Vol.9 GB
《第2話 GB》
Nがアースパークでロジャースに罵倒されている頃、錦本はタバレス国立大学の教授、マレーの研究室にいた。
「錦本さん、こんにちは。今日から指導するマレーです。ああ、どうぞ座って」
「錦本さんも、転生してきたんですね。僕も地球から転生してきたんですよ。ベネズエラって国知ってます?そこのスラム街に家庭の都合で住んでたんですよ。しかもスラム街っていうくらいですから、治安がめっちゃ悪いんですよ。そこで当時大学生だった私は射殺されたんですよ。で、転生されたあと、
だから、ここに来てからその犯人の名前も知ったんですよ。えっと何ていう人だったけなぁ。そうだ George Bennettだ。地球でそいつが捕まったかは知らねらねぇけれど、僕はその人を許すことはできねぇよ」
マレーは自分の過去についてその後30分ずっと話し続けた。どんな仕事をしていたのか。タバレスでどんなことをしているのか。地球では、日本が好きで日本語の勉強をしていたこと。タバレスで大学を卒業し、生体学者をやっていること。また、ジェンキンス王に直接勧められ魔術師をやっていること。最後にタバレスに来て10年経つということ。錦本も飽きてしまっている。
「あっ、話長くなっちゃったな。で、君はどうしてこうなっちゃんたんだい。僕は大体知っているけど、細かいことは分からないから、自分の口から説明してもらえる?」
「言いたくないです」
錦本は嫌そうな顔をしてそういった。その時、ナゼかマレーの堪忍袋の緒が切れた。
「はっ?!なんで言わねぇんだよ、殺人犯。あー。言っちまったよ。お前の口から言わせようとしてたのに。まあ、しょうがないよな、事実だから。ハワイで撃たれそうになって銃乱射したんだろ?俺、間違ったこといってないよなぁ?あと、正直、お前の教育したくないんだよね」
錦本と顔を合わせて30分くらいしか経っていないのだが、マレーはもう本音を吐いた。
そして急に逆ギレされて機嫌が悪くなった錦本も、彼女自身の感情をコントロールできなくなって、
「もう帰ってもいいですか」
そしたら、マレーが呆れ顔でこう返した。
「ちっと待て。あのさ、一応ね。僕は君の教育係なんだ。真面目にやらないとアーロン様に怒られちゃうから、困っちゃうんだよね」
「知りませんよ、そんなこと」
「分かった、分かった。じゃ、君にいいものをあげるから許してくれ。はい、銃。君の大好きなものだろう?」
さっきまで殺気に溢れていた表情が餌をもらって喜ぶ犬のような笑顔溢れた。その笑顔は骨格があらわになりすぎて見るに堪えない。
その表情を一言で説明するなら、世界で最も醜い動物・ブロブフィッシュよりも気持ち悪いくらいというところだろうか。
「えっ、これもらってもいいんですか。結構いいヤツじゃないですか」
「構わないぞ。でも、俺には銃口を向けるな。そして必ず俺の指示を聞け。本当の四天王になるにはまずそれからだ」
「はい」
「いい返事だ。そしたら、錦本。今日から君はGBだ」