「掉尾の函」<エンドリア物語外伝79>
昼食を終えて店番をしていた。気温は23度。窓の向こうは青い空。
眠くならない方がおかしい。
カウンターに立ってウトウトしていたオレは、扉の開く音に目が覚めた。
「………いらっしゃい……アーロン隊長、どうかしましたか?」
ニダウ警備隊を務めているアーロン隊長が大股でオレに歩み寄った。
「箱が開いた」
「何の箱ですか?」
「お前が詰め所に置いていったあの箱だ」
「詰め所………あ、あの箱が開いたんですか?」
店に持ち込まれて買い取った箱型の魔法道具だ。魔力を持つ人間の視覚を狂わせるため、ムーとシュデルが現実とは違うものを見ることとなり、巻き込まれたオレは酷い目にあった。
同じ古魔法道具店を営む魔術師のロイドさんに封印の札を作ってもらい能力を封じたあと、ニダウ警備隊の詰め所の地下牢に保管してもらっていた。
「取りに来い」
「わかりました。念のため、箱と中身に貼る封印の札を作りますから、少しだけ時間をもらえますか?」
「5時までには取りに来られるか?」
「大丈夫です」
「忘れるなよ」
出て行こうと向きを変えたアーロン隊長に、オレは慌てて聞いた。
「箱の中身は何でしたか?」
札が貼れないものだと、別の封印アイテムを用意しなければならない。
「箱だ」
「オレが聞きたいのは………」
「中身も箱だ」
「箱が箱に入っていたんですか?」
「透明な箱だ。中身にうっすらと色がついていて、それが不定期に動いて見ていて気分が悪くなる」
「色は、色は何色ですか」
シュデルが聞いた。
食堂から店に続く扉の前にいた。入ろうとして、オレ達の話を聞いたらしい。
「どうした?」
アーロン隊長が聞き返した。
「動いている色は何色だったのですか?」
「何色と聞かれても」
アーロン隊長が腕を組んだ。
「立方体の透明ゼリーの中央付近に薄い色の帯のようなものが動いている感じだ」
シュデルが駆けてきた。カウンターの下にあるメモを取りだした。ペンを走らせる。
「これではありませんか?」
帯がねじれたような図形が描かれている。
アーロン隊長が差し出されたメモを見た。
「似ているな」
シュデルがメモを落とした。
「大変だ…………」
数歩下がると、奥の扉に飛び込んだ。
「ムーさん、ムーさん、大変です」
階段をあがっていく音がする。
「【掉尾の函】が見つかりました」
扉を開く音が響く。
「世界が、世界が終わってしまいます!」
「【掉尾の函】しゅ」
箱に収まっている、透明なプルプルを短い指が突っついた。
オレは警備隊の詰め所に行き、ムーに書いてもらった魔法陣の上に箱を乗せ、店まで持って帰った。
外側の箱は、上部の板が外れた状態だ。受け取るとき、板をはめようとしたのだが、はめることはできなかった。アーロン隊長の話だと『箱を落とした』らしい。警備隊の隊員が牢の掃除をしているとき、床に箱を落とた。拾い上げてみると箱の上部の板が外れ、中身が床に転がっていた。中身を箱に詰めて、蓋をしようとしたが板がはまらないので、オレに連絡したらしい。
「また、お前か」
腕組みをしたアーロン隊長がオレをにらんでいる。
「えっ?」
「そうです。店長の【不幸を呼ぶ体質】のせいです」
シュデルもオレをにらんだ。
「待てよ。この箱を買ったのは誰だ?お前だろうが」
「僕が店に入ったときには、カウンターには店長がいて、箱は既にカウンターに乗っていました」
「原因はウィルだな」
「違うだろ。この【なんとかの箱】が原因なら、オレじゃなくて、この箱を作った奴が悪いんだろ?」
「【なんとかの箱】じゃないしゅ。【掉尾の函】しゅ」
ムーがまた透明な部分を指で突っついた。
