表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮面☆戦士 カエンダー!  作者: アキ
仮面☆戦士 カエンダー 誕生!
30/49

第二十九話

 

「よろしいのですの?」


 勇人たちがプランコと挨拶を交わしている最中、武は、旧見張り台にいた。すっかり定番となった見晴らしのいいたまり場には、ウィンとエン、そして、一人の美女がいる。彼らは遠くから、出発する勇者一行を見守っていた。


「渡すものは渡したから。そっちこそいいのか、カリン?」


 カリンと呼ばれた美女は、武に寄り添うように、そっと、隣に立っている。

 彼女はかつて武が戦った、魔王ドラゴンの娘だ。カエンダーの噂を聞いて、これは武に違いない、と密かにヨゴバマまでやってきたのだ。知っているのはビューテとプランコだけで、旅の目的が変更されたのも、カリンがここにいることが大きな要因となっている。なぜなら、カリンが行おうとしていた勇者の子どもに関する事件とは、とどのつまり、カリンが武の忘れ形見を手元に置きたがったことが原因で、武がこの世界に生きている以上、武が近くにいればそのようなことをしなくても満足するからだ。要するに、今回の事件は、ビューテとカリンによる、武の子どもの奪い合いであったのだ。


「ええ。ワタクシは、ちゃぁんと、お父様とお話していますし、今日中に帰りますから」


 あなたと違って、とでも言いそうな顔だった。

 武の種はよっぽど強いのか、カリンにも子どもができている。現在は孵化しており、魔王ドラゴンが溺愛しているという。今回のお出かけに寛容だったのも、いつもは付きっ切りでカリンが世話をしているがために寂しい想いをしていた魔王ドラゴンが、孫の世話をしたがっていたからだった。なんともまぁ、子煩悩なドラゴンである。


「それに、ワタクシたちは魔力の大きな存在。長寿でありますから、今はまだ、いいのですわ。あなた様も、その魔力ではお父様並に長生きされそうですから。といいましても、ワタクシも女です。きちんと節度をお持ちになり、嫉妬に狂わないように心身的にされてくださいな」


 カリンの大きなつり目が遠く、かの魔王ドラゴン領を見つめた。その瞳にあるのは三年間の月日か、それともこれからの未来か。武にはわからなかったが、それでも、信頼してくれていることは伝わった。隣に立つべきパートナーとして。世界を憂える一人の男性として。


「でもな。俺は、思うんだ。嫌いな親父とお袋と、結局は同じ事をしているんだって。あれだけ嫌悪していたことを自分がしているんだ。父親として、どうなんだろうな」

「そうですわね。良くないことをしているのかもしれません。ですが、あなた様は今、どの世界にいらっしゃるの? あなた様のご両親と同じ世界ではないのではなくて? 世界が違えば、時代が違えば、正しいことも間違っていることも、できることもできないことも違うのではないでしょうか。ここでしか、できないこともあります。解決できるのでしたら、解決されるべきですわ。あの子の問題は根深い。ですが、あなた様は解決できる立場にあります」


 カリンは真剣に見つめてくる。

 昔と違い、明確な意思を持って。

 武は驚いた。守るものができたとき、こうも変わるものなのだろうか。その疑問は、ビューテにも当てはまることだった。


「それに」


 その表情が、ふっと、柔らかくなった。


「ワタクシは、甲斐性のない男に抱かれた記憶はありませんわ」


 やっぱ、女ってスゲーわ。


「ついてこい。新しい世界を見せてくれる」

「それでこそ、ワタクシの愛する男ですわ」


 そして世界は動き出す。

 武を中心に、急速に。





 

『一巻』終了です。

お付き合い、ありがとうございました。

これから新章突入、と行きたいところですが。

すみません。少々、お待ちください。

近いうちに更新するつもりですが、もう少し固めますので。

別の小説など、なんらかの更新はしていきますので、そちらの方も、眺めていただいたら嬉しいです。


では、また会う日まで。

仮面☆戦士カエンダー をよろしく!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