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派閥問題

「ダシュレード侯爵家を知っておろう?」


「ええ。お名前だけなら、知っていますよ。

ルドウィーク第二王子のお妃、マリーナ

第二王子妃様のご実家ですもの。」


あら?このタイミングで

ダシュレード侯爵家が出てくるの?


タイミングが悪いわね、実は、国王陛下が

ダシュレード侯爵の次男をわたくしの婿養子

候補にしたい、という手紙が来ていることを

言えないのですけれどーー。


「あやつは、きな臭い第二王子派だ。

嫡男の妻は、ゲンローウ王国の伯爵令嬢。

第二王子の妃には、自分の娘、と来ている。

ちなみに、ロイベールト公爵は王太子殿下派、

イグナーツ辺境伯や、我が家は、中立派だ。」


「まあ! なんてことでしょう!

まさか、あのゲンローウ王国と繋がって?」


「その可能性が高い。イグナーツ辺境伯の

孫息子であるフォロス殿は、我が家の支援が

必要だと感じて、こちらに来たようだ。」


あのゲンローウ王国は、戦の多い帝国のような

殺伐とした隣国、なのですよ。


フォロス様のお祖父様が治めている

イグナーツ辺境伯領とは、隣接しています。


孫息子のフォロス様は、よくよく危険性を知る

人物だからこそ、伝言を頼まれたのでしょう。


「フォロス様、あなたから見て、第二王子、

ルドヴィーク殿下は、どんなお方ですか?」


「優しいお方ですよ。彼は、王太子殿下派です。

王太子殿下と仲が良く、野心がありません。

むしろ、妃との仲は不仲、ダシュレード侯爵の

ことは信用していませんよ。」


「あらまあ、そうなのね。

王太子殿下派なのに、第二王子派が出来て

しまうなんて、厄介ね。ルドウィーク殿下は

これから、どうする予定なのですか?」


「1週間後くらいですね、ルドウィーク殿下は、

ステフリーシュ辺境伯に到着し、しばらく、

こちらで休養を、と考えておられます。」


「ルドウィーク殿下とマリーナ様の間には、

まだ、4歳のご令嬢がいるはずですが………

アリシア様も、来られるのでしょうか?」


「はい、もちろん、アリシア様も、こちらで

休養することとなりました。」


「フォロス殿は、ルドウィーク殿下の護衛騎士

として、滞在するそうだ。ルドウィーク殿下と

アリシア様の件、カトリーネ、頼めるか?」


「はい、もちろん。」


こうなりましたら、さすがに、残念ながら、

ルドウィーク殿下とマリーナ様のお二人は

離縁してしまうことでしょう。


そうなったら、姪のアリシア様が心配だわ。


しばらく、ステフリーシュ辺境伯領に滞在

するのは驚きましたけれど、関わりの薄い

兄妹とはいえ、信用されているのでしたら

こちらも、それなりに、対応致しましょう。





「フォロス様、わたくしも、お手伝い

致しますわ! 宜しいかしら?」


「お嬢様が? しかし、

ルドウィーク殿下は、マリーナ様と

離縁したばかりの頃に来ます。

未婚の女性をお近くに置くのは、、、、

いかがなものかと、、、」


「それならば、大丈夫だ。

だから、宰相は、ルドウィーク殿下を

こちらに寄越すのだろう。カトリーネよ、

正式に、フォロス殿に、自己紹介を。」


「はい、承知しました。

レオシュリークの第三王女、ステフリーシュ

辺境伯の養女、カトリーネ・フォン・リベラ・

レオシュリーク・ステフリーシュと申します。

さすがに、実兄であるルドウィークお兄様とは

恋仲になりませんから、ご安心を。」


「第三王女……… 〈忘れられた王女〉の………?

