表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/32

19.ところで

榊は、知り合いの紹介で、府中市までやって来た。

肉が安くて大量に仕入れ出来ると評判の店だ。

榊が肉を選んでいると、後ろから声をかけられた。


 ========== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 =========================

 笠置・・・夏目リサーチ社員。元学者。元経営者。分室リーダー。

 高山・・・夏目リサーチ社員。元木工職人。Web小説ライターでもある。

 榊・・・夏目リサーチ社員。元エンパイヤステーキホテルのレストランのシェフ。元自衛隊員。分室のまかない担当?

 久保田嘉三・・・警視庁管理官。警視庁と夏目リサーチのパイプ役。


 ===============================================

 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==


 ※夏目リサーチは、阿倍野元総理が現役時代に設立された会社で、警視庁テロ対策室準備室が出来る前に出来た。スーパーや百貨店の市場調査会社が、「隠密に」テロ組織を調査するのに適していると、副総監が判断し、公安のアシストとしてスタートした。

 夏目リサーチは、民間の市場調査を行うのと併行して、危機的状況を調査する、国家唯一の調査機関である。


 午後4時半。東京都府中市。『プロピア府中店』。

 榊は、知り合いの紹介で、府中市までやって来た。

 肉が安くて大量に仕入れ出来ると評判の店だ。

 榊が肉を選んでいると、後ろから声をかけられた。

「パーティーですか?」

「え?まあ、似たようなものかな?」

 見れば、主任 田中と書いてある。

「主任さん。」パートさんが呼びに来たので、説明は必要なくなった。


 午後9時半。浅草、浅草寺裏手のビル。夏目リサーチ社分室。

 榊が仕込みの準備を始めると、副社長の朱美が、次いで笠置が入って来た。

「笠置さん、すみません。まだ指示書見てなくて。」

「いいよ。タイムレコーダーないんだから。見ますよー。」

「どれどれ。」と、朱美が指示書のメールを見た。

「寄っている人間をだまして金を取った4人組ね。5人目がボスか。」

 データをシステムに流した笠置が、「アリバイあるということで安心している訳か。つるんでいるのなら、カチカチデータで見つかるかもな。」と言った。


 このマッチングシステムは万能だ。

 4人の内、何人かが一緒にいる人物がいれば、「トクリュウ」と呼ばれる、「匿名・流動型犯罪グループ」による犯行にピリオドを打つことが出来る。


 連中は、『強引な客引き』による『ぼったくり』の応用で、高額料金を支払わせる為ATMに連れて行き、暗証番号を覚えた上で財布ごとカードを盗む手口で荒稼ぎしていた。

 4人は、目撃証言もあって逮捕されたが、キャッシュカードも引き出した人物も特定出来なかった。

 そこで、5人目の人物の特定が必要だった。連中は、元々交友関係がない。

『アルフィーズ』のような指南役やボスがいる筈なのだ。


 連れ込んだ店も、休業中の日に、勝手に利用したのだ。被害者男性は、千鳥足で歩く、既に『酔っ払い』の状態だった。

 絶対に捕まらないと思っている連中だから、隙だらけだ。捕まっても軽犯罪と思い込んでいる。


 そして、被害者は病院で亡くなった。

 警察の捜査員達は、いきり立った。

 盗まれる事件は、初めての出来事では無かったが、被害者男性は亡くなったのだ。


 午後10時。

 程なく、結果が出た。

 4人は、別々のところで、共通の人物と接触していた。

 朱美に仕込みを手伝って貰い、火を入れた榊は叫んだ。

「主任だ!!」

 データを送った高山を確認した笠置は久保田管理官に電話した。

 受話器を笠置から受け取った榊は、事情を説明した。


「お名前カードでヤサは特定出来たが、店にも捜査員を向かわせよう。開店はいつだね。」

「午前10時からですが、流通業の常識から言って、2時間前には出勤している筈です。」

「了解した。ところで、いい音が聞こえるような気がするが・・・。」

「気のせいでしょう。でも、ご馳走ですよ。」

 午後11時。

「ところで、榊さん。バーベキューかい?今夜は。少し時間がかかったけど。」と笠置が尋ねた。

「シュラスコです。シュラスコとはブラジルの北から伝わった『カウボーイ料理』と言われています。 ピッカーニャと呼ばれるランプ肉をはじめ様々な部位のビーフやポーク、チキン・ラムまた新鮮な野菜や甘いパイナップル等をダイナミックに大串に刺して焼くんです。最初に塩を振ってから炭火で焼くのが特徴。さあ、取り分けますから、取り分けている最中に声をかけて下さい。」


 今夜は、パサドールと呼ばれるウェイターの代わりに、シェフ自らが皆に切り分けてくれた。

「やっぱり来て良かった。」と朱美は満面の笑みで言った。

 実は、朱美は、榊が念入りに仕入れているのを見ていたのである。

 ―完―

 ※シュラスコに使われる部位には、ピッカーニャ(牛肉のイチボ)、リングイッサ(ブラジルソーセージ)、エスペチーニョ(ピーマンやパプリカ、玉ねぎなどと一口大に切った肉)、コラサォン(鶏ハツ)、コステーラ(牛骨付きバラ肉)など、さまざまな部位が使われます。


今夜は、パサドールと呼ばれるウェイターの代わりに、シェフ自らが皆に切り分けてくれた。

「やっぱり来て良かった。」と朱美は満面の笑みで言った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