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マイホームダンジョン  作者: ニケ
第4章 ダンジョン編
203/222

魔石


 ユーナによる【魔石を食すと魔力放出量が大きくなるのでは?】

 という適当な言説に心をうごかされたセシルは魔石を食べる事を決意するが、手頃な魔石が手元に無かった。


「とりあえず。魔石は今度試してみるよ」

「そうだね。手頃な魔石無いしね。それがいいよ」

「あれ? ミツビオアルマジロの魔石どうしたんだっけ?」

『ちょっお兄ちゃん余計な事言わないでよ』

『あっしまった』


 セシルが魔石を食べようとするのを止めようと思っているのに、ついつい思い付いた事を喋ってしまう。


「あっそう言えば……どこだっけ?」

「内臓はマーモットの子供たちが食べていたよね?」

「あっもしかしてそのまま食べた?」

「なんだ残念」


 ヨトとユーナはホッとする。


『次魔石見付かるまでに食べるのを止める様に説得するよ』

『セシルが食べる前にマーモット達にサッと食べさせれば良いんじゃないか?』

『お兄ちゃん天才じゃん』


「また帝国語で何の話しているのさ」

「まっ、魔力の話だよ。専門的な話はまだ王国語じゃ難しくてさ」

「ふ~ん。まあいいけど」


 そんな話をしている間もライライがアンキロドラゴンの目を通って内臓を取り出してくる。

 内臓より目の方が小さいのでそれなりの大きさにカットして体内に入れて運び出す形だ。

 目からドロッと飛び出してくる様は中々にグロテスクだ。


「やっぱり内臓は柔らかそうだね」

「うん。食べれそうで良かったよ。あっライライ、食べ物を消化している内臓系は避けて欲しいな」

「ピー」「ピョー」


 アンキロドラゴンはつい先程まで人間を消化していたのだ。

 出来る限り避けたい。


「ライライちゃんそんな事まで分かるの?」


 話しながらもライライが取り出して来た内臓をマーモット達に分けていく。

 大人のマーモットが我先にとグイグイと顔を寄せて来る。


「あっほら、食べるのは子供達からだよ。――いや、僕が鎧トカゲの内臓なんて知らないからライライも分からないよ」

「じゃセシルさんのさっきの指示とライライちゃん達の元気な返事はなんなの?」

「とりあえず千切ってみて、中身がウンコかどうかで判断するんだと思うよ」

「なるほど~。消化したやつが漏れて来てもライライちゃん達の体内で分けて消化すれば良いのか」

「なあ、それより気になる事を言っていた気がするんだが、お前が知らないからライライも分からない? って事はライライの知識ってお前の知識と同じなのか?」

「多分それで間違ってないと思う。ずっと一緒にいて分かった事だけど僕が知っている事は理解してくれるし、逆に僕が意味を知らない言葉や理解出来ていない事は指示しても出来なかったからね」

「知識も魔力パスで繋がるのかー。めっちゃ便利だね。魔力パス」

「僕はマーモやライライの考えている事は雰囲気しか分からないけどね」

「一方通行なんだね」

「……一方通行って言い方はちょっとヤだな」

「あれちょっと待って、あそこにあるの魔石じゃない?」


 ユーナが数メートル先の地面を指さす。


『ちょっユーナ余計な事言うな』『あっごめっ』

「魔石?」


 ユーナの指先を辿っていくと薄暗く雨が降り注ぐ雑草の中に石ころの様な物が複数転がっていた。

 

「あっほんとだ。あそこにある」

「おいっあれは帝国の冒険者か魚っさんの魔石だろう!?」

「よしっ」


 セシルは魔石を拾いに近付いて行く。


「いやいやいやいや「よしっ」じゃないよ! 魚っさんはまあ最悪良いとしても人間の魔石の可能性もあるんだぞ!? サイズ的にも見分け付かないだろ?」

「む……たしかに人間のは気持ち悪いな」

「そうだろう!? 人間のはダメだ。やめとけ。ライライかマーモット達に食べて貰え。ユーナも喋る前に一旦考えろ」

「……ごめんつい」


 先ほどヨトに注意したことをそのまま返されてユーナは項垂れる。


「お兄ちゃんと同レベル……」

「おいっ」


「ねぇ頑張ったのはライライ達だからこれもライライに食べて貰った方が良いかな?」


 せっせと内臓を運ぶライライも話を聞いていたのか、滑るように魔石を取りに行くとマーモットの子供たちに配っていく。

 マーモットの大人たちが羨ましそうにそれを眺めているが無視だ。


 子供達はナー ナーと喜びながら口に運ぶ。

 ギリギリ貰えなかった大人サイズになり切れていないマーモットが牙を剥きだしにして奪おうとうするが、マーモによるビンタですぐ大人しくなった(物理的に)。


「普通に魔石食べているね。最初だけカリッと音がしているけどその後はほとんど噛んですらない」

「やっぱり喉につっかえたりしないんだな」

「そんな事より気になる事がるんだが」

「何?」

「よく考えたらさ、人間の魔石の味を覚えてしまったら俺らを襲ってくるようにならね?」

「あー、一度人間の味を覚えた魔物は積極的に襲ってくるって言うもんね」

「……」

「マーモット達は従魔じゃないしね」

「……やばくね?」

「流石にマーモの指示に従ってくれると思うよ」

「それなら良いんだけどさ……」


 ヨトとユーナは、牙を剥きだしにしガツガツとアンキロドラゴンの内臓を食べているマーモット達を見て背筋が寒くなるのであった。





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