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5.多すぎる幹部

本社からの「連絡指示書」を読んだ笠置が言った。

「ふうん。高崎さん達も災難だったなあ。新町さん達も無事だといいね。推理通りだと、初めから新町さん達を嵌める為に人質を用意して、わざわざ『煽り運転』を演出したか。」


========== この物語はあくまでもフィクションです =========

============== 主な登場人物 ================

夏目房之助・・・有限会社市場リサーチの会社の実質経営者だった。名義代表者は、妻の夏目優香。

笠置・・・夏目リサーチ社員。元学者。元経営者。

高山・・・夏目リサーチ社員。元木工職人。

榊・・・夏目リサーチ社員。元レストランのシェフ。元自衛隊員。


===============================================

==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==



※夏目リサーチは、阿倍野元総理が現役時代に設立された会社で、警視庁テロ対策室準備室が出来る前に出来た。スーパーや百貨店の市場調査会社が、「隠密に」テロ組織を調査するのに適していると、副総監が判断し、公安のアシストとしてスタートした。

夏目リサーチは、民間の市場調査を行うのと併行して、危機的状況を調査する、国家唯一の調査機関である。

※このエピソードは、「大文字伝子が行く308」と連動しています。


午後10時。浅草、浅草寺裏手のビル。夏目リサーチ社分室。

笠置以下、古参のグループが作業に入った。

作業。それは何か、マッチングシステムによる、『面割り』だ。

表向きの市場調査は、『通行人調査』だ。カウンターをカチカチ。あれである。

このとき、隠しカメラで通行人を撮影している。

遠隔操作の為、カチカチのバイト君には分からない。


本社からの「連絡指示書」を読んだ笠置が言った。

「ふうん。高崎さん達も災難だったなあ。新町さん達も無事だといいね。推理通りだと、初めから新町さん達を嵌める為に人質を用意して、わざわざ『煽り運転』を演出したか。」

「笠置さん。白バイ隊の情報によると、同時刻に煽り運転を目撃した、トラックのウンちゃんがいるから、煽り運転で割り込まれて反撃しようとしたら、人質を見せられ、身動き取れなくなったんだね。」

「ついさっき、EITOからメールが届いたよ。新町さんは、追跡用ガラケーを、壊してしまった後輩に貸してしまったらしい。で、イヤリングだが、池上病院で検査の時に外して忘れてしまったようだ。池上病医院の看護師長が報告してきたらしい。」と、榊が言った。

「悪い事は重なるもんだね。倉庫の、DDバッジは、わざと残して行ったか。頭いいな。自動車にメダルカッターとシューター残すし。」と、高山が褒め讃えた。

「警視庁のNシステムで検知出来た自動車は盗難車だった。まあ、セオリーだな。」と、笠置が言うと、カチャカチャ動いていたマッチングシステムの一つから回答が画面に出た。

「井関さん達が発見したワイヤー錠と『鍵』から指紋が出たそうだ。じゃあ、警視庁のデータにマッチングさせてみよう。」笠置は速やかに操作した。

1分と経たない内に答が出た。指紋の主は前科者データにあった。高崎達が嵌めた、『痴漢詐欺』女だ。

「藪下スミ子、か。こいつは、この女は、一味の1人だな。案外、ダーティー・ブランチの『枝』かも知れないな。」と笠置が言うと、「駅の周辺情報なら、夏目リサーチの市場調査データがあるから、駅の防犯カメラデータとマッチングさせたら、こういうデータが出たよ。」と、榊が言った。

3人は、先ほどの画像と見比べた。

「一目を避けて入る時、藪下は胸に自転車ワイヤー錠を巻いているが、出てきた時は、巻いていない。しかも、新町さん達は手錠で繋がれている。新町さんは手錠を掛けられた時、咄嗟にワイヤー錠と鍵を隠したんだ。指紋が付着しているから。」と笠置が言うと、高山が「確か、新町さんって変化球の名手で、あのシュータも特殊な投げ方が出来る、って夏目さんが言ってたな。」と言った。

「枝かどうかは判らないが、一味の女は決定的だな。ん?」「どうしたの、笠置さん。」

2人が怪訝な顔で笠置に向かうと、笠置は防犯カメラの映像が映っているPCを指さした。

「タイムスタンプが跳んでいる。防犯カメラを提出する前に手が加えられている。」

「駅員だ!!」

3人は叫んだ。

午後11時。

笠置は、今まで判っていることを本社にメールした。

すぐに、マルチディスプレイが映った。

EITO東京本部の夏目警視正だった。

「ご苦労様。経緯だけは掴めたな。要人達は今のところ無事だ。新町達は心配だが、駅周辺で見つかった不審車両の行方を今、Nシステムで確認している、と連絡が入った。進捗は、追ってメールするよ。いつもありがとう。」

画面が消えると、3人は、恒例の「夜食」を食べ始めた。

今日は、カツカレーだ。

―完―

※このエピソードは、「大文字伝子が行く311」に続きます。


このエピソードは、既に他のサイトで公開した作品ですが、よろしければ、お読み下さい。

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