春水の婚姻式
春日和の、婚姻式当日。
いよいよ今日の夜18時、わたくしと
フォロス様は、結婚いたします。
騎士団長の就任式も兼ねている辺境伯家の
婚姻式は、いたって、シンプルなものです。
昔は、戦時中の婚姻式もあったそうなので、
早めに、早めに、短い時間でも、婚姻式が
出来るように、ということでしょうか。
「本日は、わたくし達の
婚姻式に来て下さいまして
誠に、ありがとう存じます。」
こちらは、婚約発表をした時と同じ会場。
わたくしやフォロス様の親族を含めた方々、
騎士団や海軍、警備隊、街の商人たちなどの
方々が集まって下さいました。
アナスタジアとアリシア様など、子ども達が
キラキラと好奇心旺盛にこちらを見ています。
か、可愛い………!
「皆様に、改めて、
こちらの殿方を、ご紹介いたします。
次期辺境伯として、騎士団長に就任致します
わたくしの婿、フォロス様です。」
「本日から、王都立騎士団の副団長から異動に
なりました。フォロス・フォン・イグナーツ・
ロイべルート・ステフリーシュとなります。
これからは、カトリーネの婿としても宜しく
お願い致します。」
「まだ未熟なわたくしたちですが、末永く
見守っていただけますと幸いです。」
わあああああああ!!!!!!!
皆様の歓声を浴びて、一番驚いたのは、
その歓声を浴びたフォロス様です。
あら、フォロス様、大丈夫よ?
領民の皆様は、すでに、優しくて、お強い
フォロス様を尊敬していて次期辺境伯として
認めてらっしゃるから。
ふふふ。 これからが、始まりなのよ。
「皆を代表しまして!
私は、トルコワ伯爵家当主、アリヴィアン・
フォン・シュワイエ・トルコワです!
先代の父上から、辺境伯立騎士団、副団長を
受け継ぎました。次期辺境伯であられます
騎士団長、宜しくお願い致します。」
「ああ、アリヴィアン副団長、宜しく頼むよ。」
ブレイデン様とアナベラの実父にあたります
アリヴィアン様が、副団長となりました。
ちなみに、ご嫡男のブレイデン様は自由人で
副団長向きではないため、さらに次の副団長
候補は、アラン様なのだそうです。
「オイレースト伯爵家当主、レオン・フォン・
ビー・イリッゼ・オイレーストです。父から
警備隊の隊長を受け継ぐこととなりました。
次期辺境伯様、宜しくお願い致します。」
「ああ、レオン警備隊長も、宜しく頼むよ。」
リリーサ様、アラン様、ピーター様の実父に
あたりますレオン様が警備隊長に。
嫡男のアラン様は、いずれ、騎士団の副団長
となる予定で、次期警備隊長は、ピーター様か
チェスターくんの可能性が高いそうです。
「ラグニース子爵家当主、カイベールト・
フォン・ユス・ケニシェン・ラグニース。
辺境伯領立の海軍の指揮をしております。
カトリーネ様、フォロス様、この度は、
ご結婚おめでとうございます。」
「カイベールト海軍指揮官も、宜しく頼む。」
カイルくんのお父上であるカイベールト様。
海軍という海を有する辺境伯領特有の部隊に
さすがのフォロス様も新しい分野を覚えるのが
大変そうですけれど、いきいきしております。
次世代の指揮官は、カイルくんか、それとも、
誰なのか、まだ、未定とのことです。
「お初にお目にかかります。
私らの子達が大変お世話になっております
ランタナ男爵家の当主、ニコラス・フォン・
セメート・ランタナと申す者でございます。
ご結婚おめでとうございます。」
「ランタナ商会からの、スーツ、ドレス、
アクセサリー等のプレゼント、ありがとう。
ニコラス、これからも、宜しく頼む。」
セルゲイ様、ミリーゼ様、ケイトくんの実父
であるランタナ商会長、ニコラス様。42歳。
その横にいらっしゃる緑長髪に黒目の女性が
ニコラス様の後妻で、アラン様、ピーター様の
実姉にあたる、リリーサ夫人。32歳。
わたくしのドレスとフォロス様のスーツを見て
嬉しそうでございますね。
「我が妹、カトリーネよ
其方の実兄として、フォロスとの結婚を
祝福する。おめでとう。」
「ルドヴィークお兄様、ありがとう存じます。」
王弟殿下であられるルドウィークお兄様が
発言したことで、正式に、王妹殿下であると
公表がなされました。
ステフリーシュ辺境伯家は王族の一つであると
その正式な公表がされたということです。
「フォロスよ、我が妹、カトリーネを頼む。」
「ルドウィーク王弟殿下、ありがとう存じます。
義弟として、宜しくお願い致します。」
「フォロスよ、私のことは義兄弟となったから
ルドウィーク義兄上で良い。エリオット兄上も
エリオット義兄上と呼ぶと良かろう。喜ぶぞ。」
「ありがとう存じます。ルドウィーク義兄上。
エリオット義兄上にも宜しくお願い致します。」
「うむ、伝えておこう。」
婚約式が完了しまして
フォロス様は、別館から、本館の
わたくしのお隣の部屋に移動しました。
今日からは、護衛騎士、侍女がいなくても
ふたりきりで過ごす時間が増えるのです。
ほとんど、一緒に過ごしてはいましたが、
ふたりきりになることはありませんでした。
なので、早くも、緊張しています。
「フォロス様、今日からは、あなたの
妻として、宜しくお願い致します。」
「カトリーネ………可愛いらしい貴女が私の妻
だなんて、夢のようで、こちらこそ、宜しく。」
「まあ!フォロス様、夢ではありませんよ?」
「これからも、仲睦まじい夫婦になろう。」
「ええ、もちろん、喜んで。」