Vol.6 アーロンと四天王
《第2話 アーロンと四天王》
旧王国病院の444号室。そこには2人の女と2人の男がいる。しかも、彼らは地球で死んだはずだし、もちろん顔見知りということでもない。そういった訳で、死の444号室には不穏な空気が漂っていた。
そんな時、「コンコン」とノック音が聞こえた。4人全員が戸惑ったが、4人の中の一番年長の男が「はいどうぞ」と言った。すると、4人の屈強な男たちと明らかに違うオーラを放っている身分が高そうな青年が入ってきた。たぶんその男が、皇王の弟・アーロンだろう。
「どうも、アーロンだ。ちなみに私は皇王の弟という身分だ。今日は私から話したいことがあってここに集まってもらった。君たちの貴重な時間を奪ってしまい、本当に申し訳ないと思っている。というか、あれか。君たちは死んでいるからそんなことは関係ないか。四天王の住野君、南原君、山口君、錦本君」
「四天王ってどういうことですか?それと何で俺の名前を知ってるんだ」
年上の男が言った。
「わかった。状況を理解していない君たちに順に説明しよう。ここ、魔法の国、タバレスには言い伝えがあってな。今年、つまり2053年にはタバレスの未来を変える4人、四天王が地球とやら星から召還されるというな」
「そんな馬鹿な」
「住野くん。なんだその態度は。皇族に対しての態度じゃないだろう。君は死にたいのか?ちゃんと説明してほしいなら黙って話を聞け」
住野は口を閉じた。
「にしても、四天王のクオリティがこんなに低いとはな。何でこんな底辺みたいな奴等なんだよ。本当に君たちは救世主なのか。失望したよ。顔は真っ黒だし、ブスとしかかけてあげる言葉がない。地球という星はもう末期なのかね」
アーロンは四天王ないし地球まで軽蔑したが、そのまま話を続けた。
「次になぜ俺が貴様らの名前を知っているかだ。これをな、その言い伝えの書に貴様らの名が書いてあったんだ。なぜ、お前らなのかは知らんが、死ぬ運命だったんだな。それ以上のことは俺でも知らない。まあ、とにかく、四天王と言われてる貴様らにはこのタバレスのために重要な任務をしてもらいたい。そして、この任務を果たした優秀な者は、もとの世界に戻してやろう。まあ、地球は末期だろうから戻しても無駄だろうけど」
「もし、任務を果たしたら戻してくれるんですか」
錦本はアーロンに聞いた。
「うーん。魔法の国タバレスだからそれは可能なことではある。が、命がけの任務だぞ」
口がちょっと悪いことで有名なアーロンはそう言い残して立ち去った。ただ、アーロンがつれてきた4人の屈強な使者はまだその場にいた。