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旅の前触れ

「ああ、そうだ!」


「ルドウィークお兄様?」


「実は、エリオット兄上から、ピーターと

ミリーゼ嬢の情報が届いたよ。」


「あら! あのふたり、どうされています?」


あの二人、ピーター様、ミリーゼ様が王都に

旅立ってから、1ヶ月以上が経過しています。


そろそろ、ちょっと落ち着いた頃でしょうか。


「まず、ピーターからだな。

クラウン次期侯爵、オンタール次期侯爵との

手合わせで負け、第二部隊の女騎士である

ヴェリッサ嬢にも負けたらしい。」


「まあ!ヴェリッサ様、一見、華奢な商家の

箱入り娘に見えるけれど………」


「うん?ああ、フォロスから聞いたんだが、

あの者は、いま、第二部隊の次期隊長候補と

言われてるようだ。」


「まあ!思った以上に、お強いお方のね!」


「それから、ピーターは、自分の未熟さを

恥じたようだ。ディルークに弟子入り志願し

その後は、今のところ、大人しいそうだ。」


「えっ?あのピーター様が? 驚いたわ!」


とにかく、上司にも反発し、下の者を見下し、

短気なところがあるピーター様が大人しい……


ディルーク様は、何者なのかしら?




「次に、ミレーゼ嬢だね。

侍女見習いの仕事は難しいんじゃないか…?」


「えっ!? いったい、何が、あったのです?」


「ピーターを見かけたら、ピーターが護衛騎士に

ついて学び中であっても、仕事中に喋りかけに

行く、不思議な商家の娘………と噂をされてて、

ピーター自身、かなり困っているようだね。」


「まあ!なんてことでしょう!大丈夫かしら?」


そういえば、ミレーゼ様は、騎士団に普通に

ピーター様に会いに行ってしまう子でしたわ!


辺境伯立騎士団の第二部隊では、ピーター様の

幼馴染だから、許されていた行為………


でも、ミレーゼ様、そこは、王都なのよ?


「あとは、清掃が苦手で、わたくしはやれない

と反発している。教育係の、フィーナー伯爵

令嬢ですら、お手上げのようだな。」


「しばらく、様子見て、、、それでも、難しい

様なら、ミレーゼ様に王都内の商家のお針子

見習いになることを勧めてみてくださいませ。」


「ふむ? 分かった。そうしよう。」


「ええ。宜しくお願い致します。」


ステフリーシュ辺境伯領内では、一番の

大富豪、ランタナ商会の娘、ミレーゼ様。


男爵令嬢としても、商家の娘としても、

清掃は、全くしたことが無いのでしょうね。


「ミレーゼ様は、清掃が苦手なのね。」


「うん?ああ、どうやら、そのようだな。

特に、お手洗いの清掃は、汚くて嫌だ!と

逃げ腰らしいぞ?」


「まあ!そうなの?わたくしは、王女で、

辺境伯令嬢ですが、アナベラから、お手洗い

清掃の仕方を教わっていますよ?」


「其方は、珍しい王女だな………」







「カトリーネ」


「まあ!フォロス様?

わたくしの書斎へ、ようこそ、いらっしゃい。

フォロス様も、ご一緒に、どうぞ。」


別館の最上階の片隅に小さな書斎があります。

わたくし専用の隠れ家のような。


フォロス様だけ、入れるようにしていまして

ルドウィークお兄様から、わたくしの居場所を

聞いて、こちらに、来たのでしょう。


「カトリーネ、ありがとう。

ちょっと、甘えていいかな?」


「あらまあ、わたくしに、甘えたいの?

甘えん坊なフォロス様は、珍しいわね。」


「ルドウィーク殿下とアリシア様の王都への

護衛で、私も、王都へ行くことになったんだ。

これから、いろいろと大変になりそう………

甘えたいの、だめかな?」


「ふふふ。だめじゃないわ。いらっしゃい。」


甘える………と言っても、まだ、婚約中の身。


婚姻は、まだなので、ただ、フォロス様が

隣に座って、のんびりするだけですけれど。


それでも、案外、可愛いらしいところがある

フォロス様と、ゆったりと過ごせるなんて、

わたくしは、嬉しく思いますよ?


「カトリーネ」


「はい、なんでしょう?」


「カトリーネは、婚姻式、いつが良い?」


「そうね、来年の春は、いかがでしょう?

婿養子として、正式に次期辺境伯になるのは

早い方が良いでしょう?」


「ありがとう。カトリーネが、私の奥さんか。

うん、とても、嬉しいよ。」


「ふふふ。わたくしも、楽しみでございます。」


婿入り前のはずなのに、ステフリーシュ

辺境伯家に自由に出入りしても良いと思われる

くらいの信用を手にしている彼ですが


さすがに、次期辺境伯にならないと出来ない

仕事があるみたいです。それは、お養父様が

担当されているお仕事です。 そのお仕事を

手伝えるのは、次期辺境伯だけなので。


「フォロス様のご家族に会ってみたいわ。」


「なら、カトリーネも、王都に来るかい?

ルドウィーク殿下とアリシア様を送り届けたら

ロイベールト公爵家に挨拶できるよ?」


「まあ! ぜひ、行きたいです!

宜しくお願い致します!」


「ありがとう。可愛いカトリーネを家族に

紹介できるなんて、嬉しいよ。」


「ふふふ。楽しみが増えましたね。」

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