春の隣
涼しげな風吹く
春がやって来ました。
ステフリーシュ辺境伯領もまた、
あちこちに、可愛いらしい花々が。
わたくし達の婚姻式まで、あと数日。
ステフリーシュ辺境伯領内も緊張感が
高まって来ているみたいです。
そろそろ、とある方々が着くからでしょうね。
「ああ、久しいな、カトリーネ。」
「カトリーネおばさま!おひさしぶりです!
また、これて、うれしいです!」
「まあ!ルドウィークお兄様に、アリシア様!
本当に、お久しぶりですね!来てくださって
ありがとう存じます!」
「フォロスおじさま、カトリーネおばさまの
こんいんしきのためですもの!」
そう、レオシュリーク王家を代表しまして、
今回は、堂々と、この二人が来られたのです。
わたくしたちの婚姻式のために。
この度、エリオット王太子殿下が国王陛下に
即位されました。その実弟は、ルドウィーク
王弟殿下としてアラスター公爵閣下となられ、
アリシア様は、公爵令嬢になりました。
なので、アラスター公爵閣下とご令嬢が堂々と
わたくしの次兄と姪として来られたのです。
「カトリーネ姫様、お久しぶりですね。
ロイべルート公爵家から、私と娘のクロエが
参りました。他の者たちは忙しく来れなくて
残念だと、おっしゃっていましたよ。」
「ロレンツォお義兄様、お久しぶりです。
ようこそいらっしゃいました!他の皆様にも
いずれまたお会いしたいとお伝えください!」
「ええ、もちろんです。ありがとうございます。
そうお伝えしますね。」
ロイべルート公爵家からは、代表して、
この度、公爵位を継いだフォロス様の長兄
ロレンツォお義兄様と、公爵令嬢になられた
そのご息女、クロエ様が来られました。
ついに、来月辺りからロレンツォお義兄様が
宰相となられることとなったのです。
ルドウィークお兄様と、フォロス様のお兄様
ロレンツォお義兄様のお二人は、エリオット
お兄様を支える者同士となりますね。
「カトリーネ義叔母さま!お久しぶりです!
アリシア様とお喋りしながら来ましたのよ!
カトリーネ義叔母さまの姪のアリシア様と
フォロス叔父様の姪のわたくし、公爵令嬢
同士、これから、関わりがあるんですの!」
「クロエ姉様、たくさんいろいろとおしえて
くださるの。とても、うれしいわ。」
「まあ!クロエ様、アリシア様と仲良くして
くださって、ありがとう存じます。」
これからは、アラスター公爵家、ロイべルート
公爵家、リトヴァールシュ公爵家、この三家が
この王国の、三大公爵家となります。
王弟殿下が初代当主のアラスター公爵家に
宰相を輩出するロイべルート公爵家、そして、
新王妃のご実家、リトヴァールシュ公爵家。
ちなみに、リトヴァールシュ公爵家もまた、
当主が変わって、新王妃の実弟、ビリー様が
新しい公爵となられました。
「カトリーネ様! そちらの方々が
ルドウィーク殿下、アリシア様、ロレンツォ
閣下、クロエ様でしょうかな!?」
「ええ。そうよ。 皆様、こちら、新しく、
トルコワ伯爵閣下となられたアリヴィアン様と
新しく、オイレースト伯爵閣下となられました
レオン様です。こちらのお二人が、ご案内を
致しますので、宜しくお願い致します。」
この春、トルコワ伯爵とオイレースト伯爵も
それぞれの嫡男に、当主が変わりました。
ランタナ男爵もまた、嫡男のセイゲル様に。
なので、この度のお客様のご案内は、この
新しい伯爵家の当主陣となったのです。
「そうか、アリヴィアン、レオンよ
我々の案内を頼む。我が妹、カトリーネよ
其方は、ピーターとパトリシア嬢の案内を。」
「はい、お兄様、かしこまりました。」
「ピーター様
お久しぶりでございますね。」
「はい、カトリーネ様、お久しぶりです。
こちら、オレの婚約者、パトリシアです。」
「姫様、初めまして。私は、ピーター様の
婚約者、レイリーン伯爵の長女パトリシアと
申します。宜しくお願い致します。」
レイリーン伯爵の長女、パトリシア・フォン・
ガンドリージ・レイリーン伯爵令嬢。17歳。
白金のストレートな長い髪に水色の瞳をして
いらっしゃる、可愛いらしいご令嬢です。
「まあ! ピーター様に! あのピーター様に
こんな可愛いらしい婚約者が! えっ!?」
「えっ!? って何ですか………?
まあ、言いたいことは分かりますけれど……」
ジト目で、こちらを見るピーター様。
パトリシア様の前では、ちょっと、頑張って
よく見られようとしている気がするわ。
「騎士団長のおかげで、知り合えました!
オレが二十歳くらいの時に婚姻式をしてから
この領地に一緒に来ますから、パトリシア共々
宜しくお願い致します。」
「ピーター様共々、宜しくお願い致します。」
「ええ、パトリシア様が、こちらに来られるの
楽しみですよ。 宜しくお願いしますね。」
「ありがとう存じます………!」