婚約発表
ついに、この日が!
ステフリーシュ辺境伯領に住む
お養父様の親族、辺境伯家の関係者などの
方々に、正式に、婚約の発表をする日です。
今夜は、辺境伯家の近くにあります、夜会の
会場を貸し切って、フォロス様のお披露目会、
わたくしたちの婚約発表となります。
「ステフリーシュ辺境伯家の関係者たちよ
今日は、急きょ、集まってくれて、有難う。」
ステフリーシュ辺境伯の親族、
トルコワ伯爵家、オイレースト伯爵家、
ラグニース子爵家、ランタナ男爵家の面々。
さらに、騎士団や海軍などの面々や商人達の
上層部のメンバーたちも揃っている。
子どもたちを含めて、かなりの人数が集まり、
騒ついていたが、ステフリーシュ辺境伯閣下の
発言で、見事にシーンとなりました。
「まずは、儂の養女、カトリーネよ
この者たちに、正式に、ご挨拶を。」
「はい、承知しました。
レオシュリークの第三王女、ステフリーシュ
辺境伯の養女、カトリーネ・フォン・リベラ・
レオシュリーク・ステフリーシュと申します。
今まで、黙っていて、申し訳ありません。」
「カ、カトリーネ様が、第三王女殿下………!」
ご挨拶したとたん、一斉に、ざわざわと………
特に、ミレーゼ様は、仰天、驚愕な顔立ちで、
真っ青な顔をしていらっしゃいます。
まあ、確かに、今まで、辺境伯令嬢や王女に
対する態度ではなかったからでしょうけれど。
「わたくしは、ステフリーシュ辺境伯夫人、
エメライン夫人の姪として、辺境伯夫妻の
養女となりました。 辺境伯領の皆様方、
改めて、宜しくお願い致します。」
と、わたくしのご挨拶は、短めに。
ちなみに、今回、公表したのは、万が一、
療養中のルドウィーク殿下の噂が広がっても
ああ、妹に会いに来ただけかな、と思って
頂ける可能性が高いから、ですね。
辺境伯令嬢のための席に、ゆっくりと
優雅に、戻りました。
「今回、ステフリーシュ辺境伯家の養女と
なってくれたカトリーネの婿養子が決まった。
儂の義息子は、つまり、次期辺境伯である。
フォロス殿、正式に、ご挨拶を。」
「はい、承知しました。
私は、ロイベールト公爵が三男、フォロス・
フォン・ゼノン・イグナーツ・ロイベールト。
王都立騎士団の騎士団長補佐をしています。」
辺境伯領の関係者の皆様、この度は、お会い
出来て光栄です。これからは、次期辺境伯
として、宜しくお願い致します。」
「フォロス殿は、あの宰相の息子で、我が親友
イグナーツ辺境伯の孫息子である。辺境伯家の
役割をよく知る者であるから、カトリーネの
相手として相応しい、と推薦したのだ。」
さらに、騒ついて来ました。そうですよね!
まさかの王都立騎士団の
騎士団長補佐をしている公爵家の三男坊が、
あの宰相のご子息が次期辺境伯になるのか!?
という感じの反応なのでしょうね。
あら、ピーター様が、顔を真っ青にして………
名乗らなかったから仕方ないのですけれど
次からは、気をつけてくださいね?
「皆を代表して、
儂は、トルコワ伯爵家当主、エイベスト・
フォン・リブ・オイレースト・トルコワ。
辺境伯立騎士団、副団長をしておりますぞ。
我々は、フォロス様を歓迎致します。」
御生母は、オイレースト伯爵の伯母、
アリヴィアン様のお父上で、アナベラの
祖父にあたります、トルコワ伯爵閣下。
オイレースト伯爵とは、従兄弟同士の
エイベスト・フォン・リブ・オイレースト・
トルコワ伯爵閣下。70歳。
緑の短い髪に黒目の厳つい顔立ちの割に
優しくて、正義感溢れるお方です。
「こちらは、儂の嫡男、アリヴィアンです。
来年からは、トルコワ伯爵を息子に引き継ぐ
予定ですので、宜しくお願い致します。」
「改めまして、
トルコワ次期伯爵、アリヴィアン・フォン・
シュワイエ・トルコワです。カトリーネ様、
フォロス様、ご婚約おめでとうございます。」
アリヴィアン様は、厳つい顔を幸せそうに
微笑んで、優しい表情をしています。
その隣で、孤児院の院長先生イゼーナ夫人も
ふふふ、と笑みを浮かべています。
「「祝福、ありがとうございます。」」
「オイレースト伯爵家当主、エックルス・
フォン・レイ・シーベル・オイレースト。
辺境伯領内警備隊の隊長をしております!
次期辺境伯様を歓迎致します!」
アラン様とピーター様の祖父にあたります
オイレースト伯爵閣下、エックルス・フォン・
レイ・シーベル・オイレースト伯爵。68歳。
オイレースト伯爵閣下は、栗毛の短い髪に
黒の目の、真面目すぎるお爺さんです。
「こちらは、
オイレースト伯爵家の嫡男、レオンです。
私の孫アランとピーターの父親になります。
我が家も、来年から、オイレースト伯爵を
レオンに譲ります。宜しくお願い致します。」
「初めまして、フォロス様。
オイレースト次期伯爵、レオン・フォン・
ビー・イリッゼ・オイレーストです。
ご婚約おめでとうございます。」
オイレースト伯爵のお隣にいらっしゃるのが
アラン様とピーター様のお父上、レオン様。
厳つい見た目の割にお茶目なおじさまです。
ニコニコなアラン様と、気まずそうな表情の
ピーター様も、お辞儀しました。
「「祝福、ありがとうございます。」」
「ラグニース子爵家当主、カイベールト・
フォン・ユス・ケニシェン・ラグニース。
辺境伯領立海軍の指揮をしております。
フォロス様を歓迎致します。」
早くに、お父上が引退して、子爵家当主と
海軍の指揮をしているラグニース子爵閣下
カイベールト・フォン・ユス・ケニシェン・
ラグニース子爵閣下。30歳。
アラン様とピーター様の母方の従兄で、
珍しい青紫の短髪に黒目の青年です。
「こちらは、我が家の嫡男、カイルです。
まだ、10歳と若いですが、親子共々、
宜しくお願い致します。」
「ラグニース次期子爵、カイル・フォン・
ケイニ・レターズ・ラグニースと申します!
ご婚約おめでとうございます!」
お隣にいる10歳の嫡男、次期子爵の
カイルくん。お父上と同じ青紫の短い髪に
黒目の、可愛いらしいご子息ですね。
「「祝福、ありがとうございます。」」
「皆の者、本当に、有難う。
其方たちのような部下を持てて、
儂は、幸せに思う。当主陣も次世代の者達も
我が義息子となる次期辺境伯、フォロス殿と
次期辺境伯夫人、カトリーネを宜しく頼む。」
「「「御意!!! 承知いたしました!!!」」」