こちらに、おられたんですね………!」


それはもう、驚愕。仰天。不可思議な世界に

迷った子どものような表情のフォロス様。


まあ、そうでしょうね、幼い頃に辺境伯家へ

養子に出されて以来、全く顔を見せなくなった

第三王女は、〈忘れられた王女〉と呼ばれ始め、

兄姉たちですら、どんな顔だったかしら?と

話しているそうですから。


ちなみに、第二王子のルドウィーク殿下は、

わたくしの7歳年上のお兄様です。


「ああ、そういえば!

陛下から、お手紙が。ダシュレード侯爵の

次男を婿養子候補として紹介したいと書いて

ありましたが、陛下は、何を、お考えで?」


「この度の件、陛下は、まだ、知らぬのだ。

陛下へ話す際は、王族の誰かに噂が広まる故、

ひっそりと、ルドウィーク殿下とアリシア様を

保護する、という動きをしておる。陛下は、

ただ、ダシュレード侯爵から、ステフリーシュ

辺境伯令嬢に自分の息子を婿にしてはどうかと

言われただけに過ぎない。安心しなさい。」


「なるほど、、、陛下は、知らないのですね。

では、お断りの返事を書くこととします。」


まさかの、陛下は知らない案件、密かな宰相の

お考えには、こちらも、仰天してしまいます。


ですが、確かに、陛下に話す際は、常に誰かが

一緒にいますもの。内緒話はしにくいですね。


こういう非常時には、厄介ですわ。


「あと、もう一つ、書かれてある。

ルドウィーク殿下が来られるまでの間、

フォロス殿は、辺境伯令嬢の護衛騎士

として、滞在するように、と。」


「まあ!そうなの?

わたくしの護衛騎士に?」


「カトリーネ姫様

宜しくお願い致します。」


「ええ、宜しくね。」






「フォロス様!辺境伯家での貴方の

新しいお部屋に、ご案内するわ!」


「し、しかし………わざわざ、姫様が………?」


「あら、わたくしのことは、カトリーネと

呼んで頂戴。あなたは、ルドウィーク殿下、

アリシア様たちと別館に住むの。他の者に

案内を任せる訳にはいきませんよ………?」


「た、確かに!  宜しくお願い致します!」


フォロス様は、公爵家の方なのよね?


辺境伯令嬢に対して

敬語はいらないのだけれど………


まあ、いいわ。

そのうち慣れて来るでしょう。






「こちらが、別館よ。」


「思ったより、広いですね。」


「ここは、先代の辺境伯夫妻が

使っていたの。今は、空いたままなのよ。

清掃はされてるから綺麗なはずよ。」


長年、誰も住んでいない別館ですけれど

清掃員たちが綺麗にして下さいましたから

大丈夫でしょう。


ちなみに、その後、わたくしが点検しまして

問題は無い、大丈夫だと判断しました。


「別館の1階の一番手前の〈睡蓮の間〉。

こちらが、フォロス様のお部屋になります。

2階の奥の〈翡翠の間〉がルドウィーク殿下、

その隣の〈琥珀の間〉がアリシア様のお部屋に

なりますから、宜しくお願いしますね。」


「はい、ご案内ありがとうございます。」


本館と違って、こじんまりとした別館の屋敷。


それでも、人が住む部屋の中は、割と広めで、

お風呂、お手洗い、小さなキッチン付きだから

一人暮らしみたいに、快適に住めるはず。


フォロス様なら、騎士として野営したことが

あるでしょうからね、それより、快適よ。


「ふふふ。実は、1階の一番奥の〈瑪瑙の間〉に

わたくしの宿泊部屋があるのよ。貴方たちの

様子を知るために、たまに、こちらで寝泊まり

しますから、宜しくお願いしますね。」


「はい。 カトリーネ様の護衛騎士を頼まれ

ましたが、いつ、護衛騎士が必要ですか?」


「屋敷にいる間や、外出時かしら。お出掛け

したい時は、呼びに来るから、大丈夫よ。」


「はい、かしこまりました。」


「フォロス様

今日は、長旅で疲れたでしょう?

ゆっくりと休んで下さいませ。」


「カトリーネ様

ありがとうございます。」

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