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初恋

「シャノン」


「はい、お兄様、何でしょう?」


お父様の執務室から離れようとしたら

ランディーお兄様から、呼び止められました。


また、何か、お話しがあるのでしょうか?


「ステフリーシュ辺境伯家は、私が継ぐから、

君は、フェリクスを選びなさい。応援しよう。」


「お兄様!? で、ですが、フェリクスは、

貴族という訳でもありませんし、、、」


「うん?それなら、大丈夫だよ。フェリクスが

男爵を目指せば良いのだから。」


「た、確かに、そうなんですけれど………!」


ああああ、そうでした………!


トルコワ伯爵、アラン様の弟、ピーター様の

ように騎士として男爵を目指せば!


それなら、辺境伯令嬢のわたくしであっても、

フェリクスのお嫁さんに………


でも、それだと、命令にならないかしら!?


フェリクスの意思を尊重したいわ!


「シャノンは、アラスター公爵家のアリシア

次期公爵様を知っているだろう?」


「ええ、もちろん。あの御方は従姉ですもの。」


ルドウィーク叔父様の一人娘

アリシア・フォン・レオシュリーク・ア

ラスター・シェスリオ次期公爵閣下。26歳。


アラスター公爵閣下、ルドウィーク叔父様の

一人娘である母方の従姉です。


もちろん知っております。王都から離れない

アリシア様に、お会いする回数は少なくって、

3年くらいは会えていませんが………。


男爵の御方を婿に迎え、次期女公爵を目指して

おられる、そんな御方です。


「アリシア様に婿入りしたシェスリオ男爵閣下

ティムは、トルコワ孤児院出身なんだよ。」


「えっ!? そうなのですか!?」


ティム・フォン・シェスリオ・アラスター。

シェスリオ男爵閣下。32歳。


シェスリオ男爵閣下でもあるティム様は、

アラスター公爵令嬢、アリシア様に婿入り

した特殊部隊の隊長の騎士様です。


まさか、トルコワ孤児院出身の方だとは!


「公爵令嬢と孤児院出身の騎士様が?」


「ティムは、父上とラギさんの弟子なんだ。

ルドウィーク叔父上やアリシア様と関わりが

深いんだよ。表向きはアリシア様の護衛騎士

実は、特殊部隊の隊長だからね。」


「まあ!かなり身分差がありますね………!」


「うん、だから、シャノンも大丈夫だよ?

兄として、応援してるよ。」


「まあ!お兄様! ありがとうございます!」







「フェリクス、ご機嫌よう。

いま、お時間はあるのかしら?」


「シャノン様? ええ、今日は、休日なので、

時間がありますから、構いませんよ。」


ランディーお兄様の側にいないフェリクス。


今日は、休日なのかもしれない、そう思って

声を掛けてみたら、案の定、休日で。


「貴方に、ちょっと、ご相談があるのです。」


「ご相談が? はい、かしこまりました。」






「フェリクス、珈琲と紅茶があるわ。

貴方は、どちらをお選びに?」


「では、珈琲を頂きますね。砂糖は無しで。」


「アレッタ、フェリクスには砂糖なし珈琲を、

わたくしには、ミルク付きの紅茶を。」


「はい、かしこまりました。ご用意致します。」


さすがに、お互い、未婚同士の男女なので、

侍女のアレッタ、レーナが付き添い人です。


そのアレッタは、アラン様とアナベラ夫人の

長女で、歳の離れた20歳になる弟がいます。


弟のアイル様は、ランディーお兄様の執事で、

ランタナ男爵、セイゲル様の長女、レーナと

婚約しています。そのレーナも、この場に。


身内だらけの場所なので、安心できますね。





「フェリクス」


「はい、何でしょう………?」


どう伝えたら良いのでしょう?


恋愛小説を読んでみたけれど、分からなくて

一晩中、悩みました。


でも、やっぱり、シンプルが一番、かしら?


「フェリクス、いきなりなのですけれど、

わたくし、貴方、フェリクスが好きなのです!

もし良ければ、婚約者になりませんか!?」


「シャ、シャノン様が? なぜ、私を!?」 


フェリクスは、きょとんとした後、

わたくしの言葉を理解したのでしょう。


理解したとたん、フェリクスは、顔を真っ赤に

して、あわあわしながら照れてしまいました。

脈はあるでしょうか?


辺境伯令嬢であるわたくしからの、この告白、

予想外のことだった、でしょうからね………。


脈はあるのか、意識だけでもしてくれたら、

嬉しいのだけれど。


「ええと………?

シャノン様、本当に………?」


「ええ、もちろん、本当のことですよ?

わたくし、嘘は言っていませんわ。」


「シャノン様………その、実は、その、私も、

貴女のことが、好きなのです………!」


「フェリクス………」


わたくしは、予想外の言葉を聞きました。


いつも冷静な、お父様の弟子の一人である

彼が、顔を真っ赤にして、明かしてくれた

その言葉が、わたくしも衝撃的でした。


「貴女は上司の妹君で、私は、騎士とはいえ、

孤児の平民です!それでも、貴女への想いは

ありました! 貴女から、シャノン様から!

告白されるなんて、夢のようです………!」


「まあ! これは、夢じゃありませんわよ!

フェリクス、婚約者になってくれますね?」


「はい。貴女のためなら男爵位を目指します。

シャノン様、宜しくお願い致します。」


「フェリクス………! ええ、ええ、嬉しいわ!

宜しくお願い致します!」







ランディーお兄様とポーラ様の婚約発表の際、

わたくしとフェリクスの婚約発表も。


領民は、みんな、驚いておりましたけれど、

わたくしは、結婚したら、フェリクスと共に

辺境伯家の別邸に住むことになりました。


のちに、クロティルド男爵家となる屋敷です。


お兄様たちをお支えしながら、フェリクスと

共に、幸せに暮らしましたとさ。

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