を下げるのを見て、私もすぐに構える。手を変えるのも面倒だったから、やっぱり左手で撃つ。

 それを繰り返していき、ラスト一発。

 私も空も、今のところは命中率百%だ。ここで、勝負を決めなければ。······いや、決めようがないんだけどさ。精々私が失敗しないようにするぐらいで。


「1」


 空の声を聞いて、銃を上げる。


「2の」


 う●い棒が置かれている。あれ撃ったらどうなるのかなぁ。


「バン!」


 引き金を引くと、一本のうま●棒が飛び、壁にぶち当たって悲鳴を上げ、下に落ちる。······こりゃあ、砕けてるな、確実に。

 ······うん、まぁ、予想できてはいたさ。

 それよりも、予想外だったのは。


「外した?」

「······外した」


 落ちた景品が、一つだけだったことだ。


「叫ぶと、ずれるな」

「あ、それ分かる」

「お嬢ちゃんも、彼氏さんもお見事! 彼氏さん、最後外しちゃったけど、十二分に凄かったぜぇ!」

「ほら、景品ね」


 奥さんから、景品を受け取る。空の分と私の分、合わせて九つ。●まい棒は、完全に粉々。彼女から袋を受け取ると、周りにいた方々から野次やら賛辞やらが聞こえてきた。意外と人が集まっていたみたいだ。

 空の指示で、満面の笑みを浮かべてお礼を言うと、何人かがへたり込んでしまって驚いた。が、駆け寄る前に空に手を掴まれ、まさかのお姫様抱っこをされる。即座に上がる黄色い声。

