CASA
枯れてしまったリポポネスとヴァノミアを拾い、首を傾げる。どっちも急速に枯れたかのように、干からびている。栄養とかのせいではないな。
「ヤド、この種生成を急成長させるとどうやら時間制限があるようだ」
「そうだな。そういう能力なのか、それともアルスの魔力の問題なのかは分からないが……一日ほどしたら枯れるようだな」
ヴァノミアの種を生成する。種生成にはさほど魔力の変動は感じない。そして、俺の能力で育てない限り急成長はしないようだ。この種が自然に成長するのか、成長したら長生きするのかは分からない。土を入れたカップにヴァノミアの種を植え、今後観察していくか。
でも、どれくらいで芽が出るんだ……これ。
肩に乗ったヤドが言う。
「枯れてしまったのは残念だったな」
「いや、あのまま永遠に咲かれていられても困ったよ」
「まぁ、それもそうだな」
今日のルーレットを開くと、選択肢は五つになっていた。増えたのは――
「傘……」
いや、これは以外に悪くないかもしれない。スコールは風の関係で使えるか分からないが、日差し避けとかに使えるかもしれない。ここ数日、粗品タオルばかリ当てていたテンションを上げ、矢を放つ。
矢が真っ直ぐに傘に当たると拳を宙に上げ、声を出す。
「よし!」
『パッパラパー、傘が当たりました~』
バサッと黒い傘が地面に落ちる。
『また明日も遊んでね!』
傘は頑丈に作られたものだ。これならば、スコールの突風にも耐えられるかもしれない。しかも、これはナイロン製だ。軽いし、耐久性もある。これならば、脱出するのにも使えそうだ。
傘を開くと、ヤドが傘の上に乗る。
「見たことのない生地だな」
「ああ、ナイロンっていう生地で、水を弾くことに優れているんだ」
「綿じゃないのか?」
「確か、合成――人工的な繊維だが……悪い、俺も詳しく知らない」
ヤドによると、こちらの世界にも傘はあるらしい。麻のような生地から作られているということだった。
「水を掛けてみてもいいか?」
「大量はやめてくれよ」
ヤドが傘の上から、雨を思わせる水を降らせると傘は全てを跳ね返した。五百円のビニール傘よりも断然クオリティーは良さそうだ。ルーレットはランダムな景品なようだが、使い方を考えれば、役に立つものをくれていると思う。
次の数週間、ダイエットに励みながら森の中で植物集めに明け暮れた。体重は分からないが、さらに十キロくらいは落ちたはずだ。
数週間のうちに、コップに植えていたヴァノミアの種から目が出て毎日少しずつ成長している。急成長させない限り、普通に成長するようだ。
ある程度痩せたので、避けていた泳ぎの練習を再開する。