「【掉尾の函】とはなんだ?」
アーロン隊長が聞いた。
「簡単に言うと、世界を壊すアイテムです」
「簡単すぎるだろ」
オレが文句を言うとシュデルが投げやりな態度で話し始めた。
「魔法協会本部には問題のある魔法道具が多く保管されています。そこに【世界に終わりをもたらす球】が置かれているのです。世界大戦の前に作られたもので、400年ほど前から保管されており、詳細については発表されていません。【世界に存在する危険魔法道具辞典】によると直径1メートルほどの透明な球体だそうです。透明の球体の中に古代魔法文字が浮いていて【掉尾の函】を球体に差し込めば、世界が終わると書かれているそうです。この箱は透明な球体の内側に浮いている魔法文字で説明されている【掉尾の函】と、特徴が一致します」
「ちっぽけな球体で、世界が壊せるのか?」
「門外不出の魔法道具です。詳しいことはムーさんにでも調べてもらってください」
「魔法協会にある透明の球体の起動アイテムが【掉尾の函】なんだな?」
「そうです」
「400年以上前の品物が、なぜ今でてきたんだ?」
「それは予想がつく」
アーロン隊長が箱を指した。
「これを売りにきた女性には、魔法協会の監視がついていた。ニダウでも監視活動をするとエンドリア国軍を通じて警備隊に連絡があった」
「犯罪者だったのか?」
聞いたオレを、シュデルがにらんだ。
「違う。マグムブの貴族だ」
アーロン隊長の言葉にシュデルがうなずいた。
「そういうことですか」
「なるほどだしゅ」と、ムー。
「それならば、しかたないよな」と、オレ。
オレに3人の視線が集まった。
「店長、嘘はいけません」
「だしゅ」
「お前がマグムブを知っているはずがない」
アーロン隊長が断言した。
ムーとシュデルもうなずいた。
3人が言うように、オレはマグムブを知らない。だが、どこの国か予想することはできる。
箱を持ってきた女性は淡い金髪だった。服は絹の上物。レースまでついていた。
ルブクス大陸の東側は髪の色が濃い人が多い。黒とか濃い茶色だ。金髪の場合は西側に住んでいる可能性が高い。生活に窮している様子だったので旅費を考えれば、エンドリア王国に近い国だ。絹の上物を手に入れられる国は大陸の東側には少ない。財政の豊かなラルレッツ王国か、シェフォビス共和国が有力になる。だが、シェフォビス共和国とは考えられない。シェフォビス共和国は、華美なデザインを好まず、北の地なので厚手の布のドレスを着る。ラルレッツ王国か、ラルレッツ王国周辺の国になる。ラルレッツ王国は魔術師の国だ。魔術師の一般人への偏見は激しい。ドレスを着ていたから一般人だと決めつけられないが、女性は魔術師には見えなかった。そうなると、ラルレッツ王国周辺の国で豊かな国になる。
「マグムブというのは、レスーウ公国の都市だろ」
オレは断言した。
レスーウ公国とは、ラルレッツ王国の隣にある小さな公国だ。金鉱があることから財政が豊かな国だ。
「店長、惜しいです」
「外れしゅ」
「どうやって目星をつけたのがわかる回答だな」
アーロン隊長が鼻先で笑った。
シュデルが微笑んだ。
「店長、マグムブというのは、マグムブ公国です」
「国の名前かよ!」
「地理の勉強もされたほうがいいと思います」
「ルブクス大陸に国がいくつあると思っているんだよ。辺境の小さな国まで覚えられるか!」
「行ったしゅ」
ムーが言った。
「ウィルしゃん、ボクしゃんとマグムブ公国に行ったしゅ」
「行った?マグムブ公国に?いつだ?」
オレの記憶にはない。
「そう言えば、ムーさんに行ったことがあると聞いたことがあります。僕が桃海亭に来る前です」
