第1ー3話 『プラリィア』
セシィの左手が地面に転がる。
「ア、ア、ア、アズハ!?」
「痛っ__」
「くない! 大丈夫だ!」
「大丈夫なの!?」
「大丈夫よ」
二人の前に現れるソラ。
「??」
サングラスをおでこの位置まで上げる。
「もう戦いは終わったみたいね」
「んあ〜〜〜くそ〜〜ハズしちまった〜〜最悪たばこたばこ、あ〜〜〜切らしててコンビニ行く途中で鐘が聞こえて…あ〜〜〜〜〜」
セシィを殺し損ね苛立ちを隠せない。
「また今度リベンジしてやる」
その場を立ち去るハナビ。
アズハの手が元に戻る。
「ほんとだ、変身解除したら元に戻った」
「それであなたは…」
「あ! どこかで見たことある顔だと思ったらアイドルグループ『LittleLily』の晴ノ日ソラさんだ!!」
ショウコが自分のことを知ってくれていたことに嬉しくなるソラ。ニコニコになる。
(知ってたんだ!)
「ありがとうございます〜!」
「自分の好きなアーティストがリトリリに楽曲定休しててそれで知りました! ソラさんの声めっちゃ好きです!」
熱くなるショウコ。
(リトリリ……?)
ポカンとするアズハ。
(コイツ、ゼッテー知らねーなこのボケナス!)
鬼のような顔でアズハを見る。
「ソラさんもアズハと同じ感じなんですか?」
「そうよ、それじゃ」
帰ろうとするソラ。
「あの、もし良かったらこの力のこと教えていただけませんか?」
「んーーーーーー」
「私も気になります!」
「まぁ、そこまで言うなら説明しましょう」
いくらのソラでもファンには甘くなってしまう。
ブランコに腰を下ろしプラリィアの説明が始まる。
「私たちの正体は植物を模した戦士『プラリィア』」
「そして敵である怪物は動物の形をした悪魔『アビル』」
「続いてはプラリィアの必需品『エナジェクター』」
「さっきアズハが持ってたやつだ!」
「プラリィア適合者がエナジェクター下部のパネルに皮膚を当てながらボタンを押すと中の液体が身体に入り変身することができる」
「そういう原理だったのか…」
「更にエナジェクターを使用することで武器を「武装」、武器や体の「強化」「修復」ができる」
「で、ここからが大事。 左腕にポイントが表示されるでしょ」
「えーと、ー993412って書いてあります」
「数字を指で押してみなさい」
押すと『自尊心』と表示される。
「自尊心?」
「それは『キーポイント』と言って人によって違うの」
説明に飽きてスプリング遊具に夢中のショウコ。
「あなたの場合は自尊心。あなたが幸せになる為に必要な自尊心が993412ポイント足りないって事よ」
「自尊心が99万足りないって、私全然幸せですよ!?」
「あなた珍しいタイプね。大抵自分が不幸な人間だって自覚しているものよ」
「私のキーポイントは『艶やかな美人』」
「充分美人だと思いますよ!」
スプリング遊具で遊びながら答えるショウコ。
「ありがとう、でも私には足りないのよ」
「この数字を0にするのがゴール。そうすれば不幸人を卒業することができる」
「でもこんな数字どうやって…」
「アビルを倒せば強さや数に応じてポイントを貰えるの」
「じゃあエナジェクターを沢山使って強化すれば…」
「エナジェクター1回の使用ごとに1000ポイント消費するのよ」
「ギブアンドテイクか」
「いかに効率よく戦うかが鍵よ。まぁ死んだら生き返るとかマンガみたいな能力はないから最初は惜しまずにエナジェクターを使ったほうがいいかもね。これでプラリィアの説明はおしまい、あとは戦っていくうちに分かるわ」
「不幸な人間がプラリィアになるのは分かったけどアビルっていう怪物の正体は?」
何の気なく質問するショウコ。
「それは、」
道を歩いている父、母、子の家族にチラッと目をやるソラ。
「『人間の幸せ』よ」
喉に詰まるような風が吹く。
「じゃあ、この後ダンスのレッスンあるから」
(こないだ選抜外されたから家で練習するだけなんだけど…)
サングラスをかけ直す。
「親切に教えてくれてありがとうございました」
「別に当たり前の事よ。いつもは身バレ対策でコレつけてるから会った時はよろしく」
仮面で手を振り去っていく。
(神対応だ〜!!)
目をキラキラ輝かせる二人。
(当の本人はファンじゃないのに有益な情報を与えてしまった……!)
ズーンと落ち込むソラ。
(次会う時は容赦しないわよ)
ソラの眼に戦士の光が射す。
名前 プラリィア名 キーポイント
晴ノ日ソラ リィアクラーカ 艶やかな美人
月島レイ リィアジッカー ??????
伊藤ルリコ リィアハナビ ??????
章野アズハ リィアセシィ 自尊心