次兄と姪
「ステフリーシュ辺境伯閣下
わざわざ、我らの出迎え、感謝する。」
「はい。 お待ちしておりましたぞ。
ルドウィーク殿下、並びに、アリシア様
ようこそ、ステフリーシュ辺境伯家へ。」
私の薄紅色の髪の色を濃くして朱色にした
ような短い髪に金茶色の瞳の美しい青年と
その青年によく似た4歳の女の子。
ルドウィーク・フォン・リベラ・クラウン・
レオシュリーク第二王子殿下。25歳。
ついに、ルドウィーク殿下と、その娘の
アリシア様が、到着されました。
「フォロス、久しいな。
こちらには、うまく馴染めているか?」
「はい。 ルドウィーク殿殿下。
ステフリーシュ辺境伯家の皆様のおかげです。
これから、しばらくは、私が殿下の護衛騎士に
なります。宜しくお願い致します。」
「ああ。其方が護衛騎士ならば、安心だからな。
兄上に頼んで、良かった。宜しく頼む。」
王太子殿下と第二王子殿下に気に入られて
いるフォロス様、いったい、何者………?
それくらいの実力者ということなのかしら?
「久しいな、カトリーネよ。」
「はい、お久しぶりでございます。」
「10年振りか………大きくなったな。
なかなか会いに来れず、すまなかった。
ダシュレード侯爵家の件が、思った以上に
長引いて、王都から、離れれなくてな。
兄上も、会いたがっていたぞ。」
「いえ。お兄様たちは、お忙しい身ですから
それは仕方ありません。大丈夫ですよ。」
わたくしに優しいのは、長兄の王太子殿下と
次兄のルドウィーク殿下だけ。
このお二人は、幼い頃から離れて暮らす妹が
心配みたいで優しいのです。
実父母も姉たちも、それほど、わたくしには
興味が無く、事務的なお手紙のみですから。
「ルドウィークお兄様
いろいろあって、大変でしたでしょう?
滞在中は、アリシア様と、ごゆっくりと
休んでくださいませ。」
「ああ、そうする。ありがとう。」
「ああ、そうだ。紹介する。
私の、可愛い一人娘、アリシアだ。」
「は、はじめまして………
娘の、アリシアでございます………」
どうしたら良いのか、分からないような
うるうる泣きそうな4歳の女の子………
この子が、アリシア・フォン・ダリーア・
ダシュレード・レオシュリーク。わたくしの
次兄、ルドウィーク殿下の一人娘です。
「アリシア様、初めまして。
レオシュリークの第三王女、ステフリーシュ
辺境伯の養女、カトリーネ・フォン・リベラ・
レオシュリーク・ステフリーシュと申します。
ルドウィーク殿下の妹にあたります。」
「アリシア、カトリーネは、私の妹のひとり。
もう一人の叔母様だよ。」
「カトリーネおばさま………?」
「ええ、そうです。アリシア様
これから宜しくお願い致しますね。」
お母様から、いきなり離れることになって
不安になりながら、来られたのでしょう。
いきなりは、母親代わりにはなれません。
ただ、仲良くなれるかは、アリシア様の
御心次第、ですね。
「ルドウィークお兄様
アリシア様の侍女見習いの件ですが
10歳の女の子、サリィ・ローエと8歳の
女の子、ケリー・シェスリオになります。
ふたりとも、トルコワ伯爵夫人の孤児院
出身の子どもたちです。」
「子どもを………ありがとう。」
「ルドウィークお兄様の護衛騎士は、
フォロス様とアラン様が交互に対応します。
表向き、フォロス様は、わたくしの護衛騎士
ですから、宜しくお願い致します。」
「ああ。分かった。」
別館に住まう女性、侍女見習いが、女の子の
子どもだと知って安堵するお兄様………
やっぱり、女性不信を? 子どもたちにして
良かった可能性が高いですね。
「ああ、ステフリーシュ辺境伯、カトリーネ
こちらは、私の執事、乳母の一人息子にあたる
ラードだ。彼のことも、宜しく頼む。」
「ステフリーシュ辺境伯様、カトリーネ様
ルドウィーク殿下の執事長を務めております
クートン男爵家の嫡男、ラードでございます。
宜しくお願い致します。」
「ああ、ラード殿も、宜しく頼むぞ。」
「ラード様。宜しくお願い致します。」
黒短髪に黒目の執事長、ラード・フォン・
カンパリー・クートン次期男爵。30歳。
ルドウィーク殿下の乳母、サリーチェ夫人の
一人息子にあたります。
「では、ルドウィークお兄様、アリシア様
今日は、ごゆっくり休んでくださいね。」
「可愛い妹、カトリーネ、ありがとう。」