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つきにけり

新しい朝が来た。ようやく頭がくらくらしなくなった


僕は奴隷で普段土地の開墾をしているらしい。孤児だったし、親はいない


気づいたら奴隷になっていた。不満を覚えるような思考回路持ち合わせるわけもなく


季節の巡りから考えると10歳くらいだと思う。周りに子供は少ない


労働環境は限りなく黒に近いグレー。稼ぎを貯めると奴隷から解放されるらしいけど、お金は見たことない


この集落の奴隷は土地を耕す、森を拓く、獣を駆除する、が主な仕事。子供は開墾の一択だが炭鉱のほうが稼ぎはいいらしい



でも朝晩2食出るし、冬以外はそんなに死ぬことないし、ここの生活にも慣れ始めたなーってときに高熱で生死をさまよったのだ。今は回復したけど


食堂へ向かう道すがら、後頭部をすぱーんと引っ叩かれた。

「おはよー!元気ー?心配したよー」


…言いたいことは色々あるが

「おはよ。もう大丈夫。ユキも元気?」


「うん!」


振り返る僕に笑顔で答える白髪の少女。目は赤い


髪はストレート。将来は美人さんだなーって今は思う



前世の記憶がそれはアルビノと告げる。僕と同じ6人部屋の奴隷だ


食事は雑魚寝大部屋の奴隷と一緒に食べるのだが、僕の秘密を知られてからユキは常に僕の隣りに座るようになった。その秘密とは…


僕はスープを温めることができるのだ!はい、拍手〜

ばれたのは湯気が出るほどスープ温めてしまったところを見られたから。完全に僕の失敗


もしばれたら冬なんか倒れるまでみんなのスープ温めなきゃだ。スープを温めるのも疲れるのだ


ユキには秘密厳守を条件にスープを温めてあげている。

( ゜д゜)ハッ!心配って、スープ係がいなくなるからじゃないよね…


僕みたいに不思議な能力を持つ者が6人部屋奴隷だ。その力が表れてなくても振り分けられるってことは判別方法があるんだろう


ユキがどんな能力を持ってるかは知らない。知りたいけど秘密なんだって


文句を言ってもしかたない。具の少ないスープとパンの朝食を終え、ユキといっしょに畑へ向かう


僕は子供とは思えない膂力で鍬を振るう。気づいたのだが前世より身体能力は高い


ザクザク掘れてなんか楽しい。食事の量を考えたら燃費いいなーと他人事のように感心してしまった


仕事休みになんとなくシャドーボクシングてきな動きをしてみる。おお〜シュシュシュって速い


試しにローキックとハイキックも。おおー頭で描いた理想的なフォームできるんか〜いきなり


いつのまにか近くにいたユキが笑顔で拍手している。

「すごいねー」


「おーい!」


なんだろ大人が走ってくる


「おーい!獣の大量発生だ!!」


なんだって!


「食糧も届かない。あと3日分で尽きる!」


なんだって!!


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