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第2ー3話 『絡み合う糸』

 ショッピングモール、ハルキが帽子を万引きを完了する。ハルキに近づく店員。

「君、今カバンに何入れた?」

「!」

 ハルキのギアが1つ上がる。

「良い目してんね〜」

 人並みを掻き分け全力で逃げる。

「おい! こら、待て! 万引きだー!」

 店員が必死で追いかける。買い物に来ていたアズハとショウコがその場に居合わせる。

「!」

 ハルキを追いかけるアズハ。

「あっ、ちょっとアズハ!」

 店員を振り切り屋上に逃げ切るハルキ。

「フンッ」

 エナジェクターを注入し変身する。蔓を使ってブランコのように屋上から逃走する。

 アズハが遅れて屋上に辿り着く。

「プラリィア!?」

(それにあの姿、まさか事件の!)

 エナジェクターを注入し変身しワビーの後を追いかける。同じように蔓を駆使する。

「待てー!」

「プラリィア!? マジかよ」

 根性で何とか距離を詰め、ワビーに向かって蔓を伸ばしなんとか捕まえる。

「クソっ!」

 落下し倒れる。

「あなた万引きしたの? それにニュースになってる事件も__」

「ああ、全部アタシだよ」

「何でそんな事…」

「理由なんてねェ、やりたいからやるだけだ」

「決められた道を生きるなんてかっこ悪くてできねェーよ」

「罪を犯す方がよっぽどかっこ悪いよ」

「そういう普通なのが嫌いなんだよッ!」

(理解してもらえないのか…)

「誰かー、警察に連絡してくれませんかー!」

 話し合いを止め、子供のように叫ぶセシィ。

「わー!!」

 同じく子供のようにジタバタするワビー。

「わ、わかった、自首する! だから一ヶ所だけ寄り道させてくれ! 逃げないように見張ってても構わないから!」

「……わかったよ」

 セシィが渋々、蔓をほどく。


「で、何で病院なの?」

 じじーの部屋まで2人で歩く。

「ちょっとじじーの体が悪くてな〜」

「あたしおじいちゃん子でさ、大抵の事はじじーに教えて貰ったんだよ」

 無邪気な少年のようにハルキが話す。

「子供ながらにおかしな人だと思ってたけどその生き方がすっげーかっこ良くて__」

 微笑むアズハ。

「何だよ」

「思ったより可愛い人なんだなって思って」

「は? 何言ってんだよ」


 ハルキが思い切り扉を開ける。ビクッとするアズハ。

「じじー! 今日は大事な話が__」

「帰れ」

 閉じたままのカーテン。ハルキがじじーに近づく。

「本当に大事な話が」

「いいから帰れ!」  

「こないだの事まだ怒ってんのかー?」

「帰れって言ってるだろ!」

「あぁ、分かったよ……」


 病院を出る2人。

「なんかすごい怒ってたけど」

「おかしいなー、前は普通だったのに。いや普通ではねェけど…」

「それじゃ警察行くよ、私も一緒についてってあげ__」

「カーン カーン カーン」

 会話を塞ぐように鐘が鳴る。

「!」

 2人が同時に感知する。

(今だッ!)

