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モノたち狼

獣の大量発生。その恐怖と不安が波紋のように伝播していく


「どうなるのかなー」

不安げなユキの眉はハの字だ。


「食べ物は10日はもつよ。我慢すれば」

前世の記憶から水さえあれば人はなかなか死なないと思う。でも腹減ってると動けなくなるなー


「狩りのチームががんばってくれると思うけど、獣の数次第だね」


「そだねーユキもがんばる!しゅしゅしゅっ」


うん…無理だよ。口の効果音より実際のパンチ遅すぎるから


ん?僕になにができるか考えたとき、あまりにも今さらなことに気づく


「スープを温める能力ってなんだよ」

少年の記憶が教えくれたことを鵜呑みにして、全然自分で自分の能力について考えてなかった。死ぬほどの高熱をだしたことも関係あるのでは?


はは〜ん、さては火属性だな。


攻撃魔法の花形。戦隊のレッド、主人公にふさわしいではないか


確信に近い。僕は右手をパーにして前へ突き出した!


「ファイヤーボール!」


…何も起こらない。うん、知ってた

ゲームみたいな世界だったらなって儚い願いだ。予はチュートリアルを所望する!


ユキさん、僕を見ないで。いやミツメナイデマジデオネガイ…


手のひらを見つめる。力をいれてみる

うーん手から熱を出すのはたしかだな。鍬を握る手に熱をこめてみた

焦げ臭い。表面が焦げるくらいかー


こんな能力に頼ってたら獣に襲わて食べられてしまうだろう。それなら身体能力に任せて鍬をフルスイングしたほうがいい


ん?前世で剣使ったよ、俺。学校で

とも思ったが、頭を振る。槍しか置いてないなここ

木を切るのに斧もあるけど、剣は見たことない。

まだ子供の僕に武器を貸してくれるはずもないから、ベターチョイスとして鍬を武器として装備しよう。お前の名前は‘死神の鍬’だ


「お前ら作業に戻れー」


別の大人が間の抜けた声で言う。

まだ襲われるまでの猶予があるのか…

きっと夜の食堂で全体説明みたいなのがあるんだろう。


そして夜。食堂


1番大きくて顔が傷だらけでこわい人が真ん中で、その両隣にヒゲの長いおじさんとケガをして片腕を吊っているおじさん。早馬に乗って来た人がケガしている人かな?


真ん中の怖い人が太く大きい声で言う


「モノの群れが東の街道から近づいている。100以上はいるらしい」

「となりの集落の生き残りはほとんどいない」

「2日後にはここに来るかもしれない。その準備をする」


大人たちの士気は高い。戦闘民族おおめ

おう。とかいいながらこぶしを握ったり、テーブル叩いたり


モノは獣のなかでもメジャーな存在でいわゆる前世の狼だ。毛の色は紺色で毛皮は高く売れる


鉄砲なんかないから、武器を使って命がけで戦うしかない

子供たちのテーブルは静かだ。恐怖に震えるか、実感がないけど周りの空気にのまれているか


僕だけは別のことを考えていた

「7日後どころか3日で死にそうな件について」













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