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恋する少女

「フェリクス………」


薄紅色の長髪に紫水晶の瞳を持つ少女は

水平線が見える大海原を眺めておりました。


少女は、シャノン・フォン・レオシュリーク・

ロイべルート・ステフリーシュ。17歳。


ステフリーシュ辺境伯家の当主夫妻の第二子

長女として生まれ、育てられました。


先代当主夫妻の養女として育った王妹殿下と

先代宰相夫妻の三男として誕生し辺境伯家に

婿養子入りした現辺境伯閣下の娘です。


彼女は、恋に悩んでおりました。






「シャノン様には、何か、お悩みが………?

どうなされたのでしょうか………?」


「うーん………これは、どうしたものかな?」


恋に悩める少女を遠くから見守っているのは、

二人の男女。シャノンの護衛騎士と侍女です。


シャノンの護衛騎士、ケイト・フォン・ミー・

ランタナ・ラベール男爵。32歳。


もう一人は、その妻で、シャノンの侍女、

アレッタ・フォン・オイレースト・ランタナ・

ラベール男爵夫人。30歳。


かつては、シャノンの義叔母、アナスタジアの

護衛騎士と侍女でした。アナスタジア本人が

ラグニース子爵、カイル様に嫁入りしたため、

シャノンの護衛騎士、侍女になりました。


そんな夫婦は、可愛いらしい年若い(ぬし)

心配して、見てました。


何やら、ケイトは事情を察しているみたいで

苦笑しているみたいですが。





「シャノン様!!」


「フェ、フェリクス……!?」


美しい金の短髪に濃紺色の瞳の青年騎士様が

わたくしの名を言いながら、やって来ました。


彼こそ、わたくしの、最大の悩みなのです。


「こちらにおられたんですね………!」


「フェリクス……… ごめんなさい。

こちらで、考え事をしていたのです。」


「シャノン様が、考え事を………?」


「ええ、そうなのです。」


「シャノン様………お悩みがあるのでしたら、

話せる御方には、ご相談下さいね。もちろん

私でも、良いのですよ?」


フェリクスのことについて、悩んでいたから

貴方には、相談しにくいのだけど………


彼は、ランディーお兄様の護衛騎士のひとり

フェリクス・スチュアー。20歳。


チェスター様に嫁入りして、トルコワ伯爵夫人

となった従姉のクロエ様が経営する、トルコワ

孤児院で育ったらしい青年です。


「えっ? フェリクスに………?」


「ええ、もし宜しければ、なのですが。」


「………そうね。貴方に話せそうな時が来たら

その時は、話すかもしれないわ。」


「シャノン様? ええ、宜しくお願いします。」


きょとん顔のフェリクス。そうでしょうね。

わたくしは、貴方によく悩みを話しますもの。


今回は、一向に、話さないわたくしを不思議に

思って下さっているんだわ。


「ねえ、フェリクスは、何かご用事があって

急いでいるんじゃなくて?」


「ああああ! そうでした! フォロス様と

カトリーネ様がお呼びですよ!」


「そうなの!? 今から、向かうわ!」








「ああ、来たね、シャノン。」


「シャノン、おはようございます。」


「お父様、お母様、おはようございます。

朝の散歩に出掛けておりました。わたくしを

お呼びと聞いて参りました。」


ステフリーシュ辺境伯家の当主、フォロス・

フォン・イグナーツ・ロイべルート・ステフ

リーシュ辺境伯閣下。44歳。


王妹殿下にして、先代の養女、カトリーネ・

フォン・レオシュリーク・ロイべルート・

ステフリーシュ辺境伯夫人。40歳。


宰相の実弟と国王陛下の王妹殿下、こちらの

おふたりが、わたくしの実の両親なのです。


「おはよう、シャノン。」


「あら! ランディーお兄様じゃないですか!

おはようございます!」


黒の長い髪に金茶色の瞳を持つ青年騎士様。


お父様譲りの強さを持つ実兄、ランディー・

フォン・リル・ロイべルート・ステフリーシュ

次期辺境伯閣下。 20歳。


厳しい一面もございますけれど、わたくし、

妹相手だと、優しいお兄様ですわ。


「ランディーお兄様も呼ばれているのです?」


「うーん……… 呼ばれているというか………

私が、今回の、一番の当事者なんだ。」


「まあ! お兄様が? 珍しいですわね。」


のんびり屋なお兄様が、当事者だなんて!


この三人が、揃っている場所に急に呼ばれる

なんて、何があったのかしら………?






「シャノン、ついに、

ランディーの婚約者が決まったのよ。」


「まあ! だから、わたくしも呼ばれたのね!

お相手は、どなたなのでしょうか………?」


ランディーお兄様は、恋愛よりも剣な御方だ。


脳筋という訳でもないのに騎士生活が好きで、

恋愛のレの字も無いはずなのだけど………


我が家は、貴族では珍しい、恋愛結婚派だ。


つまり、兄が、その人と恋愛………?


「ふふふ。聞いて、びっくりすると思うわ。

メイジン男爵家の長女、ポーラよ。」


「えっ!?お兄様の婚約者が、ポーラ様!?」


ポーラ・フォン・レイリーン・オイレースト・

メイジン男爵令嬢。19歳。


オイレースト伯爵、アラン様の実弟にあたる

メイジン男爵、ピーター様とパトリシア夫人の

長女にあたります、2歳上の幼馴染です。


「えっ!?ってことは、つまり!!

ポーラ様をお義姉様と呼べるのですか!?」


「ああ、今年の秋に、婚姻式の予定だよ。」


「まあ! ご婚約おめでとうございます!!」


ポーラ様は、パトリシア夫人に似て、白金の

長い髪に水色の瞳の、美しいご令嬢です。


お二人は、仲睦まじい幼馴染。もしかしたら

婚約者になるのでは………?


いや、しかし、わたくしのお母様は、幼馴染の

ピーター様を選ばなかったので、どうなるのか

分からないな、、、という意見がありました。


が、お兄様は、幼馴染のポーラ様をお選びに

なられたようです。


「ポーラお義姉様と、呼べる日が楽しみよ。」


「シャノン、ありがとう。」

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