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バッドエンドは異世界で  作者: なみだ
Chapter 1 バッドエンドへのカウントダウン
5/6

Episode 4 弱さの理由

私生活が少し忙しくて、投稿が遅れました。ごめんなさい。

 訓練場につくとユリウス先生が待っていた。アランが相当暴れたのか、的や木刀が見るも無惨なことになっていたが、先生は特に傷も何もなかった。やはり藍玉までいくと実力は顕著に表れるらしい。先生を眺めていると少し苦笑いをしたように話し始めた。


「まずは、君を何と呼べばいいかな。」


先生は丁寧な口調で聞いてくる。やはり、家名持ちは村の人たちとは違う。


「村のみんなと同じようにウィザーと呼んでいただければいいですよ」


「なるほど。ちなみにその名前の意味を理解した上で受け入れているのかな」


「いえ、まぁ、はい。知っていますよ。もちろん。」


こんなに直球に聞かれるとは思わず少し驚いた。ウィザーという名は魔法を使えないものへの蔑称である。ウィザー・キングズ。それはこの地に昔存在していた国の王、そして魔女の夫であり、最厄と魔法社会を招き入れた愚王とされている。この魔法社会とも言える現在の状態の基礎を築いたとも言えるが、当時の国を混乱させ滅ぼすほどまでの愚策を重ねたことで魔法が使えない者は無能という偏見を生み出すこととなった原因の一人である。


「そうですか。分かりました。」


それは哀れみを込めた声だった。表情は変えずとも声色は少し沈んでいる。だが、それも一瞬で元の様子に戻り、審査の確認に戻る。


「では、魔法が使えないということで大丈夫でしょうか。」


「はい。何一つ使えません。」


「では剣術の審査に変更しますね。」


「それでよろしいのでしょうか?」


「はい。大丈夫ですよ。」


そして剣術の審査に入ったわけではあるが、ユリウス先生の剣術は洗練されていた。決して自身の筋力に頼ったものではなく、相手の剣筋を見切った剣術。その剣は常に僕が振った剣の腹をはじき続けていた。通常優れた魔法使いは剣術を得意としないものが多い。それは才能の有無というより自身の魔法の向上にかけられるわずかな時間を剣術という途方もない時間をかける技術に費やすことを良しとしないという考えを持っているからだ。にもかかわらず、これだけの技術を持っていることは非常に稀なのである。

 彼の剣先が喉元に寸止めされた後、怪訝な顔をしていた。少し不思議な顔をした後、彼は剣を下げた。


「もしかして、手加減していますか。」


え、と口に出してしまった。突然の質問に戸惑いを隠せなかったのだ。実際に僕は全力を出していた。額や首筋には汗もかいているし動悸も上がっている。


「いえ、僕は全力を出していましたが、そう見えたのなら申し訳ありません。」


そう答えるとまた先生は考え始めた。いや、しかしなどの独り言を発しているのはやはり教師という職についているからなのだろうか。少し経ってから、彼の瞳孔が少し開いた後、先生は剣を落とし僕の肩をつかんだ。僕は肩の痛みに困惑で一瞬気づかなかった。


「もしかして君は呪われているのではないか。」


その顔は驚愕に包まれていた。と同時に興奮さえしていた。焦る僕の表情を見て、先生ははっと気が付くと僕の肩から手を放し、謝罪していた。


「いや、申し訳ない。まさか本当に呪われている可能性があるとは思いませんでした。」


「それはいいのですが、呪いとは何ですか?」


この先生の言うことだ、きっと村人が言っている呪いという言葉とは違うのだろう。しかし、どんな意味であれ自分が呪われていると言われて気分がいいものでもないが。


「ああ、そうですね。端的に言えば、君が自分自身の力を弱めている原因が呪いと呼ばれるものであるということです。そしてそれは現在のどの国のどんな力を持つ魔法使いにも使うことができることができません。唯一人の存在を除いては。」


僕がその存在に気づいたのを察したのか先生はその名前を告げた。


「人類史上最強の魔法使い。魔女です。」


ウィザー・キングズ

 主人公が住む地にかつて存在したキングズ王国の最後の王。魔女の夫であり、愚王とされている。魔女が死んだ後その頃流行った奇病により病死した。彼が死亡した後、新しい王国の王として、魔法が使える者が王として新しい王国を作り上げた。

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