犬と少女
気にしても仕方ない
そう思うほど僕は楽天家だった
僕の頭がおかしくなったか
幻聴が聞こえたのか
答えなんかでないし
もし本当で避けられぬ運命でも自暴自棄になる気もない
3日後に死が訪れるとは限らないし
晴れた日だし部活も今日はない
買ったばかりのゲームが待っている
自然とはや足になる
もくもく目的地へ向かうさなか
騒音が空間を切り裂いた
プワーッ!!!!!!!!!!!
大型トラックのクラクション!
僕の前方には公園があり
子供たちが多いこの道はトラック侵入禁止のはずだが…
道の真ん中に子犬を抱く少女
僕はこれは間に合わないと思った
間に合わないはずだがなぜか別の思考が浮かんできた
そして…3日後に死ぬというお告げ?を思い出した
もし3日後の死が運命だったら今ムチャしても死なないかもしれない
最悪もし死んでも3日後に死ぬんだし
死ぬ前に善行のひとつでもやったるか!
不思議と足は動く
走る走る
速く疾く
僕は風になった
人生で最高の瞬発力だ!
だが飛び込まないと間に合わない
後先考えず両手で少女を突き飛ばした
少女と目が合った
おびえている
大丈夫だよ少し痛いかもしれないけど
声にはならないけど目で語っておいた
犬とも目が合う
おまえ黒目でかいな
ギギギーッ!!!!!!
!@#$%%%%$#@!!!!!!!
犬が吠えてた気がする…
……………………………
『あなたは死にました』
『魂の位が上がりました』
最期にはっきりと聞こえた
感情のまるでない声で