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メシマズシリーズ

料理上手な夫とメシマズ妻の、ほのぼのご飯。3

掲載日:2026/09/09

 



 夫が料理している姿を見るのが好きだ。

 広い背中、チラリと見える集中した横顔、引き締まった尻。


「尻は関係ないでしょ」

「え? 声に出てた?」

「めちゃくちゃ漏れてた」

「ふおぅ。とうとう魔法が使えることを自白したのと思ったよ」


 夫は魔法が使えると思っている。

 だって、お米と舞茸と人参とささみを炊飯器に入れたら、舞茸おこわが出来ている。

 かぼちゃをチンして潰して、なんかよくわからない白い塊とか粉とか、なんか茶色いシワシワしたのとか色々入れたなと思ったら、かぼちゃサラダが出来ている。

 今は、鮭とでっかい胡瓜みたいなやつを鍋に入れたなと思ったら、お吸い物が出来上がろうとしている。


 これを魔法使いと言わずしてなんと言う。


「出来たよ。あ、食器準備してくれたんだ。ありがとうね」


 夫は、めちゃくちゃ私を褒める。

 今も。

 出した赤いお皿がかぼちゃサラダの色を引き立てていいねとか、お吸い物だから黒塗りの碗が合うよねとか、今日はおこわがメインだから大きなご飯茶碗が良かったんだよね、流石分かってるね、とか。

 

「いただきまーすうんまぁぁぁい!」

「口に入れたばっかじゃん、早いよ」


 夫がクスクスと笑いながら、おこわを一口。

 ゆっくりと咀嚼して、ふわりと柔らかく微笑む。


「うん、美味しく出来てるね」


 夫は淡白だなぁと思う。

 飛び上がるほど美味しいのに、いつもこんな反応だ。


「もっとこう、全身で美味しいを表現していいんだよ?」

「柚が全身で表現してくれるから、俺はこのくらいの反応でいいんだよ」

「むーっ」



 □□□



 俺たち夫婦の関係は、ちょっと変だと言われることがある。


 付き合っていたころ、お家デートで彼女の壊滅的な料理を目の当たりにして、包丁を奪い取った……というか、凶器を手放すように説得した。

 それ以来、料理は俺の担当だ。


「うんまぁ! おこわもちもちしてるー!」

 

 口を大きく開けて、ご飯をバクリと頬張る妻。膨らんだ頬がハムスターっぽくて可愛い。

 満面の笑みで、いつでも「美味い」と言ってくれる。


「これ、なんだっけ?」


 お吸い物に入った冬瓜をツンツンしていたので、苦手だったかなと心配した。


「とーがん! うまぁい!」

「ん、よかった」


 ――――あぁ、幸せだなぁ。




 ☆終わり?☆




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― 新着の感想 ―
お久しぶりのシリーズ、相変わらず愛が溢れていて読んでいて幸せでーす! 前のも久しぶりに読み直しました! ご馳走様でした♪
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