「いつ、行ったんだ?」
記憶のあちこちを探したがマグムブ公国という単語に覚えがない。
「あれしゅ。【遺跡食いの町】しゅ」
「【遺跡食いの町】…………おい、地下のあれか?」
「あれしゅ」
「あれかよ!」
シュデルが期待に満ちた目をした。
「お2人はマグムブ公国に、何が目的で行かれたのですか?」
「違うしゅ」
オレが返事するより早く、ムーが言った。
「また、迷ったんですか?」
シュデルがオレを非難の目で見た。
「方向音痴なのは、オレだけじゃないだろ」
「そう言えば、ムーさんも方向音痴ですね」
「地図が悪いしゅ」
「わかりました。迷って、マグムブ公国に行ったのですね?」
「違う」
「違うしゅ」
バンとテーブルが激しい音を立てた。
両手で叩いたアーロン隊長が低い声で言った。
「マグムブ公国に行った時のことは【掉尾の函】に関係するのか?」
「しません」
「それならば、この【掉尾の函】に関する問題を………」
「しないけど、するしゅ」
ムーが話に割り込んだ。
「話せ」
アーロン隊長はオレに命令した。
「1年半くらい前に、ムーが金鉱の埋蔵量の調査を頼まれてオレと2人でレスーウ公国に行ったんです」
「それで店長はレスーウ公国を知っていたのですか。地理に弱い店長にしては珍しいと思ったのです」
「その帰り、道を歩いていたらムーが穴に落ちたんだ」
「また、よそ見をしていたのですか?」
「いや、いきなり地面が割れて穴が開いた」
テーブルがまた、バンと叩かれた。
「短く話せ。短くだ」
オレはレスーウ公国でムーが穴から落ちたところから話を始めた。
「地面に穴が開いて、ムーが落ちて、穴をのぞいたら水が流れていて、ムーが岩にしがみついていた。ロープを垂らして降りたんだが、助ける前に水に流された。しかたないから、水に飛び込んでムーを捕まえたが、水の流れが速くて、かなり流された。這い上がった場所は真っ暗闇の地下空間。ずぶぬれだったので、泣く泣く使い捨ての発光球で周りを照らした。古代遺跡の中だった。もしかしたら、古代の魔法道具を手に入れられるかとムーと二人で遺跡を回ったが、何もなかった。壁も床も壊されていて、洗いざらい持ち去られたあとだった。遺跡の外側を歩いている上に続く道が見つかり、あがったら扉があり、そこをでると古い屋敷が建ち並んでいた。オレ達はその町を出て、ニダウまで歩いて帰ってきた」
【掉尾の函】を売りに来たが婦人が、あの町の住人なら納得できる。年代を経た豪華な屋敷が並んでいた。だが、それらの屋敷は、ろくに手入れがされていなかった。
奇妙な町にオレが困惑しているとムーが教えてくれたのだ。ここは【遺跡食いの町】だと。最初は食料を東西に運ぶ街道の脇に作られた小さな宿場町だった。400年前ほど地下に遺跡が見つかった。町は遺跡にある財宝を持ち出し保管。それらを売って巨万の富を手に入れた。400年で蓄えを使い尽くし、ここ数十年、住民は次々に町を離れていき、寂れる一方だそうだ。
「その話のどこに【掉尾の函】の関係があるのだ?」
アーロン隊長が苛立たしげに言った。
「なかったしゅ」
「何がなかったというのだ」
「宝物しゅ」
そう言ったムーは、外箱をひっくり返した。透明なゼリーのような立方体が、外箱からテーブルに転がり出た。プルプル震えているが、形は崩れない。中には薄い帯のような物が、ユラユラと動いている。
アーロン隊長がオレを見た。
意志疎通に障害が発生しているらしい。
「ムーが言っているのは、『地下遺跡に魔法道具がひとつもなかった』ということです。オレも一緒に見回りましたが、金目の物は欠片も残っていませんでした」