 なんだこれ、と苦笑しながら人だかりを抜けたところで、観客の中にいたらしいチカ、キャシーと再合流した。


「あやや、おめでとう。そらりんも、お疲れ」

「最後のスマイル良かったでぇ、あの人懐っこさに、若干の冷たさが入り混じってて! でも、もうちょっと色気入れて良かったんちゃう?」

「いや色気入れたら、男は死ぬけど女が微妙になるからな」

「そこを悩殺できんのが、あーちゃんスマイルやで」

「でもそれで綾が何かに巻き込まれたら······」

「君達、少し私の笑顔を評価しすぎじゃないかね」

「「そんなことはない」」


 ······キメ顔で言われてもな。

 二人の色々残念なところに、溜め息を吐いていると。


「乙さーん」


 離れたところから、名前を呼ばれた。聞きなれた声だ。私を『乙さん』呼びする人は多いが、彼は少し特徴的な声の出し方をするから、よく分かる。


「あーちゃん誰?」

「椿先輩。風紀」

「隠し······」


 隠し攻略キャラ、という意味だろう。小さく呟いたキャシーに、言っちゃダメだよ、と注意する。彼女が頷いたのを確認して、椿先輩のもとへ行く。

 先程は気が付かなかったが、どうやら藤崎先生もいるようだ。


「こんばんは、椿先輩、藤崎先生」

「こんばんは」

「ふふ、こんばんは。高野さんがいるってことは、他の二人も、貴女のご友人?」

「はい。赤い何かを持ってるのがチカで、おたまじゃくしとめだかを持ってるのがキャシーです」

「あら······そういえば、体育祭で見かけたわね」

「三人で、観戦しに来てくれてて」

「仲が良いのね」

「お二方は、どうして桐生会長達とは別行動を?」

「さすがに七人で動くのは、迷惑がかかりますから。僕達は二人でも、あまり群がられませんしね」

「そうなんですか?」

「ええ。藤崎先生がいれば、何とかなるもの」

「これでも一応、大人ですからね。好きでもない女性に纏わりつかれた人のあしらい方ぐらい、知っています」

「それを生徒会の人に伝授すればいいのにね」

「教えはしたんですけど、彼らが子供だからか、年上の女性は気にしないようで」

「あらら」


 イケメンさんはイケメンさんで、悩んでるよねぇ。


「それより、乙さんは、質の悪いナンパには遭っていませんか」

「遭ってませんよ~」


 遭ったのは、非常に物分かりと質の良いナンパだからね。


「まぁ、乙さんレベルは、逆に声を掛けづらいですしね」

「高野さん達と一緒に行動していたら、尚更ね。とりあえず、貴女が無事で良かったわ。じゃあね」

「はい、さようなら」


 軽く微笑んで、彼らと別れる。

 ······藤崎先生は、見回りで来たのかな。


「あーちゃん。もう一人は先生?」

「うん」

「何で来てたんだ?」

「椿先輩は、純粋にお祭りを楽しみに来てるでしょ。先生の方は、見回り目的かも」

「ふぅん······」

「あ、お囃子始まった! キャシー、踊ろうや!」

「嫌やわ」

「ええ⁉ 行こーやぁ」

「見るだけでええやん。ウチら浴衣とちゃうし」

「浴衣だったら良いのかよ⁉」

「多分だめ」

「なんでやねんッ」

「それよりあっちで喧嘩起こってるけど、行かねぇのか?」


 私達は、空が指し示す方向を見た。

 だが、よく見えない。仕方なく音に集中すれば、たしかに喧嘩と(おぼ)しき音が聞こえた。


「行く!」

「あたしも行く! そーちゃんもやんな?」

「当たり前だろうが。綾も行くか?」

「ん~、気分じゃないから、踊りを見てる」

「え、そうなん?」

「チカ達は行っておいで。ああ、倒せそうになければ、無線機でよろしく。君達三人で苦戦するような相手は、まずいないと思うけどね」

「······分かった。お前の方も、一人でめんどくせぇ人数だったときは、あたしらを呼べよ」

「は~い」

「喧嘩終わったら、どこで集合する? どうせあーちゃん動くやろ」

「七味唐辛子の屋台とかがええんちゃう? 入口付近やったし、皆場所覚えてるだろうし」

「ええなぁ! じゃあ、終わったら連絡するから、七味んとこ来てな!」

「ん、行ってらっしゃい」


 空が言った方向に全力疾走する三人を見送る。トッポギを買って鼻に詰めようって言ってたのが聞こえたけど、大丈夫かな。

 ······まぁ、多分大丈夫でしょ。

 さて、せっかくのお誘いを断ったんだ。

 それ相応の何かがなければ。

 私は、灯りの届ききっていない暗闇へと歩を進めた。




 わりと遠くまで響いていた祭囃子も、うっすら聞こえる程度。

 代わりに聞こえてくるのは、酷く不愉快な声。


「······ろ、触るな······やめっ······」

「動くな、すぐに······へへ······」

「······良いから······」


 三人が話している。何をしているのかまでは分からないが、その内の一人が本気で嫌がっていることは分かる。

 先に二人を仕留めてから、理由を聞いて、私も納得できる理由であれば、再開させればいいだろう。

 ······そう思っていた時期が、私にもありました。


「! おいっ」

「あんだよ姉ちゃん」

「助けっ······」

「るせぇっ」


 小柄な······え、ああ、お、男······いや、女か? とにかく、小柄な誰かの上に馬乗りになっている男と、その小柄な誰かを押さえつけている男。

 小柄な誰かの服は、脱がされている途中。

 ここまで見て分からんほどアホじゃない。

 私の存在に気付いた男共のうち、馬乗りになっていた方がこっちに来る。もう一人は、小柄な人を押さえてこちらを見ている。


「綺麗な姉ちゃんだなぁ。お前も俺らと楽しむか?」


 男が馬鹿にするような笑みを浮かべた。


「······気色悪い」

「んだとゴラァッ!」


 怒り狂う男。別に構わない。思ったことを言っただけだ。


「姉ちゃん、あんまりふざけてっと······いてまうぞゴラァ」


 これでビビるとでも思っているのか、男は再びニヤニヤと笑う。

 ······『いてまうぞ』は、使う人が限られる関西弁。東京弁のこいつらが、使いこなせるものじゃない。

 ここは元プロ?が正しい使い方を教えて差し上げよう!


「ふざけとんのは自分じゃこのボケが」


 お遊び感覚で、声を変える。


「お前、『いてまうぞ』の由来知っとるか?」

「······っざけんなッ」


 ようやく殴りかかってきた男を蹴倒し、腹の上に足を置いた。


「某知恵袋にあったん見て知ったんやけどな、喧嘩しとる相手に対して、『このままやとあの世に逝ってまうぞ』って意味らしいんやわ。まぁきったない関西弁や。最近の子供は知らんことも多い。知っても漫画で読んでとかやからな、軽い意味や思うかもしれへん」


