表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/24

第2ー2話 『それぞれの想い』

 桜の木の下。花見をするアズハ、ショウコ、ルリコ、アオト。アオトと遊んであげるショウコ。歳の差を感じないほどわちゃわちゃとはしゃぐ。

 アズハがスマホを取り出しルリコに画面を見せる。

「ルリコさんこれ知ってますか?」

「あー、万引きやら暴行やらで話題の謎の少女ね」

「この防犯カメラの動画見て思ったんですけど__」

「顔は映ってないけど恐らくプラリィアね」

「やっぱりそうですか…」

「まさか止めるつもり?」

「そう考えてます」

「見ず知らずのプラリィアを? メリットが無いわ」

「私も反対かな…」

「ショウコ?」

「アズハが背負う事じゃないよ、それに相手はまともな奴じゃない。アズハに何かあったら__」

 涙を流す助走が始まってしまうショウコ。

「私は大丈夫だから」

 ショウコに心配をかけないよう笑顔を見せるアズハ。

「ねっ!」

「でも……」

「カーン カーン カーン」

 鐘に気づくアズハとルリコ、鐘の方向を察知する。

「アビルだ! 行ってくる!」

「アオトの面倒お願い!」

「はっ、はいー!」


 手のひらサイズのナナホシテントウアビルが広場に飛び回る。

「あんな小さいアビルもいるんですね」  

「気を抜いちゃ駄目よ、章野さんは蔓でアビルを捕まえて。そしたら私が撃ち落とす」

「了解です!」

 言われた通りナナホシテントウアビルに向け蔓を伸ばす。しかし、華麗に逃げ回る。

(速い! なら__)

 エナジェクターを注入し蔓の量を追加、応戦する。作戦通り蔓で捕まえることに成功。

「やった!」

 ハナビがスナイパーライフルを構える。

(よ〜し、ポイントゲット〜)

 いつものごとくにちゃぁ〜〜とする。

 引き金を引く手前、光の帯が螺旋状に飛んでくる。2人の体に帯が絡みつき拘束される。その隙にナナホシテントウアビルが蔓から逃げる。

「うっ、体が動かない!」

「この技は、まさか__」

 刀をぶらぶらさせながら飄々と登場するジッカー。

「月島レイ」

「あら、ハナビちゃん お隣さんはどちら様かしら?」

「章野アズハ、リィアセシィです」

「セシィちゃんね〜」

 ジッカーがセシィに近づき刃を向ける。

「私をどうするつもりですか…?」

 セシィの下半身から上半身にかけて刃先でなぞり妖艶に笑む。

「心配しないで熟してからが本番だから」

 真意を隠すように唇を舌で舐める。

「?」

「それにしても何であなた達みたいのがプラリィアに選ばれるかしら?」

「じゃあ、何なんですか? あなたのキーポイントは」

「『快楽』よ」

「快楽…?」

「そう、生きているとキャパオーバーって事もあるのよ。私はちゃ〜んとお仕事をして生きてるから」

 セシィの顎を刃の先っぽでクイっと上げる。

「あなた達にそれが分かるかしら?」

 斜め上から2人の顔を見るジッカー。セシィの顔に力が入る。

「ルリコさんには事情があるんです。私を悪く言うのは良いですけどルリコさんを悪く

言うのはやめてください。」

(事情? そんなもの、本気で信じて…)

 刀の柄を蔓で巻き付けるジッカー。ムチのようにしてナナホシテントウアビルを一刀両断する。瞬殺されたナナホシテントウアビルの血が散る。

「あなた、単純な(かわいい)子ね気に入ったわ それじゃ」

 拘束を解き、その場を去るジッカー。

(良い()に育ちそう、セシィちゃん)

 その後ろ姿をセシィが険しい表情で見つめる。善の人間か、悪の人間か。


「キーパー、刺繍出来たか〜?」

 アジトのプレハブ小屋にハルキの声が響く。キーパーを筆頭にチン坊たちで一生懸命特攻服に刺繍を入れる。

「ま、まだっすよ〜、団長がオリジナリティだのアイデンティティだの言うから苦労し

てんすよ〜」

「団長、意味分かって言ってますかー?」

「うるせぇハゲ!」

「ボウズっす!」

 遅れてデッパが入室する。

「さーせん遅れました〜」

「何だ、補修か?」

「違いますよデッパ最近彼女出来たんすよ」

 キャップが告発する。

「な、何だと!? この歯を受け入れる奴なんていないだろ!?」

「なっなんて事を!」

「相手は人間か?」

「当たり前っすよ!」

(今日の団長の切れ味凄いな〜)