 鐘の鳴った方向の反対に逃げるハルキ。アビルのいる方角とハルキのいる方角を交互に見る。

「えっ、あ、ちょっと! え!」

「んぁー! もう!」

 エナジェクターを持ちアビルの方を目指すアズハ。

 ある程度逃げて足を止めるハルキ。

「って、逃げるとかだセェ…」

 自分自身に呆れ果てる。


 旅館の上でトゲヤマガメアビルが高速回転する。街の人の興味を惹きつける。

「何だあれ!」

「UFOか!?」

 トゲヤマガメアビルが動き出し建物や車を破壊していく。

 セシィが大鎌で暴走するトゲヤマガメアビルを叩きつけ動きが若干鈍る。

「みんな早く逃げて!」

 セシィがエナジェクターを5本注入し武器の強化をする。鎌の刃の部分が起き上がり槍状態に変形。刃の部分が高速回転しドリル武器になる。

「回転勝負だ!」

 高速回転でぶつかる両者、火花が散るほどの熱戦。トゲヤマガメアビルの甲羅にヒビが入る。


 危機を感じ飛び逃げるトゲヤマガメアビル。

 ナャーコの蔓がトゲヤマガメアビルを捉えられる。

「!?」

「ポイント横取りなゃ!」

 砲丸投げのように遠心力を使って壁に叩きつけるナャーコ。トゲヤマガメアビルの甲羅が砕け死亡する。

《リッカは遅れてやってくる》

「戦闘が先に起きていた場合、漁夫の利が基本なゃのだよ新人ちゃん」

「プラリィア歴長いんですか?」

「この道5年なゃ!」

「にゃ?」

「違う! 『なゃ』なゃ!」

(違いが分からない……)

「そうだ、聞きたい事があるんですけど…_____」

 事の事情をナャーコに説明する。 

「んー、なるほど犯罪者のプラリィアに自首させようとしたら逃げられたと」

「そうなんです」

「まぁ、捕まったとてプラリィアの力でいくらでも逃げれるから全く無駄なゃ!」

「アタシも実際脱獄したなゃ!」

「じゃあ…犯罪者!? 脱獄人!?」

「違う! 冤罪なゃ!」

「檻の中でプラリィアに力を手に入れて脱獄したなゃ」

「そ、そうなんですね」

「キーポイントも『自由』って書いてあるなゃろ!」

「本当だ」

「このお面も顔を隠して警察サツに捕まらないようにする為につけてるなゃ」

「あ、そうそう実はこのお面ここをこう改造してあって__」

《以後、数時間にわたるリッカの一人喋りが続いたのであった……》


 無駄がないアズハの自室。お風呂上がり、シンプルなパジャマに身を包む。

 電話が掛かる。登録してないユーザー。

「もしもし?」

「もしもし、えーと今日会ったプラリィアの__」

「あ、今日の!」

「いきなり電話かけてわりぃな」

「秋帆高の制服着てたから仲間に頼んで連絡先を人づてに教えてもらったんだ」

「そうなんだ。でもどうして」

「今日、じじーが死んだ」

「え、そう……なんだ」

「じじーもあたしもかっこよく生きたい人なんだ」

「じゃああの時、『帰れ』って言ってたのは…」

「死ぬとこを見られたくなかったんだと思う。多分」

「ただそれだけ、伝えたくて」

 雲ひとつない星空。

「あたし明日自首するよ。もう逃げないから」

「うん、分かった。ありがとう」


 春丘高校、玄関。放課後の雑踏の中ハルキがキーパー、ボウズ、デッパ、キャップの背中を見る。

チン坊ども(こいつら)ともお別れか…」

 寂しさを隠すように少し俯く。

「団長、今日なんか暗くないですか!?」

「あんっ? ぶつぞ」

「カーンカーン カーンカーン」

 ハルキが軽く息をこぼす。

(アビル倒して、ムショに入るとするか)

「先にアジトに行っててくれ」

「どうしたんすか〜!」

「あたしも後で向かう」

 4人を置いて校門を飛び出しアビルのいる方向へ向かう。その様子を校門前から鋭い目つきで追うアカリ。  


 フェンスの破壊された野球グラウンド、野球少年たちが巨大なニホンイノシシアビルに襲われる。

「グワーオー!」

 必死に逃げる少年たち。しかしその中の一人がつまづき追い詰められる。

「はぁはぁ」

 ワビーが鋼鉄の棍棒を武装し殴り飛ばす。

「あ、ありがとうございます」

「大した事ねぇーよ」

 褒められてももう動揺しない。無事、少年が逃げる。

 起き上がるニホンイノシシアビル。

「最後くらいカッコつけさせてくれよ〜」

 突進してくるイノシシアビル。蔓を触手のように使いエナジェクターを4本を注入、腕力を強化し棍棒で何度も殴る。続けざまに6本、9本、12本追加でエナジェクターを使いとめどなく攻撃する。

「これで最後だァ!」

 トドメの20本を使ってフルスイングする。当たった瞬間にボクサーのように血と唾を吐き気絶する。

「ふー」

 変身解除するワビー。

「おい」

 アカリがエナジェクターを持ってハルキの前に現れる。

「お前が暴力事件の犯人か?」

(プラリィア!?)

