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1.とある掲示板にて。

 219

「えっと、投稿どころか閲覧もほとんどしたことがないんだけど……このスレ(?)で合ってるだろうか。

 とんでもない体験をしてしまって誰かに話したいんだけど、頭がおかしくなったと思われそうで。いわゆるオカルトってやつだ」



 225:219

「ありがとう。俺のことは、ええと……脳筋メガネとでも呼んでくれ」



 脳筋メガネ

「入学式の時にめちゃくちゃ可愛い子を見つけて、一目惚れしたのがすべてのはじまり。黒髪ロングに色白で、めっちゃ美少女。清楚な感じ。この子をRとする」



 脳筋メガネ

「俺は地方の大学に通ってて、幼なじみのAとMも一緒だったから、その二人とつるむつもりだった。ただ、二人は付き合っててさ。俺だけフリーなわけ。だから、二人とも気をつかって、俺のためにその子に話しかけてくれたんだ」



 脳筋メガネ

「一応スペックとか紹介しとく。

 A:茶髪でホストっぽい雰囲気のイケメン。一途。運動音痴で趣味は絵を描くこと。

 M:黒髪ショートカット。地味。趣味は御朱印集めとオカルト系の話を読むこと。あと実は格闘技やってる。

 俺:黒髪フツメン。めがね着用。頭良さそうって言われるけど実際は成績がヤバすぎて、大学にはスポーツ推薦で入った。

 R:黒髪ロング。色白。華奢。かわいい。かわいい」



 脳筋メガネ

「まずはMがRと友だちになった。それから俺たち4人で過ごすことが多くなって、一年ちょっと経ったくらいかな。ちなみにRにはめちゃくちゃ何度も告ってるんだけど、笑顔で無言スルーされてる。

 あ、そうだ。大事なこと忘れてた。Rは奇病にかかってるんだ。いつどこで寝ちゃうかわからないっていう、結構危ないやつ。実際に、突然眠りだしちゃうのを俺も何度も見てるわけで」



 脳筋メガネ

「――いや、ナルコレプシーではない……? と思う。いろいろ調べたんだけど原因不明なんだと。だから、R自身もつねに誰かと一緒に居られるのはありがたいって言ってた。かわいい」



 脳筋メガネ

「この一年でいろんなことがあったんだけど、今考えるとおかしいなあと思うことがあってさ……。俺たち4人は、よく地元の心霊スポットとか、廃墟めぐりとかしてたんだ。これは完全にMの趣味。

 AもMの影響でオカルトとか割と好き。Rはどう思ってるのかよくわからない。俺はマジで無理。なんかそういう場所に行くと吐きそうになるんだよね。だから毎回苦痛すぎるんだけど、怖がってたらRが心配してくれるから頑張ってる」



 脳筋メガネ

「ちょっとまとめて書いてきたので投下する。


心霊スポットに行くとさ、どうしてだかRは大体眠りに落ちちゃうんだよね。やっぱり夜は症状が出やすくなるのかもしれない。そういうときは、一通り巡り終わるまで、俺がRを背負っていくの。役得。ただ、不思議なことに、Rが眠る瞬間にはさ、絶対音がするんだよね。『ざくっ』って。


 どうしてそれに気づいたかというと、今日はR抜きで行ったからなんだ。今日は用事があるんだと。それならやめようかってAが提案したんだけど、ちょうど帰省してた中学時代の奴らもいるからとMが強行したんだ。


 今日の目的地はとある山荘だった。全員でワンボックスカーに乗り込んで向かった。運転は中学の同級生だった奴。ちなみに今回女子はMだけだから、俺的にはご褒美がないから、ぶっちゃけ行くか迷った。


 結論から言うと、山荘にはたどり着かなかった。


 カーナビの通りに進んだんだが、気づくと対向車が来たらすれ違えないくらい狭い山道に迷い込んだんだ。道路は舗装されてるんだけど、ガードレールのすぐ横は崖。マジで怖かった。


 ちなみにスマホの電波もない。もしここで崖下に転落したら、誰にも見つけてもらえないんじゃないかって考えるとぞっとした。


 そんなふうにオカルト関係なく命の危険を感じつつ、とろとろと時間をかけて山を登り、そのまま道なりに降りていく。


 でも、不思議な場所だった。山の中には建物が何もなくて、かといって頂上に展望台があるとかでもなく、入り口から登って降りていくだけだった。

 本当、なんのために舗装されてるんだろ、あの場所。


 で、最後にめちゃくちゃ古い感じのトンネルがあって、そこを抜けるときに吐きそうになったくらいかな。それで終わり」




 脳筋メガネ

「そして、ここからが本題。――今、窓の外になんかいる」




 脳筋メガネ

「ごめん、怖すぎるからか気持ち悪くなって吐いてたわ。……なんか吐いてる間にめっちゃ伸びてない?

 ちなみに外にいるのは、なんか髪の長い女の人。え、見た目? ちょっと見てくるわ」




 脳筋メガネ

「見てきた! 日本人じゃないのかなあ、とうもろこしみたいな感じの黄色いのがちょっとくすんだ感じの髪だ。目はマジでホラーっぽくて、黒く落ち窪んでる。服はなんかボロボロのドレスっぽい感じ……?」




 K介

「脳筋メガネ、おまえ、どこに行ってきた?」




 脳筋メガネ

「え? え? 誰?」



 K介

「早く答えろ」



 脳筋メガネ

「えー、なんかめっちゃヤバい人来たんですけど……。ここに書くのはちょっとなー。個人情報的に」



 脳筋メガネ

「ほえー霊能者的な人なんだ。ガチの案件にしか出てこないってすごいな。よかったよ信じてもらえて」



 K介

「K県S市T森だな?」



 脳筋メガネ

「え? え? は? マジでなに? 怖すぎるんですけど……あ、ちょっと待って。めっちゃ扉どんどんされてる……」


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