「あ、そういえば団長、この後なんか用事あるって言ってませんでした?」

「あーそうだそうだ、じゃあ後は任せたぜ!」

「うい〜」

 4人の声を背にアジトを後にするハルキ。


 過去の空気が漂う丸岡商店街。ハルキが花屋に訪れる。

「これで買えるだけくれ」

 シワのついた千円札8枚を花屋のおばちゃんに渡す。

「すごい大金だね〜、バイトで貯めたのかい?」

 老眼鏡が似合う優しそうなおばちゃん。

「そんなダサい事アタシがする訳ないだろ!」

 自信満々に答える。それに対しおばちゃんが優しく微笑む。意外な反応に不思議がるハルキ。おばちゃんが花を選定し慣れた手つきで花を抜いていく。

「この商店街も廃れてうちもシャッター(おろ)さんとと思ってたけど__」

 シャッターに侵攻されていく商店街を想い募らせるおばちゃん。ハルキが心臓を突かれたようにじっと話を聞く。

「もう少し頑張ってみようかな」

 憑き物が落ちたようにおばちゃんに笑顔が咲く。

 少々の時間で立派な花束が出来上がる。

「はい、ありがとうね」

 色とりどりの綺麗な花達がハルキを見る。飲み込まれそうな暖かい空気に慌ててドアを閉め花束を受け取る。

「ここ、こちらこそ」

 動揺が隠せず、動きがマリオネットのようになる。

「じゃー、あばよ〜!」

 逃げるように立ち去るハルキ。

(褒められ慣れてねーから動揺しちまった、かっこわりー!)

 後頭部をガシガシ掻き、ガニ股気味で歩みを進める。


 総合病院の病室。

「おーい! じじー!」

 病室の扉をハルキが全力で開ける。

「花持ってきたぞー!」

 ベットから起き上がる祖父(じじー)

「おー、ハルキ」

「ちょっと、いつも静かにって言ってるでしょ!」

 看護師の(こん)ちゃんが小学校の先生のように叱る。

「ったく相変わらず口うるさいね〜今ちゃ〜ん」

 じじーがハルキの手に目をやる。

「ん!?」

「何だその綺麗な手は?」

 鬼のじじーに変貌しハルキを睨む。睨み返すハルキ。

「あん?」

 ガンを飛ばし合い、バチバチの2人。

「手の傷は強さの証、こんな手で恥ずかしくないのか!」

「アタシがどれだけの人間を殴ってきたと思ってる? もういい!」

 全力で扉を閉め帰るハルキ。

「あっ! また! 全くもぉ〜」

 しかめっ面を維持したままベットに体を倒す。

「クソ娘が…」


 アカリが保健室の前に佇む。

「…。」

 保健室のドアノブに手書きの札がかけられている。

「校舎のどっかにいる 瞳」

 瞳先生の似顔絵が添えられている。味がある。

「おー、旗部」

 瞳先生が保健室に帰ってくる。

「最近保健室に居ない事、多いですね。」

「あー、最近高校生が狙われる暴力事件が多いだろ? その度に会議になっちまうからな〜」

 軽くため息をつく瞳先生。アカリがその様子を見つめる。


 アカリの薄暗い部屋で煌々と光るスマホの画面。ネット掲示板見るアカリ。

「39 キモ男なら殺しても全然構わない」

「40 >39殺さずに苦しめるのが快感なのだよ」

「41 >39>40危険人物」

「42 てか犯人なんで捕まらんの?」

「43 >42春丘高校の奴で犯人確定らしいけど証拠が見つからないっぽい」

「44 警察無能すぎ」

「45 人殴って金盗む→捕まらない→最高かよw」

「46 次はどの高校が狙われるのかな〜」

「47 この間ウザい先輩を病院送りにしてくれた、神様」

「48 >47お前が病院行け」

 首を絞めるようにスマホを握り締める。

晴ノ日ソラ      リィアクラーカ      艶やかな美人   

月島レイ       リィアジッカー      快楽

伊藤ルリコ      リィアハナビ       富

章野アズハ      リィアセシィ       自尊心

天馬ハルキ      リィアワビー       温和

斜々羅リッカ     リィアナャーコ      ??????

旗部アカリ      リィアリムス       明るい未来


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