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天龍公爵は、なにもない場所で静かに生きたいふりをする。  作者: ねるはちばちさん
序章 長い長いプロローグと幼少期
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常識人と買い物

 産まれてから、一年と3ヶ月ほど経った。


 ちなみに今は12月の初めで冬である。


 暦で違うのは年だけらしく、それ以外のほとんどは、日本と大体同じらしい。


 この国限定かもしれないが。


「ガル、お爺ちゃんだぞ〜」


 眼の前にいる、赤毛碧眼のやつれている初老の男性が僕の祖父だ。


 毎年、冬には、祖父が返ってこれるらしい。


「おじ、おじいちゃん」


 僕は、この冬に「お爺ちゃん」と初めて喋った。


 なぜなら、祖父は普通に孫に対しての扱いをしたからだ。


 この家では、珍しい普通に赤ん坊に接せる人物であり常識人だよかった。


 その為、ママ、パパなんも言わない両親に変わってお爺ちゃんと読んだのだ。


 まぁお爺ちゃんの以前の人柄は、父親をみると、少し違いそうだが。


 お爺ちゃんは、もう喋れるようになったのかと驚いて使用人に聞いたが、初めて喋ったと聞いて僕への溺愛ぶりは加速した。


 初めて喋ったのが、自分の事という事に感動したらしい、多分父親や伯父たちは最初に呼ぶ名前がメイドとかだったんだろう。


 祖父は、休みが終わったら直ぐに王都に戻るらしい…嫌だなぁ…僕もそうなるのだろうか?


 祖母は、僕の産まれる3年前に亡くなったらしい。


 おそらく、この世界の平均寿命は暦から考えると三十歳くらいなのかもしれない。


 ステータスとかも考えると四十歳とか?その辺なのだろうか?


『五十歳から六十歳です。』


 意外と長かった。ん?だとするとかなり早いことにならないだろうか?


『あなたの祖母は、あなたの父の領地経営のサポートや、祖父のサポートをし続け過労によって寿命が縮まったと考えられています。』


 絶対、王都行かないよ。僕は、本当に。


「お爺ちゃんと街に行ってみるか?ガル。」

「うん、いきたい。」


 僕はやっと自分の力で歩き、走れるようになったので活動できる場所がかなり増えた。


 だからといって、街に一人で行って遊ぶとかは出来ないので行ける範囲は、屋敷の中である。


 屋敷には、不審者が入ることはまず無理なので、僕は外で庭走ったり剣を振ってみたりなどして一人で暇を潰せる時間が増えた。


 そして、今日、初めて外に行けるチャンスが来たのである。


 領都 ギリアム、商業が活発で海が近いガッザベル領の領都である。


 賑やかな声に心が踊る。久しぶりにこんなに騒がしい街の声を聞いた気がした。


 祖父に手を引かれ街を歩く、貴族って感じの服ではなく結構地味な服だ。


 お忍びということなんだろうか?


 やっぱり貴族だからな、暴漢に襲われるのかも知れない。


 そうすると、護衛をつけてたりしてたほうがいいのではないだろうか?


 お爺ちゃんは、護衛がいらないくらいに強いのかな?


「ガル、欲しい物はないかい?」


 欲しい物…いきなり言われても思いつかないなぁ…


「普通の剣がほしい!実戦で使える奴!」


 あれ?何故か口から出ていた。そんなに欲しかったっけ?まぁいいか…


「剣…か、まぁよかろう。」


 お爺ちゃんが、なにやら独り言を言っているがどうしたのだろうか?


「確かこっちに鍛冶屋があった筈だな。迷わないように爺やと手を繋いでくれるか?ガル。」


「うん。」


 そういって僕を連れて来てくれた鍛冶屋はかなり立派なものだった。


「冒険者ですかい?紹介状などはお持ちで?」


「ケルベ・ロスムートだ、軽い、子供が扱える剣で一番いいものが欲しい。」


 会話になってないと思うんだけど…


「は?紹介状はあるかって聞いてるんだぜ?おっさん。」


 そうなるよねーうん、お爺ちゃんはどうするのだろうか?


 あと、この人とお爺ちゃんの歳はそこまで、変わらないと思うのだけど…


「おい!新入り、こっちに来い。」


 奥から、声が聞こえて親方らしき人が出てくる。


「すいやせん。あの新入りは流れ者なもんでして、腕を見込んでここで雇ってるんです。」


「いや、別に気にしなくていい、最近多いと聞くしな。こちらこそ、急に押しかけて悪かったな。」


「いえいえ、そこの坊っちゃん用の剣で?」


「あぁ、この子が欲しがるのと一応は護身用にとな。」


「それはそれは、宜しいので?」


「まぁこのくらいならよかろう。それで、なにか良いものはあるか?」


 話についていけないが、深く考えないようにしよう。


…ここで熱出してぶっ倒れたら不味い。


「えぇまぁ、ですが…まだ1歳とかそこら辺に見えるんですがねぇ。見てもよろしいですかい?」

「あぁ、問題はない、言いふらさなければな。」


 レンズの入っていない虫眼鏡のような物を取り出して店主は言った。


「ふむ、魔貨式の鑑定魔導具か…珍しいな。」

「へぇ、どうやら錬金術が盛んな国からの輸入品らしく、便利でしてねぇ。」


 気になることしか言わないですねー。いや気にならないんですけどね。本当にね。


 虫眼鏡に魔石だろうか?いや、さっき話題に出た魔貨か?を差し込み僕の方を向けて覗いた。


「坊っちゃん、称号はこういう時は外すんですよ?」

「あぁすまない…はぁ、まったくアイツはなにを教えているんだ…」


 どうやら、お忍びの時には称号は外すものだったらしい。


 そういえば…鑑定、なるほどステータスを見るのか?


『EXスキル〈鑑定〉は、ステータスと称号、名前、種族、物品の価格や概要のみ見ることができます。』


「ハッハッ」

「どうした?ガル、儂はガルに怒ったんじゃないぞ?大丈夫じゃからな?」

「いえ、大丈夫です…」


 危ない、驚いて過呼吸になってしまった。情報は大したことじゃなかったのでよかった。


「このステータスは…」

「どうした?」


 そういえば、僕ステータスは見れないから一般的な物を知らないんだった。


 どうなんだろう…高いのかな?


「言いにくいんですが…とても低いです…」

「そうか…」


 えっ…


「ミスリルの短剣なら持てるでしょう。」

「ミスリルか?杖に使うものじゃないのか?」

「ミスリルは、魔法伝導性が高いだけじゃなくて、鉄と同じくらいの硬度なのに軽いんですよ。感覚がズレるので好む人はほとんどいないですし…重量が乗らないので相対的に攻撃力が下がりますが…護身用などにはよく、更に」

「わかった、それにしよう。最高の物はどんなものだ?」


 なんか、どっかでみたことある光景だな。


「坊っちゃん持ってみてください。全てミスリルでできていますが、杖と同じようなものなので柄はかなり持ちやすい筈ですし、軽いでしょう?」


 軽いし、持ちやすい…けれどなんだか吸い付いてくるような?


「かるい、もちやすいでも…変?」


「あー言うの忘れてましたよ!魔法系のステータスは概ね高かったので、それが起因してるんでしょう。」

「そうか!」


 お爺ちゃんのほうが喜んでるのはなんなのだろうか?


 そういえば、鑑定のあれは僕に向けられたりして確認されたりしてないな…普通やるもんだと思うけど。


 貴族のステータスの情報は伝わらないようにということか?


 お爺ちゃんが、会計をしている間にちょっと振ったりして試してみよう!


 うん?よく考えてみると…これって杖なんじゃ…


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