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良き知らせ

「フォロス殿よ」


「はい、辺境伯閣下」


養女(むすめ)から聞いたが、

其方と養女(むすめ)の婚約を許可しよう。」


「辺境伯閣下!ありがとうございます!」


フォロス様とわたくしを見るお養父様の目が

とても、とても、お優しくて………


ああ、わたくしは、養女だけど、孫娘の

ようなわたくしを愛して育てて下さったの

だと、そう思いました。


「この件は、まずは、

国王陛下と王太子殿下には知らせておこう。」


「はい、宜しくお願い致します。」


「婚約を公表するのは来月辺りになるだろうが

ステフリーシュ辺境伯領内で、婚約者として

接するのは、構わない。何か言ってくる者が

あれば、儂の名を言うように。」


「はい、お養父様、ありがとうございます!

わたくしは、フォロス様と、ルドウィーク

お兄様に知らせて参ります。」


「うむ。知らせて参れ。喜ぶであろう。」







「ルドウィークお兄様

いま、宜しいでしょうか?」


「カトリーネか、入りなさい。」


用意された部屋で、ルドウィーク殿下は、

それはもう、優雅に、寛いでいました。


執事長であるラード様は、その後ろで

主に対しては、苦笑しながらも、微笑ましい

ような、柔らかい雰囲気を出しています。


「ああ、フォロスも、一緒か。」


「はい、フォロス様にも関係するので。」


「フォロスも? いったい、何があった?」


怪訝な顔をした兄と、執事長のロード様に

暗い話ではないと、明るい表情を保つ。


その様子に暗いニュースではないと察して

ルドウィークお兄様は、また、リラックスして

ゆったりとした雰囲気に戻りました。


「わたくし、フォロス様を婿養子候補として

推薦いたします。宜しいでしょうか?」


「フォロスを?ああ、もちろん、構わない。

父上も、兄上も、すぐに了承するだろうな。」


「まあ! すぐに?」


「ああ、フォロスならば、ステフリーシュ

次期辺境伯になっても、大丈夫なくらいの

実力があるだろう?」


「まあ!ルドウィークお兄様!

ありがとうございます!」


「ルドウィーク殿下

ありがとうございます!」






「フォロスよ

其方が義弟になるとは思わなんだ。

エリオット兄上が、一番喜ぶだろうな。」


「エリオットお兄様がそんなに喜ぶのです?」


エリオット・フォン・リベラ・クラウン・

レオシュリーク王太子殿下。33歳。


お父様に似て、金の短い髪に緑の瞳なので

似てはいませんが、ルドウィークお兄様と

わたくしの実兄であり、フォロス様の

上司にあたるお方です。


「ああ、フォロスは、兄上のお気に入りだ。

妹の婿養子ならば喜んで受け入れるさ。」


「まさか、王太子殿下とルドウィーク殿下の

義弟になるとは、私も思っていませんでした。」


「まあ!フォロス様は、エリオットお兄様にも

気に入られているのですね?」


「ああ、そうだ。兄上が、フォロスの才能を

見抜いて、カイオス伯父上に紹介したんだ。

剣術も、弓術も、武術も、すべて出来る上に

隠密として行動も可能だから、特殊部隊の

副隊長でもあるんだ。ちなみに、部隊長は

王太子殿下の執事長のレイドだよ。」


「表向きは、王都立騎士団の騎士団長補佐 兼

王太子殿下の護衛騎士なのですけれどね。

特殊部隊………つまり、隠密として、色々と

情報を探るのも、私の仕事です。」


「ちょ、ちょっと、待ってください………!

そんな凄い方を、ステフリーシュ辺境伯に

しても、大丈夫なのですか………!?」


「ああ、大丈夫ですよ。私は、王都と辺境伯領、

行ったり来たり、出来ますので。」


「す、凄いですね………!」


えっ!?思った以上に

フォロス様って、凄いお方………?


わたくし、第三王女で辺境伯令嬢ですけれど、

いたって平凡な娘なのに、良いのですか?


そんな凄いお方を、お婿さんにするの??


「ちなみに、そこにいるラードも

特殊部隊の関係者。私の部下ですね。」


「えっ!? そうなのですか………!?」


「はい、フォロス様の部下のひとりです。

フォロス様が、認めた婚約者様でしたら

我々、特殊部隊の者たちも歓迎致しましょう。

改めて、宜しくお願い致します。」


「ラード様………

歓迎して下さって、ありがとうございます。

改めて、宜しくお願い致しますね。」




「あれ? フォロス様

それならば、なぜ、わたくしを

王女と知らなかったのですか?」


「ああ。第三王女が養女として辺境伯令嬢に

なったという話は知っておりましたよ。

ただ、ステフリーシュ辺境伯の養女だとは

知りませんでしたので。」


「まあ! そうなのですね、でも、ちゃんと

調べてから、こちらに来た方が良いわよ?」


「貴女は、明らかに、無害でしょう?」


「む、無害………

確かに、無害ですけれど………」


「私たち特殊部隊は、一目見れば、貴女が

純粋か、敵なのかが、分かりますから。

我々が、調べていたのは、ダシュレード

侯爵側の第二王子過激派ですからね。

比べたら、天と地の差があります。」


「ああ、なるほど。それで。」


だとしても、無害って………


フォロス様、意外と、ばっさりとした

タイプなのかしら………?


「それに、貴女の純粋さに

一目惚れしたのは本当ですよ?」


「あ、ありがとうございます………」


近付いて来て、小さな声で囁く声に

顔を真っ赤にしてしまって


ルドウィークお兄様とラード様は、

より微笑ましい顔になりましたとさ。

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