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仮面☆戦士 カエンダー!  作者: アキ
カエンダー 進軍!
32/49

第二話

 

 昼間。

 草原にて。

 勇者一行六人が自転車を漕ぐのを止めて休憩している最中、高花クリスは戸惑っていた。

 理由は、クリスの彼氏である青木裕也が、わけのわからない迷推理をしはじめたからだ。この世界は、地球の世界とリンクしているかもしれないのだという。それがどうした、と思ってしまったが、言われてみればそうかもしれない、とも考えてしまった。だからといって旅になんらかの変化があるわけではないのだけれど、この推理を裕也がみんなの前で自信満々に披露したことで、クリスは付き合いを続けていくことに自信をなくしていた。なぜなら、その理由が、国名と異名が日本プロ野球と関連しているからというのだ。どう考えてもそれはこじつけだと思う。


「ほら、考えてみろよ。今から行く国だって、『ヨミウルシャイアンツ』だ。それから勇者の仲間、『キャプテンアベジン』。今までの五ヶ国だってそうだったろ? クリスは日本に来てまだ一年だからわからないだろうけどさ。これ、絶対そうだろ?」

「それは違うデショ」

「そうかもしれませんね……」

「エ゛ッ? 何言ってるノ、綾瀬」

「確かに……」

「勇人マデッ!?」

「ほら。やっぱりそうだ」


 裕也が自信満々な笑顔を見せた。

 普通に考えて、前の勇者が名付けに関わっているだけじゃないノ?

 クリスは疑問符だらけだ。

 しかし裕也は続けた。


「コルトはどう思う?」

「どうでしょうか。地球というものが僕にはわかりませんので、なんとも。ただ、事実としまして、国の名前はあの戦争から大幅に変更されました。モンスターからの支配の脱却を意味していましたり、前の国の名前では不吉だというものが主な理由です。新しい国もできましたし、領土自体、全くの別物ですからね。歴史は浅いです。全ての国は、いまだ、スタートラインですから。なぁ、タンネ?」

「そうですね。関連性は、あるともいえますし、ないともいえますね。こちら側からははっきりとした答えは出ません。分かっているのは、最高の騎士への異名は前の勇者様が付けたということぐらいでしょうか」


 うんうん、と裕也が頷いている。

 一体どんな想像を膨らましていることやら分かったものではない。クリスは頭を抱えた。


「普通に考えたラさ、その勇者が原因なんじゃなイ……? この自転車とか」

「なるほどな。勇者が異世界の扉を開いたばかりに、様々な概念が流れ込んだ、と。流石だクリス」

「……なるほどッ!」

「なるほどじゃないヨ、勇人! 綾瀬も『そうなんだっ』って顔しなイッ。裕也も、わざわざ物事を難しく考えないで、もっとシンプルに考えてヨ!」

「ふむ。そうか、つまり……。最初から世界はリンクしている? いや、そうではなくて、まさか……、いやまさか、な」

「まさか、なにヨ?」

「平行世界、パラレル・ワールド……ッ!」

「なん、だとぉッ!?」

「勇人! 戻ってきテ。裕也ワールドから戻ってきテ!」

「そうですね。それなら全てに説明ができますね」

「できないヨ!? 説明、できてないヨ!? 綾瀬もシッカリ!」

「よくわかりませんが、我々の司令官である裕也様がおっしゃるなら、そうかもしれません」

「そうですね。リーダーの言うことは絶対です」

「コルトにタンネまでッ! これだから軍人は黒を白と言い張ル……ッ!」

「どうしたクリス? 何か疑問でも?」

「ええ、ええ。おおアリよ大アリ」

「そういえば、前の勇者だった方の、お名前はなんだったのでしょうか?」


 タンネが、自慢げに答えた。

 

「サイトウ・タケシ様ですよ」


 よっぽどの誇りなのだろう。コルトは胸を張っている。

 どうしてだろうか。ドドドドドと、どこからともなく地鳴りが聞こえる。

 クリスは自身の耳を疑った。


「……いや、あのサ。これってどう考えてモ」

「日本人、か。俺たちのように驚いただろうな」

「そうだね。だって、自分の国の文化と、似ているんだからね」

「あっ。それで、それにちなんだ異名を付けたんですね。ホームシックになったりしたのでしょうか。せつないですね」

「ホームシック? え、ごめん。話の展開についていけナイ」

「一人だったからな……」

「そうだね。一人っきりの旅だもんね」

「寂しかったんでしょうね」


 しんみりしてル? うん、理解できナイ。

 ドドドドド。地鳴りが大きくなってきた。

 あれ、これ。気のせいじゃナイ……?

 突然、コルトが警鐘を鳴らした。


「みなさん、気をつけてください! 敵がやってきました! 数は五!」


 タンネも杖を手にした。


「熊のモンスターです! 走ってきます!」


 勇者一行は各々の得物を手に、緊張した。

 裕也が素早く情報を集める。


「コルト。どんなモンスターなんだ?」

「熊のような外見。二足歩行、黄色くて大柄な身体。木製バットを振り回し、ホームラン以外は認めない。秘めたるパワーはタイトルホルダー級とまで噂されるほどの恐ろしい怪物。そして、その名前は……」


 タンネが大きく叫んだ!


「来ます! くまの……、くまのぷーさんですッ!」

「やめテェッ!」


 ここは異世界。異世界のはずなのに……ッ!


「大丈夫だ、クリス。俺が隣にいる」


 なんてこトっ。

 ちょっとカッコイイじゃなイ。

 さっきまで冷めようとしていた恋心が再び……ッ!

 クリスは、深みにはまろうとしている。





 

 プニキさんのyahooきっずゲーム、面白いですよね。

 きっずな難易度でないところが特に。

 

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