「マグムブ公国の住人が持ち出して売ったのだろう。だから、本体が魔法協会にあるのだ」
「そうです。400年前にマグムブ公国の住人は遺跡から魔法道具を持ち出しました。シュデルの話が正しければ【掉尾の函】の本体は、遺跡が見使っても間もなく魔法協会に渡っています。本体を手に入れた魔法協会は、安全のために起爆装置の【掉尾の函】の行方を調べたはずです。そして、見つけた」
「それはおかしいだろう。見つけていたなら、魔法協会が保管しているだろう」
「なぜ、魔法協会が【掉尾の函】を手に入れようとしなかったのかは、オレにはわかりません。ある場所はわかっていた。だから、売りに来た女性に監視がついていたのです」
「話が迷走している。元に戻すぞ。宝がなかったことが【掉尾の函】と、どう関係している」
シュデルが一歩前に出た。
「ムーさんの言いたいことを、店長が誤魔化しているのです。ムーさんは『遺跡に宝物がないことは店長と歩いて確認した。店長が遺跡を歩き回ったから、桃海亭に【掉尾の函】がやってくることになった』と言っているわけです」
「つまり、ウィルがまた【掉尾の函】という”不幸を呼んだ”と言いたいのか?」
ムーが、ウンウンとうなずいた。
アーロン隊長がシュデルを見た。
「苦労するな」
「はい」
シュデルがうなずいた。
「この【掉尾の函】はどうするしゅ?」
ムーはまた透明な立方体を突っついている。
「ムー、こいつは本当に【掉尾の函】なのか?」
「ここに書いてあるしゅ」
透明なゼリーの中で動いている帯のようなものを指した。
「こいつは文字なのか?」
ムーがうなずいた。
「魔法文字で箱の名前と使用方法が書いてあるしゅ」
「難しいのか?」
「簡単しゅ」
「なんとかなるか?」
「なるしゅ」
「わかっているな?」
「バッチしゅ」
「ということで、【掉尾の函】をどうするのか、決定しました」
アーロン隊長が緊張した面もちでオレを見ている。
「魔法協会に売ります」
アーロン隊長が一瞬停止した。次の瞬間、テーブルをバンと叩いた。
今日、3回目だ。
「本体と起動システムを揃えて、どうする!世界が破滅するかもしれないんだぞ!」
「女性には魔法協会の監視がついていました。収納していた箱が割れて【掉尾の函】が出てきたことは、もう魔法協会本部に連絡がいっているはずです。すぐに買い取りにきてくれます」
「本気で売るつもりなんだな?」
「店長、危険です」
シュデルが青ざめている。
そのシュデルにオレは言った。
オレには世界の破滅より喫緊の課題があったのだ。
「売った金から、金貨20枚を金庫に入れる」
一呼吸おいてから、叫んだ
「残りの金で、ベーコンとソーセージを山ほど買うんだーーー!」
「だしゅーーー!」
「【掉尾の函】が発動したため、魔法協会の魔法文字の研究棟が水に浸かって、しばらく使えなくなったそうだ」
不機嫌を顔に張り付けたアーロン隊長がオレに言った。オレが【掉尾の函】を魔法協会に売って1週間ほどのことだった。
「説明しろ」
「ムーが簡単に発動させられると言っていましたよね。魔法協会は、このことを知っていて揃えなかったのではないかと、オレは考えたのです」
「魔法協会は【掉尾の函】を手に入れると、発動の危険があると思っていたということか?」
「はい、ムーの話では魔法文字さえ読めれば、初心者でも簡単に発動させられるそうです。保管を厳重にしても、奪われてしまえばゲームオーバーです」
「今回の水害が【掉尾の函】が起こした世界の破滅だというのか?」
「【掉尾の函】が起こしたのは間違いありません。ただし、本来の【掉尾の函】で起きる水害は今回の数千倍の規模でした」
