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井戸端の文学少女  作者: つんどら
追加品
7/8

多少の性描写……?らしきものがあります。










 ある日買出しから帰ってきた薄が、何やら――あからさまに怪しげな表紙のハードカバーを持っていた。何故か横に座った薄がぱらぱらとページを捲り、音読してください、と言う。


「道雄は美津子の白い肌に赤い痕を残すと、満足げに指先でなぞり、サディスティックな笑みを浮かべる。美津子は気丈に道雄を睨みつけるが、その目は潤み、頬は薔薇色に染ま――……って何ですかこれっ、官能小説じゃないですかっ」

「おや、読めないんですか? 仕方ないですね」

「馬鹿にしないでください!」


 言った後で、あ、と思った。明らかに間違った。

 そのまま、震えそうになる声で続ける。うううう、し、羞恥プレイというのか、こういうのは。


「……薔薇色に、染まっている。まるで誘うような顔だな、と道雄が、さ、囁く。すると美津子は」

「あなたも誘うような顔をしていますね」


 変態が耳元で囁いてくる。無視したいのに、顔がぼっと唐突に熱をもって、全身がなんだかざわざわとして。無視。無視を決め込もう。


「あなたを誘うくらいなら、犬でも誘った方がマシだわ、と――」

「な、何てこと言ってるんですかっ!」

「あなたが読ませているんじゃないですかっ」


 何てことを言うんだ、美津子。本当に。ちらりとその先のページを見てみると、少々目を逸らしたくなる展開だった。さ、さかりの、ついた、犬っ……犬と!?


「犬のように……?」


 ああっちょっと気になる、気になるけど今はこっちが重要だ。真昼間から嫌なひらめきをしている骨男を、なんとか押し返さないといけない。


 後日恐る恐る読んだその本を、そっと押入れに仕舞ってある座布団の下に隠してしまったのは内緒である。







 前回は失敗したので、こんどはこちらが読んでみる事にした。


「お前は所詮籠の鳥。ふふ、私に愛でられるしかないのだよ」

「もう一度死にますか」


 害虫でも見るような目で睨まれ、しかも新聞紙を丸めて叩かれそうになった。流石に心が痛んだので、やめることにした。


「すいません。愛してます」

「……っわ、わ、私も……あ、愛してます」


 普段はつらつらと淀みなく語るのに、肝心な時にどもる彼女がいとおしい。やはり彼女自身の言葉が1番嬉しいものだなと思った。








活動報告に乗せたネタから。


前半のはストレートなあれで、後半のは多分ハーレクインか何かじゃないでしょうか。

チョイス悪い。絶対にチョイスが悪い。


撫子もお年頃です。

でも家事を薄がやっている限りそのうち気づかれると思います。きっと、そっと机の上とかに置いておくんじゃないでしょうか。お母さんか。

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