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天龍公爵は、なにもない場所で静かに生きたいふりをする。  作者: ねるはちばちさん
序章 長い長いプロローグと幼少期
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プロローグ



「待って、止めて」


 病室に両親の大声が響いている。


(聞こえているのに、なにも出来ないなぁ…別れの言葉くらい言いたかった…)


 僕、天里 千鶴は十二歳の時、交通事故にあった。


 その事故は、飛び出してきた子供をトラックが避けるときに、ハンドルを誤って歩道のほうに切ってしまうというものだった。


 そして、その先には、僕がいた。


 トラックは、古いガードレールに突っ込みそのまま僕の足を轢いて折れたガードレールは僕の目を思いっきり裂いていった。


 僕は一命を取り留めたけれど、両足と目は戻らなかったし、手術の後遺症が残った。


 不幸な事故だと思うし、自分の中では、もう恨むとかそういうのは無かった。


 それから2年、一時期は車椅子で外にも出られていたが、僕は体すら動かすことが出来なくなり、どんどん衰弱していった。


 両親の声を眠ってるのかよくわからない状況で聞くことしか出来なかった。


(どんどん両親の声が離れていく多分このまま死ぬんだろうな…)


「心音が…千鶴死ぬなよ!」


 両親の声が何処か離れていってどんどん静かになっていく、元気づける言葉と思い出話で騒がしかった昼の病室に音が無くなった。


(もう聞こえない…多分僕は死んじゃったのかな、あれなんか明るい…赤い?)


 死がいつも近かったので、死んでしまったことを認めるのが、自分でも驚くほどあっさりできた。


(死ぬ覚悟は、できていたし、泣いたり絶望するのは以前に随分とやったしね。出来なかったことに対する後悔は沢山あるけれど。)


 天国なのだろうか、それとも、地獄と天国を決める審判?


「********」

「****」


 なんだろう、声が聞こえる神様かな?神様独自の言語もあるんだなぁ。


 ところで僕はてんご…『手触りのいい布貴族家であると『周囲の把握を行い『この国の言語の解析を開始最初の言葉は男の子ですであると『周囲状況からこの場所はテネレ王国ガッザベル公爵家であ『トルネ・パルラス ガッザベル公爵家 公爵夫人専属侍女 黒と白の服、メイド服と判『カルライナ・ルージュ・フォン・ガッザベル ガッザベル家公爵夫人〜』


 頭が痛い、煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い 


 目が見えないのに周りの色も人の顔も見えるおかし…痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い


「おぎゃぁぁぁ」


あまりの痛みに僕は絶叫し、流れるように失神した。


「よかった、産声をあげました。もう大丈夫ですよ!」


「よかったわ!でも、この子動かないけど大丈夫なのかしら?」


「あっ凄い熱です、誰か治療、癒術士を呼んでくださーい」



 何日か経ってようやく、頭の痛みが和らいできた。


「その子は、もう大丈夫そうか?」

「ええ、命に別状はないそうよ。」

「そうか。」


 知らない声が聞こえる。無機質なあの頭に響く声とは違い、温かい。


 けれど、自分が知らない筈の言語なのが酷く恐ろしい。


 なぜ、僕はこの言葉がわかるのだろうか、それにまだ頭が痛い、あの声も響いているのがうざったかった。


 金髪に碧眼のかっこいい男性、おそらくあの人が父親で、最初に見えた黒髪に赤眼の美女が母親なのかな。


 神様には、見えないし僕の親だと思う…たぶん、となるとこれは転生?アメリカとか、だよね?



「なら、この子の名前は、ガルム、ガルム・ラドムートだ」


 子供のことなんてどうでもいいと考えていると思うほど、淡々と父親は言った。


(貴族だし、家族はどうでもいいのかな?仕事人って感じ。)


『ガルム・ラドムートと名付けられました。ガッザベル家は、代々犬または狼の名前がついており、利益を優先するのが、仕事だが、国に仕えていることを忘れるなと言う意味になり、フェン・リルムートは、この名前に…』


 そんな長文になるほど名前考えてたのか、うーん、台無し?

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