第5ー2話 『荊の道』
早朝、教会で祈りを捧げるアイを含める信者たち。アイが瞳をゆっくり開く。
「アイ!」
後ろから声をかける母と父。駆け寄るアイ。
「母上、父上、すみません祈りに集中して、気づいたら時間が__」
「いいんですよ、貴方は神様に選ばれた子なんですから」
「アイの思うままに生きなさい」
「はい!」
綺麗なアイの笑顔。
アイの顔を思い出し一枚の一万円札を握りつぶすカゴメ。再びMGLにやってくる。
(かろうじて残ったのはこの一万、こんなことになったのも全部あの神クズのせいだ! けど、これくらいハンデがあった方が燃える)
鬱憤がカゴメの闘志に火をつける。人集りを見つけるカゴメ。そこには新しく設立されたゲームコーナーで無双するリョウの姿。生中継されている模様、盛り上がる観衆を見て悦に浸る。カゴメがリョウに向かって銃を撃つポーズをする。
「ターゲットロックオン」
条北中学、下校しようと玄関で上履きをしまうアイ、弄りに来るクラスメイト達。
「神様〜! ジュース奢って〜!」
「やめとけ、宗教勧誘されるぞー」
「逃げろー!」
帰って行くクラスメイト。散々に煽られても、澄ました表情のアイ。
(人類は皆、平等でなければならない。彼らは受けるべき天罰を受ける事となるだろう)
玄関をくぐるアイ。
(いつか全て報われる)
綺麗な空を見上げる。
(待っててね、お兄ちゃん)
混み出すMGL、人集りがさらに倍増する。
「モグラ叩きジャンケン?」
「君、もしかして初めて?」
「それがどうかした?」
「いいや」
お互い余裕を見せるカゴメとリョウ。
「それではルールをご説明します」
ディーラーが説明を始める。
「まず、はじめにカードの説明から。カードは全部で39枚、表に『グー』『チョキ』『パー』の絵が描かれたカードがそれぞれ13枚ずつ。裏にハンマーが描かれたハンマーカードが『グー』『チョキ』『パー』各3枚ずつの計9枚、その他30枚はモグラが描かれたモグラカードとなります」
ハンマーカードとモグラカードを見せるディーラー。
「手札はランダムに配られた10枚のカード。お互いにカードを裏面の状態で1枚場に出し同時にオープンする、これの繰り返しです。ジャンケンに勝った方が1000ポイント獲得。負け、引き分けの場合はお互いに0ポイント。ただし、ハンマーカードでモグラカードのジャンケンに勝った場合のみ勝利ポイントが5000ポイントとなります。勝利条件は先に5000ポイントを先取する事、もしくはゲーム終了時に相手より高いポイントを獲得している事、この二つです」
「ジャンケンでコツコツポイントを貯めるのもあり、モグラを叩いて一発逆転狙うのもありってことか。面白そうだ」
「大した自信ですね〜」
リョウを鼻で笑うカゴメ。
「負ける気でゲームが楽しめるか?」
(鼻に付く野郎だ)
「いくら賭けるつもりかな?」
カゴメがカードを差し込む。
「1億」
液晶に『100000000』と表示。お金持ちでさえどよめく金額。只者ではないと感じるリョウ。
(こいつ……)
「ま、9999万円は借金だけど」
「負ければどうなるか」
「何度も言わせんな、負ける気でゲームが楽しめるか?」
「良いだろう」
リョウもカードを差し込む。同じく『100000000』と表示。
対戦開始。ディーラーが2人のカードを配る。
ラウンド1。カゴメの手札はグーのモグラが2枚ハンマーが1枚、チョキのモグラが5枚、パーのモグラが1枚ハンマーが1枚。
(お互いハンマーカードが2枚ずつ、若干偏ってるがこっちのカードが偏ってるって事は相手のカードも偏ってる確率が高い。一見するとただの心理戦を絡めた運ゲー。けど__)
リョウの顔を見た瞬間のことを思い出す。リョウの悦に浸る表情。
(あの顔は、イカサマをしてる顔だった。私の勘は間違いない!)
