能力者(マネジ)-1-
バッと目が覚める。起き上がるとそこは、いつもとかわらない自分の部屋だ。
電気を消してカーテンも閉めているので少し薄暗い。
ふと横の時計を見る。
その時計はアナログ時計で7:00と表示されていた。
7:00か・・・。なんだったろうか。あの夢は・・・。
自分のドレッサーの上に飾っている1.2mくらいの肖像画をみた。
その肖像画には、とても美しくて妖艶な女の人が一人ドレス姿で首にペンダントを掛け椅子に腰かけている絵だ。
迫力というかオーラというか言葉に表せないくらい素晴らしい感じの絵だ。
億単位の値段がついてもおかしくないくらいだ。
私はその肖像画から目を落とし、どんなときでも肌身離さずもっている、肖像画に描かれているのと同じペンダントをギュッと握りしめた。
母さん・・・。
頬から一つだけ涙が零れ落ちた。ハァとため息をついたとき。
コンコンとドアをノックする音が聞こえた。
「入るよぉ!!アゼイリア様!!」
幼い感じの男の人の声がした。
ガチャという音とともに扉が開く。
扉を開けたのは小学生みたいな顔の少年だった。
「セヴィル・・・。入っていいって言ってないけど?」
スマーク・セヴィル。幼馴染で私に仕える執事の一人だ。身長も年齢も私と同じ。しかし、小学生みたいな顔なので中学1年に間違われる。
これでもう少し身長が小さければ完全に小学生だ。
世に言うショタと言うものだろうが、本人はショタと言うものが嫌いである。
からかうと、しばらく口をきいてくれないので、からかわないようにぢている。
執事のくせに生意気だ。
そんな生意気な執事のセヴィルはプクッと頬をふくらまして、言い返した。
「いつものことじゃないですかぁ~」
なんと常識はずれな。ふつう男子(ましてや執事)が許可もなく女子(主人)の部屋に入る奴がいるだろうか。幼馴染だからいいものの、これが知らないまったくの赤の他人だったら即家の者に袋たたきにされるだろう。