 近くで話すため、男の腹に足は置いたまま、もう片方の足を折って、地に膝をついて。


「でもなぁ、さっき言うたやろ? 『きったない関西弁や』って。こんなきったない関西弁、使う奴も使う場面もホンッマにない。ほっとんどない。······つまりやな」


 他人を襲おうとした、屑の目を見る。


「使う場合は、相手を殺す気で使え」


 一回目の射撃で空が手に入れたナイフを、カバンから取り出す。そして、本当に相手を攻撃するときのように逆手で持ち、腕を振り上げた。


「──────いてまうぞ」


 相手が、固まった。一気に顔を蒼白にして、ガクッと効果音が付きそうなほどキレのある動きで、首を後ろに倒す。

 気絶したのだろうか。


「君っ」

「ひ、ひっ、ぃ、ぁ······」

「今見たことは、誰にも言っちゃダメだよ! 君達二人を口封じするのって、君達が黙ってくれたら、必要のない行為だよね?」


 首を傾げて尋ねれば、小柄な人を押さえていた男はその手を放し、ひたすら首を縦に振る。


「分かってくれて嬉しいよ! 君達が永遠に口を利けないようにすることは簡単だけど、『残りもの』の始末が面倒なんだよね。最終手段として誰かに食べさせるにしても、量が多いから、たくさんの人で分け合わなきゃダメでしょ?」


 にっこり、微笑む。


「内緒にしてね」


 これだけ聞けば、ただの念押し。

 でも、その意味は、あくまでも。


「私からの、命令だよ。ほら、写真も撮っちゃったし」


 手品の要領で、パッと携帯を出して彼に見せた。


「······分かってくれたのね。君達が約束を破ったら、今度は君達の頭にミキサーぶっさして、馬鹿なことを考える汚い脳みそを······」


 これ以上ハッキリ言うと、小柄な人を不快にしてしまうため、口パクで伝える。

 上手に読み取ったらしい彼は、必死で頷き、逃げて行った。

 それを確認して、私はいまだ腰の抜けている小柄な人に歩み寄った。


「大丈夫ですか? ······あ、やっぱり男の子だったんだ。このことに腹を立てて、強姦の道に走らないでくださいね」

「あ······はいっ」


 男の子の頬が、紅潮する。······まさか、ソッチ系に目覚めてないだろうな。


「ぐげぇっ」


 男の子が立ち上がって私に何度もお辞儀をしていると、カエルの鳴き声みたいな何かが耳に届く。適当に男の子に別れを告げて、声のした方に向かうと、さっき逃がした男の首を、何故か野見山くんが絞めていた。


「え、やっだ、野見山くんどうしたの」

「ちっせぇ男が女に間違われて、連れていかれたから、助けに来たんだが······。お前がナイフ振り上げてたから······」

「ん~、コレのこと? 別に問題ないよ、玩具だから」


 ナイフを手のひらに刺して、証明する。


「おお、ホントだ」

「野見山くん、強いんだねぇ。そいつ絞め落とすなんて」

「お前には敵わねぇよ」

「······嫌いになった?」

「いや」


 気持ち悪い姿を見せてしまったのに、彼は首を横に振った。

 それが、ひどく嬉しくて。


「くくっ······ありがとう」


 いつも通りの軽い笑みを、見せられなかった。


「······おう」

「じゃあ、またね、野見山くん」

「またな」


 まだここに残るらしい彼に手を振り、背を向ける。

 陽気な祭囃子が、暗いこの場所にも響いている気がした。

いてまうぞなんて、聞いたことも使ったこともありません。

綾ちゃんに助けられた男の子は、綾ちゃんに惚れたんじゃないのかな(適当


今日の発見:『てれかくし』と打つと、予測候補に『テレカク●思春期』が表示された。ボ●ロすげぇ。


何を伏せ字にしなければいけないのか、よく分からず、あとがき含めて伏せ字だらけになった夏祭り編。


前話とこの話、正月に打って正月に予約投稿してるんですよ(ネタを忘れないためです)。予想以上にアイデアが浮かばなくて、もう最後の方のお話とかは不定期更新にしようかなとか思ってるんですよ(見切り発車のせいです後悔していません)。冬休みの宿題相変わらず進んでないんですよ(ゲームしてるせいです自業自得です)。

要するに正月とは何ぞや状態だったんですよぉぉぉぉ!


······結構ガチなお目汚し、失礼いたしました。

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