プロローグ 目を閉じて、開けた時に
批判コメは受け付けません。立ち直れなくなるので。
ぎり、と手を動かす。まぁ、動かないだろう。さっき縛られたんだし。
消臭剤のフローラルな香りがする。
どんな香りだよ、と自分で自分にツッコミながら、ゆるゆると目を閉じる。
目を開けた時、何かが変わっていることを期待して。
私は眠りについた。短くて、長い眠りに。
「······きて。起きてよ。起ーきーてー!」
近くで聞こえた大声に眉をしかめながら目を開ける。
「起きた?」
「······え」
誰?という言葉を発する前に目を見開く。
周りには、凄く鮮やかで美しい景色が広がっていた。
「あぁ、まだ慣れないのか。まぁこれから慣れていけば良い」
私を起こした人が、少し笑いながら言う。
そちらを向けば、整った顔の青年がこちらに笑いかけている。
日本人とは思えない姿。髪も瞳も明るい色。どこの国の人だろうか······ってこいつなんか耳がとがってるし、人間じゃないな。よく見たら八重歯ではすまされないサイズの牙が生えてるし。
悪魔か何かか?と思いながら先程聞き損ねた事を改めて聞き直す。
「······誰?」
「僕?僕はテディ。君たちが神と呼ぶものに近い存在」
「神?······神?」
「そう、神。ついでに言うとここは死後の世界。天界、とか天国?みたいな感じ」
神。死後の世界。私は、死んだ。
どんな死に方をしたんだろう。そんな死にそうな状況じゃなかったはずだけど······。
まぁいいか。
軽く頷いて、目の前で静かに待っていたテディと目を合わせる。
「神様が私に何のご用かな?」
「よくぞ聞いてくれました!!実はね、君を転生させようと思って。君に、転生先を選んでもらおうかな、と」
「何故?」
「そう決まったからだよ。あぁ、勿論君としての意識や記憶を持った上で、ね」
おっ、それは面白そうだな。
「今ね、君が入れる世界が一つだけあるんだ」
「転生先を選ぶって、世界を選ぶんじゃないんだ」
「うん、この世界のどのキャラに転生するかを選んでもらう」
「キャラ?ってことはマンガ?アニメ?」
「『君を想う~咲き誇る想い~』っていう乙女ゲームの世界d「なんだって!?マジか!!」······うん、マジ」
いよっしゃぁぁぁ!!現代日本キタァァァ!!
オタクとしては某RPGも好きですが!やっぱり生活する事考えたらね!自分の常識が通じる世界が良いよね!死んだら教会で生き返るとは思えないし。コレ大事。
「あざっす!!」
「喜んでもらえて良かった。じゃあ、早速どのキャラとして転生するかを決めようか。あぁでも、いくつか選べないキャラもいるけど。その世界に転生するのは、君だけじゃないんだ。だから、他の子達と被ったら変えてもらうよ。さ、君はどのキャラに転生したい?」
「んー······この子」
「ちょっと待って······うん、被ってない。大丈夫。」
「やった!!」
「よし、じゃあ、急ごう。君待ちだ。そこの扉から飛び降りると良い。後は、僕に任せて」
「あいよっ!バイバイ、テディ」
「バイバイ。君が楽しめるよう祈っているよ」
テディに手を振って、扉を開ける。
その瞬間、白い霧のような何かが体に纏わり付く。だけど不快感は無くて。
涼しいなぁなんて考えながら、飛び降りる。
心地良い感覚に身を委ねて、私はゆるゆると目を閉じる。
目を開けた時、広がる世界を期待して。
*主人公はテンションの落差が激しいです。