言葉
びゅんびゅんと風がふく。ブランコが後にいったら風でぶわあっと髪の毛が前にいって、ブランコが前にいったら髪の毛がばさあって後にいく。
「ほんとうにすごかったんだよ!!!」
「ああ、それはすごいな」
お兄さんはそういって私の背中を押した。そうなるともっとブランコの揺れは大きくなって、私がみえる景色の位置が高くなった。けどまだ地面に足がすれすれでつく。
「あ!お兄さんもっといっぱい押して!!」
「ああ」
お兄さんは「わかった」っていってさっきよりも強く私の背中を押した。すると地面に足がつかなくなって、ぶらぶらできるようになった。
「それでね!!……ってそういえばお兄さん日本語上手だね!!」
「……え!?」
「?」
お兄さんはびっくりしたような声をあげた。それでさっきよりもブランコを押す力がもっと大きくなった。なにか驚くことあったのかな?いっぱい揺れるからいいけど。
「どうしたの?」
「……いや、なんでもない。褒めてくれてありがとう」
「どういたしまして!お兄さんは日本語以外の外国語も喋れるの?」
あれ、なんだかお兄さんが背中を押す力が少し小さくなった。どうしたんだろ?
「……あ」
「……?」
お兄さんが呟いて背中を押す手が止まった。ブランコの揺れが小さくなってみえる景色も少なくなる。お兄さんにとってだめなこと言っちゃったのかな?
「……質問についてだがおそらく勉強すれば喋れるはずだ」
「そうなんだ!お兄さんテレビでみる外国の人よりも日本語上手だよね!!」
「そうか、ありがとう」
「どういたしまして!」
おお、お兄さんは笑って私の背中をぐいっと押す。その力はさっきよりもすっごく大きくなって、ブランコの揺れる位置が一番高くなった。