高級ステンレスタンブラーでコーヒーを飲む余裕のリョウ。
(それさえ見破ればこっちのもんだ)
カゴメがモグラカードを出す。同じくモグラカード出すリョウ。
「それで良いのか?」
「あぁ」
「それじゃいくぞ」
「ジャンケンポン!」
カードオープン。カゴメはグー、リョウはパー。リョウ計1000ポイント。
ラウンド2。
「ジャンケンポン!」
カードオープン。カゴメはチョキ、リョウはグー。リョウ計2000ポイント。
ラウンド3。
「ジャンケンポン!」
カードオープン。カゴメはチョキ、リョウはグー。リョウ計3000ポイント。
ラウンド4。
「ジャンケンポン!」
カードオープン。カゴメはグー、リョウはパー。リョウ計4000ポイント。
「最初の威勢はどうしたのかな?」
「そうですね〜、それじゃあ気分転換に1回後攻にしてみようかな? 良いですよね?」
一瞬、眉間に皺を寄せるリョウ。
「もちろん」
ラウンド5。
内心焦りながらリョウがハンマーカードを出す。
(やっぱりな)
同じくハンマーカードを出すカゴメ。
「ジャンケンポン!」
カードオープン。カゴメはパー、リョウもパー。リョウ計4000ポイント。
リョウが内心一安心する。
「丁度、半分終わったので10分間だけ休憩しましょう」
有名人のごとく写真撮影をするリョウ。
(勝ったなこの勝負、いくら足掻いても無駄だ)
スマホをいじるカゴメを遠目で見下す。
ラウンド6。
「目には目をイカサマにはイカサマを」
カゴメが台の下でエナジェクターを注入し、右足だけ変身する。左足から蔓を伸ばし後ろのカメラマンを転ばせる。壊れるカメラ。
舌打ちをするリョウ。カゴメがリョウに見えないように台の下でカードをシャッフルする。
(無駄だ。アイツのモグラカードはチョキが3枚パーが1枚、ハンマーカードはグー)
リョウの手札、グーのモグラが1枚、チョキのモグラが3枚ハンマーが1枚。
(出してきたカードがモグラだったらチョキ、ハンマーだったらグーを出せば勝ち!)
モグラカードを出すカゴメ。リョウが勝ちを確信する。
チョキのモグラカードを場に出すリョウ。
「行くぞ、ジャンケンポン!」
カードオープン。カゴメはグー、リョウはチョキ。カゴメ、ハンマーカードでの勝利により5000ポイント獲得。
「どうして、どうなってんだ!」
激昂するリョウに2枚のカードを見せるカゴメ。
「簡単な原理だ。このテーブルはカードの中に入ったチップによって認識してる」
「だから、エラーにならぬようモグラカードのチップを抜いてハンマーカードに重ねた」
「!」
「勝てばカードの弁償代くらい払えるしな」
「でも、僕がハンマーカードを出す事だって__」
「無いな、お前は俺のカードをその全く飲んでいないコップの底から見てたからな」
「何、言って__」
「生中継してるカメラに混じって私のカードを撮っていた。それを飲み物を飲むふりをして見ていた。違うか?」
事がバレリョウの仲間が逃げ出す。
「おい! お前ら!」
笑うカゴメ。
「休憩時間に中継をしている各カメラマンの会社を調べて、架空の会社があったからすぐ分かったよ」
リョウの顔の近くまで行く。
「爪が甘いんだよ、お坊ちゃん」
「クソッーーーー!!!!」
メリーカード剥奪され、MGLのスタッフに取り押さえられ土砂降りの中、外に追い出されるリョウ。
(どうしてこんなことに……)
カゴメが後ろから登場、カードを見せ付ける。
「ここにお前の金がたんまりあるぜ〜」
睨みつけるリョウにすかさずエナジェクターで召喚したピストルを突き付ける。
「!」
「私の遊び相手になってくれよ?なってくれるよな?」
名前 プラリィア名 キーポイント
月島レイ リィアジッカー 快楽
伊藤ルリコ リィアハナビ 富
章野アズハ リィアセシィ 自尊心
斜々羅リッカ リィアナャーコ 自由
旗部アカリ リィアリムス 明るい未来
彦宮ナギサ リィアキャット 自由な愛
無芽森カゴメ リィアザミア 自立心