「あぁ、そうだよ」

 沸々とした緊張が走る。

「団長!」

 振り返るとハルキの前にデッパ、キーパー、ボウズ、キャップが並び立つ。

「お前ら!? 何でここに?」

「団長の嘘くらい分かりますよー」

「はい、これ出来ましたよ」

 キーパーが刺繍入りの特攻服をハルキに渡す。特攻服、そして4人の想いを受け取るハルキ。

「キーパー、痩せろ」

「えっ?」

「ボウズ、髪生やせ」

「なっ?」

「デッパ、矯正しろ」

「ヘっ?」

「キャップ、……」

 ハルキの物々しい覚悟を察するキャップ。

「後は任せた。」

「何、言ってんすか! 俺たちも一緒に戦いますよ!」

「帰れ!」

「分かりました」

 キャップが3人を引っ張って帰る。 

「ちょっと、団長ー!」

 帰っていく四人を背にアカリと対峙する。

「あたしを殺しに来たんだろ?」

「あぁ」

「気が済むまで戦ってやるよ」

 4人の魂の宿った特攻服を羽織る。背中の刺繍は『天馬無双』。

「行くぜオラァ!」

「死ね……」

 エナジェクターを注入するハルキとアカリ。2人の戦いの火蓋が切って落とされた。

 お互い武器を武装し棍棒と槍の攻防が始まる。

 リムスが追加で7本エナジェクターを注入し武器強化をする。槍についている噴射機から噴射されるパワーでワビーを追い詰める。

「お前みたいな好き勝手生きてる奴のせいでどれだけ苦しむ奴がいると思ってんだ」

 煮えたぎる想い。

 ワビーの右腕にリムスの刃が入り傷を負う。しかしワビーはそんな事、気にしない。

「しらねェな! 自分の人生の主人公は自分だろ!?」

 エナジェクターを多量に使用したせいで『温和』が激減する。

「あんたも同じプラリィアなら、少しはあたしの考えも分かるだろ?」

 リムスの表情は揺るがない。蔓を使い60本のエナジェクター構える。

「!?」

「お前なんかと一緒にするな!!」

 60本のエナジェクターの液体がリムスの身体に注ぎ込まれていく。

「馬鹿! そんな量のエナジェクター、一気に投与すれば体が!」

 リムスの体が一瞬ビクッとなりながらも注入し続ける。身体と武器の強化レベルがぐんぐん上がり、ポイントがグングン下がっていく。

「そんなのどおでもいい」

「私の望む未来にする為にお前を殺す」

「その為だったあ何だってする」

 止まらないリムスの殺意。

(さっきのアビルの戦いでギリギリまで使っちまったんだよな〜、今はこれ以上エナジェクターを投与できねぇ)

 胸に手を当てるワビー。

(でも__)

 リムスが槍を構える。

「あたしよりヤバい奴がいたとは、上には上がいるな!」

「黙れよ」

 ワビーが鼻で笑う。

「上等だコラァ!」

 リムスの頬にハルキの拳。ハルキの心臓を貫くリムスの槍。リムスが血に塗れた槍をひき抜く。血を吐き膝から崩れるハルキ。

「何で変身解除した」  

「手に…傷、付けたかった…んだよ……」

 強化体のリムスを殴った為に骨が折れボロボロになった右拳。

「は?」

 死にかけのハルキをリムスが見下し、その場を立ち去る。

 晴天の空の下、浅くなっていく呼吸。あおむきで特攻服を布団のように体に被る。空をうつろな目で見ながら背中部の刺繍を左手で手探り触る。

「でけー玉結びだな〜、ガタガタじゃねーか」

「カスチン坊どもが」

「不器用で……下手クソで……」

「でも__」

(かっこいいじゃねーか)

 満足げな表情のハルキ、安らかに眠る。

名前         プラリィア名       キーポイント

晴ノ日ソラ      リィアクラーカ      艶やかな美人   

月島レイ       リィアジッカー      快楽

伊藤ルリコ      リィアハナビ       富

章野アズハ      リィアセシィ       自尊心

斜々羅リッカ     リィアナャーコ      自由

旗部アカリ      リィアリムス       明るい未来

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