第1ー5話 『リィアセシィVSリィアハナビ』
(これが私の武器!? 結構重いな…)
腕から蔓を伸ばし大鎌の持ち手に巻き付け重さを補う。
(よし!)
慣れないながら大鎌を構えるセシィ。
(これで相手が死なない程度に攻撃して隙をつくって逃げる!)
「随分扱いづらそうな武器ね〜〜」
まだ余裕のあるハナビ。
(この武器を盾にして一気に詰める!)
ハナビに向かって一直進。
(確かに私の武器は近距離戦では圧倒的に不利)
スナイパーライフルで構え迎え打つハナビ。
(でも、経験値が違いすぎるのよ)
セシィの左腕が撃ち飛ばされる。続けざまにセシィの右脚が撃ち飛ばされる。
「くッ」
ハナビまであと一歩。
「うぁぁ!!」
虚しくもセシィの右腕が撃ち落とされる。立ち上がることすらできないセシィ。
スナイパーライフルの銃口をセシィの目の前に突き付ける。
「はい、おしまい。」
絶体絶命に死を悟る。
(この人に殺され___)
「ママ!」
子供の声が窮地の空気に飛び込んでくる。慌てて変身解除するハナビ。
「ん?」
疑問に駆られるセシィの前にトコトコと男の子が現れる。
「すぐ戻ってくるから公園で待ってなさいって言ったでしょ!?」
頭をよしよしの撫で愛でるルリコ。
「ごめんなさ〜い」
「もう〜」
先ほどの殺気がすっかり無くなり母の顔に成り変わる。
「まさかあなたの……」
「ママのおともだち?」
ただただ無邪気なアオト。
「え〜、いや、その〜」
「?」
動揺が隠せない母に不思議がるアオト。ナチュラルに首を傾げる姿が愛らしい。
駅前の公園に移動しベンチに腰を掛けるアズハとルリコ。ルリコの目線はケンケンパで遊ぶアオト。優しい眼差しで見守るルリコが徐に話し出す。
「高校生の頃、あの子を授かってまぁその後色々あってね。私と私の両親であの子の面
倒を見ることになったんだけど両親が交通事故で亡くなってその時に両親の借金が発覚して___私の稼ぎじゃとても限界で……」
「それでプラリィアに…」
「正直何度も死のうと思ったわ……。でもあの子、アオトがいるから。」
「じゃあ私、協力しますよポイント稼ぎ」
アオトに負けないほどの無邪気な笑顔でサムズアップするアズハ。
「!」
殺しかけた相手からの思いもよらぬ提案で耳を疑う。
「でもあなただって…」
「私の事は全然気にしないで下さい!」
「その代わり、他のプラリィアには危害を加えないでください」
アズハの真剣な思いがグッと前に来る。
「そうね、分かったわ」
観念したようにルリコの表情が朗らかになる。それに釣られてアズハも笑顔になる。
「え〜とお名前は…」
「そういえば名乗ってなかったわね」
立ち上がり襟を正すルリコ、合わせて立ち上がるアズハ。
「伊藤ルリコ リィアハナビよ」
「章野アズハ リィアセシィです」
固い握手を交わす二人。
「章野さんありがとう、本当に助かるわ」
「いえいえ! 一緒に頑張っていきましょう!」
アオトがアズハに駆け寄る。
「おねーちゃんいっしょにあそぼ!」
アズハの袖を引っ張りながらお願いするアオト。
「いいよー! 何して遊ぶって、あーーー!」
(学校抜けて来てんだったーーー!!)
アズハ、仰天。
「遊ぶのはまた今度お姉ちゃん学校あるからまたね〜バイバーイ!」
息継ぎせずに言葉を投げ、颯爽とその場を去る。
「いっちゃった…。またあえるかな?」
少し寂しそうなアオト。遠くのアズハを見つめる。
「うん! また会いに来てくれるよ」
にちゃぁ〜〜〜と笑うルリコの口元。
車の行き交う走行音が高架下に鳴り響く。19時を過ぎ、仕事終わりの帰宅人が増えるなかとある抗争が始まろうとしていた。
「お前らが春丘高の奴らか?」
「期待ハズレだぜ」
「弱そー」
「たった4人じゃ無理無理!」
「手加減しねーぞ」
相手高、約30人に対しキャップ、ボウズ、キーパー、デッパの4人が立ちはだかる。覇気は全くない。見た目通り戦闘力は中の下。
「噂ほどでもねーなー!」
「ハルキとかいう大将がいるんだろ? どいつのことだァ!」
「ギャーギャーうるせェザコどもだなァ!!」
相手高のヤンキー達を一括するリィアワビー。女子校生とは思えない勇ましさとカッコ良さ。特攻服風の可愛い衣装もワビーのイケメンさの引き立て役になってしまう。
「アタシがハルキ、天馬ハルキだ! 大将じゃねー、団長だ。」
鋭い目付きで相手を睨みつける。
「そして我ら__」
「完全ミツオリ団!」
5人で声を揃えて叫ぶ。合わせて戦隊っぽいポーズも5人で決める。
「何だその服」
「はァ女?」
「ふざけてんのか!」
相手高の怒りと不満が掻き立ち、ミツオリ団に殴り迫る。
(これで4校目ッ!)
御洒落なリーゼントをかきあげるワビー。
「しゃぁ! 行くぞお前ら!」
「しゃぁー!!!!」
遂に戦いの火蓋が切って落とされる。
ワビーはプラリィア変身状態の為、生身人間など相手にならない。次々に相手高のヤンキーをボコボコにしていく。キャップ、ボウズ、キーパー、デッパの4人は戦ってる感を味わいたい為、相手は基本ワビーがボコボコに弱らせた奴。
あっという間に全員倒し、動けなくなった奴から財布を抜き取るワビー。
「やめ___」
ヤンキーを蹴り黙らせるワビー。
「ん〜、これぽっちか〜」
千円札3枚をうちわのようにして仰ぐ。
「これでうまいもんでも買いますか?」
食いしん坊で太っちょのキーパーが前のめりになる。
「いや、」
エナジェクターを持ちニヤつくワビー。
完全ミツオリ団のアジトと化してる大きなプレハブ小屋。
「ほい!」
テンション高めにお菓子を風呂敷から広げるハルキ。キーパーが一目散にお菓子に飛びつく。
「よくこんなかさばるモン万引きしてこれましたね〜」
「私に出来ない事などない!」
胸を張り自信満々のハルキ。
「さすが団長!」
手を合わせ、憧れの眼差しで見るデッパ。
「でも! アイスは溶けてます!」
思ったことを口に出すボウズ。そのボウズの言葉が一気に空気を変える。
「てか、普通アイス盗んでくるか?」
「バニラじゃなくてチョコってあたりしっかり選定してきてるな」
「飲み物は人数分欲しかったな〜」
「あとグミ3は要らない」
怒りと恥ずかしさでハルキの顔がだんだん赤くなる。
外のバイクにエンジンを掛け早急に発進させるハルキ。
「ちょっと待ってくださ〜い 団長〜!!」
「黙れ! チン坊ども!」
4人の団員の声をハルキの絶叫が制圧し、バイクの排気音と共に夜の街に響いていく。
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章野アズハ リィアセシィ 自尊心
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