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隣国の噂

「どうやら、いま、ゲンローウ王国は、

自国内でのゴタゴタで、こちらには全く

目を向けれない状態に陥っているらしい。」


「あちらの王国で、何があったんですか?」


隣国のゲンローウ国王………


フォロス様の祖父、イグナーツ辺境伯家の

領地が隣接している国です。


今の国王陛下は、好戦的な性格な御方らしく

他国に目を向けている、とか。


「ゲンローウ王国のデルベラス王太子殿下は

長年、ソクトワ公爵令嬢、ミルセリーアと

婚約関係にあったはずなんだ。でも、夜会で

いきなり、婚約破棄を言い渡したらしい。」


「まあ!なんてことでしょう!」


「しかも、子爵令嬢のオラリエを妻にしたい!

そう言ったそうで、まあ、もれなく廃嫡に。」


「あらまあ、必要な手順を組めば、普通に、

子爵令嬢と婚約できましたのに………」


むしろ、ゲンローウ国王は、一夫多妻制だ。


一夫一妻の王国で育ったわたくしからしたら

よく分からない制度ではありますが………


普通に考えて、子爵令嬢を側妃にするぐらいの

感じで言えば丸くおさまったのでは………?


「ゲンローウ国王の息子は、デルベラスしか

いないはずだから、ゲンローウの次期国王は

ルーカツ王弟殿下になりそうなんだ。」


「ルーカツ王弟殿下に………」


「フォロス、何か情報、持っていないかい?」


「ルーカツ王弟殿下は、割と穏やかな気質で

戦嫌い、兄王とは不仲なので、ゲンローウは

かなり落ち着くかもしれませんね。詳しくは

また後日、報告しますよ。あちらを探っている

部下たちからの情報待ちなんです。」


「ふむ?その噂通り、戦嫌いな方なら大丈夫か?

実は、国王を狙っていたタイプから、油断は

禁物だけど。君の部下が詳しく調べて欲しい。」


「御意。 かしこまりました。」


ゲンローウ国王陛下の異母弟、ルーカツ・

フォン・サーザール・ゲンローウ王弟殿下。


名前だけ、聞いたことがありますけれど

あまり目立たないのか、あまり情報が無い

と聞いたことがありますね。


「エリオットお兄様、アナスタジアに

お会いしてみたいのですが………」


「ああ、アナスタジアなら、ルドウィークに

連れられて、今、アリシアと一緒にいるよ。」


「えっ? ルドウィークお兄様が………?

ルドウィークお兄様ったら優しすぎますね。

この後、会いに行って来ますね。」


「カトリーネ、ありがとう。」







「この子が、アナスタジアよ。」


「………お客さま? 初めまして。」


リュディーナ王太子妃が案内して下さって

会うことが出来ました。


この子が、例の件のアナスタジア・フォン・

ラナンデー・ダシュレード。8歳。


ダシュレード侯爵家特有のグレーの長い髪に

紫の瞳の少女です。ダシュレード侯爵である

祖父と同じ色彩を持ち、後ろ盾の無い彼女は

保護しにくい対象なんだそうで………


「レオシュリークの第三王女、ステフリーシュ

辺境伯の養女、カトリーネ・フォン・リベラ・

レオシュリーク・ステフリーシュと申します。

貴女の保護者となりました。」


「第三王女……… わたくしの、保護者………」


「ええ、貴女は、ステフリーシュ辺境伯領内に

住むことになりました。なので、わたくしが

保護者なのです。宜しくお願い致しますね。」


「は、はい、カトリーネ様。」


無表情………暗い表情………


それが、ぽかんと、唖然とした表情に

なりました。無理もありません。


彼女は、知ってしまったのです。 祖父母と

両親、叔母、叔父を含めた者たちが悪いことを

企んで、捕まってしまったことを。


自分も捕まるのでは、、、と思っていた時に、

第三王女で、辺境伯令嬢のわたくしが保護者

として名乗られて、、ぽかんとしています。


「貴女は、とても優しいトルコワ伯爵夫人の

孤児院に引き取らせていただきます。」


「とても優しい………? 孤児院に………?」


「ええ、いろいろとあったことでしょう。

まずは、ゆっくりと休養して下さいませ。

その後は、貴族令嬢として、何処かの家に

養女として入っても構いません。平民のまま

ひっそりと暮らしても、構いませんよ。」


「あ、ありがとう、ございます………!」


「アナスタジア、ご家族は、善悪を知らずに

育ってしまいました。これからは、善悪を

知り、ご家族の分まで幸せにおなりなさい。」


「はい、はい、ありがとう、ございます………!」


「ふふふ。 宜しくお願い致しますね。」


「よ、宜しくお願い致します………!」






自由を失ったと思っていた少女は


昔のダシュレード侯爵家の生活よりも

遥かに幸せな生活を手に入れました。


それを勧めてくれた、エリオット王太子

殿下とリュディーナ妃、カトリーネへの

感謝を忘れずに、過ごそう。


そう、心に決めて。

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