「ムーか」
「はい、ちょっといじってもらいました。魔法協会も【簡単に世界に破滅をもたらすことのできる魔法道具】の扱いに困っていましたので、買い取り料金にオプションとしてプラスさせていただきました」
ケチな魔法協会本部が、珍しくオレの言い値で金を払った。よほど、困っていたのだろう。
「それならば、魔法協会が本体に壊せば済んだだろう」
「本体の破壊ができなかったから、いままで【掉尾の函】を回収せず、監視をつけていたのではないでしょうか?ムーはあれでも天才ですから」
アーロン隊長は少し考えた。小さくため息をついた。
「そういうことか。ウィル、考えたな」
「何を言っているのかわかりません」
「肉を何日食っていなかった?」
「10日です」
シュデルが同情で【掉尾の函】を買ったせいで、桃海亭の財政は業火に包まれていた。肉がなくなった→パンがなくなった→野菜がなくなった→豆がなくなった。箱が壊れて【掉尾の函】が現れた日の朝食は、塩水だけだった。
「今回は見逃してやる。二度とするなよ」
扉を荒々しく開けると、アーロン隊長は店から出ていった。
奥の扉から、ムーがひょいと顔を出した。
「バレたしゅ」
「ここは古魔法道具店で【掉尾の函】は古魔法道具。売って当然。問題なしだ」
断言した。
シュデルがムーの後ろから、顔を出した。
「アーロン隊長、気づいていますよ」
「いいんだよ。魔法協会だってわかっていて買ったんだ」
「水没は予定外しゅ」
「魔法協会の保管方法に問題があるんだ。オレ達に責任はない!」
金にするために【掉尾の函】が発動した時、出現した魔法が弱くなるようにして魔法協会に渡した。危険度が下がって、魔法協会は安心したはずだ。すぐに盗まれて、使われたのは魔法協会の落ち度だ。
「魔法協会からは、【掉尾の函】が起動アイテムとして作動しないようにして欲しいと頼まれたんですよね?」
「いいか、シュデル。本体の方を壊せるくらいなら壊しているはずだ。壊せなかったから、いままで残った。オレ達が【掉尾の函】を起動させないようにしても『いつか誰かが、別の【掉尾の函】を作る可能性がある。作らせないためには、発動を弱くした【掉尾の函】を存在させた方がいい』、そう言って魔法協会を説得したんだ」
「それで、店長の本音は?」
「1銅銭でも多く、魔法協会から金を巻きあげる!」
別の【掉尾の函】が作れるとは思わない。作れたら、すでに作っているはずだ。だが、作動できなくなるだけけだと、桃海亭に入ってくるのは【掉尾の函】の破壊料金だけだ。【掉尾の函】を買わせることで、桃海亭には金がガッパリ入ってきた。
鼻息の荒いオレを横目に、シュデルがため息をついた。
「魔法協会が、簡単に許してくれるとは思わないのですが」
3日後、水没した研究所の修理代の請求書がが届いた。
オレは即座に請求書をカマドに投げ入れた。
請求書はなくなったが、魔法協会の取り立てはなくならなかった。魔法協会は貧乏古魔法道具店に血も涙もない取り立てを行い、桃海亭から金貨は消えた。
そして、今日の朝食。
昨日、桃海亭の3人で、キケール商店街の雑草を取りをした。商店街の店の人には『いつもお世話になっているお礼です』と笑顔で答えた。
「苦い」
「健康を維持するには野菜は必要です」
「野菜じゃないだろ」
「食用できる草を選んであります」
雑草が浮いた塩スープ。
初夏のエンドリアは、緑が次々と芽吹く。しばらくは『野菜』に困らなくてすみそうだ。
ムーが顔をしかめながら飲んでいる。
「【掉尾の函】の性能、強くするんだったしゅ」
洪水で水浸しになった世界を思い浮かべながら、オレは苦いスープをすすった。