次兄の道筋
秋の季節になりました。
ちょうど良い涼しさのようで
辺境伯領内の商店街は、出店を出して
わいわいがやがや、非常に賑わっています。
ピーター様とミリーゼ様が王都に旅立って
1ヶ月以上が経過しています。
わたくしは、孤児院や商店街の視察をしたり、
辺境伯領内の貴婦人や貴族令嬢たちとの社交を
したり、いつも通りに、過ごしておりました。
ちなみに、フォロス様は、騎士団や警備隊、
海軍などの強化をしながら、3人の弟子たちを
鍛えているようですよ?頼もしいですこと。
そのような中、やはり、一番気になるのは、
ルドウィークお兄様とアリシア様です。
「お兄様、おはようございます。」
「ああ、カトリーネか、おはよう。」
「お兄様がわたくしをお呼びになられていると
伺っておりますが、何か、ありましたか?」
フォロス様が、昨夜、ルドウィークお兄様が
わたくしに相談をしたいことがある、と。
フォロス様ではなく、わたくしに……という
ことは……… これは、王族案件でしょうか?
それとも、アリシア様に、何か?
「カトリーネに、相談があるんだ。」
「はい、ご相談があると伺っておりますよ。
いったい、何があったのでしょうか………?」
ルドウィークお兄様が、フォロス様経由で
わたくしを呼ぶのは、滅多に無い。
アリシア様が、わたくしと一緒に寝たい!
って泣いている時くらい不安定な時のみだ。
しかし、今は、朝方。急な用事ではないとは
聞いていますが、さすがに、気になりまして
別館のルドウィークお兄様のもとに来ました。
何か、ありましたでしょうか?
「アリシアと、こちらに来て、
半年が経っただろう?そろそろ、王都に
戻ることにしようか……と思っているんだが、
カトリーネは、どう思う………?」
「ルドウィークお兄様は、
エリオットお兄様をお支えできる実弟です。
王太子殿下の味方だと、はっきりと示すことが
必要な時期になってきたかと思われますから、
その方が、良いのでは無いでしょうか?」
あれから、すでに、
もう、半年が経ちました。
ラギ様からの情報によりますと、
どうやら、第二王子派は衰退していますから
ルドウィークお兄様がそろそろ戻って来ても
良い頃合い………なんだそうです。
「来年、春頃になるだろう。
エリオット兄上が、国王陛下に即位する
ことが決まった。 と同時に、兄上の嫡男
シルヴォート殿下が立太子される予定だ。」
「あら!ついに? おめでとうございます!」
エリオットお兄様が国王に即位すれば、
ルドウィークお兄様は、王弟殿下になられ
正式に、継承位が第三位になられます。
娘のみのルドウィークお兄様は、継承位は
高くても、国王陛下になるのは難しいので、
公爵位を賜わることとなるでしょう。
「カトリーネなら、
予想はしていると思うが、公爵位を賜る。」
「まあ!おめでとうございます!」
「どうやら、私は、アラスター公爵
となることが決まったらしい。」
「あら、つまり、お兄様は、アラスター公爵
ルドウィーク王弟殿下となられるのですね!」
お兄様は、ルドウィーク・フォン・リベラ・
レオシュリーク・アラスター公爵閣下に。
王弟殿下として、エリオットお兄様や
甥のシルヴォート殿下を支えるために邁進
していくことになるでしょう。
「再婚はしなくていい様、兄上が父上に言って
くれたそうだ。アリシアは、カトリーネの様に
アラスター公爵家の一人娘として、婿養子を
迎えることになるだろう。」
「わたくしを見本に?ありがとうございます!」
「エリオット兄上いわく、今は、娘アリシアの
心を優先にせよ、と。 再婚して、もしも、
ダシュレード侯爵を悪く思う女性ならば………
あのダシュレード侯爵の孫娘であるアリシアは
密かに迫害されかねない、と。」
「はい、わたくしも、その方が良いかと……
アリシア様がいじめられないように、せめて
家だけは、味方だらけの方が良いでしょう。」
「サリィ、ケリーを、新 アラスター公爵家に
引き取っても良いだろうか………?」
「はい。それに関しては、トルコワ伯爵夫人や
ケリーの兄、ティムくんからも許可をもらって
おります。ちなみに、ティムくんは、いずれ、
特殊部隊に所属するため、15歳になったら、
王都に異動するそうですよ。」
「そうか! カトリーネ、ありがとう!」
こんなこともあろうかと、根回し済みです。
サリィも、ケリーも、アリシア様を可愛がって
おりますし、アリシア様も、仲良しな味方の
侍女見習いは、かなり貴重な存在ですから。
「私は、優しき兄上と妹を持てて、幸せだ。
本当に味方になってくれて、ありがとう。」
「ふふふ。わたくしも、優しいお兄様たちと
可愛い姪っ子がいて、嬉しく思いますよ。」