居場所
ひろむには荷物とよべるものが本当に少ない
大きめ厚手のバスタオル2枚
小さなタオル3枚
くつ下も薄手のものが3組、あとはパンツ
服はたまにどこかから送られてくるもののうち
先に年長の子どもたちに1通りいいのを
抜かれたあとの残りかすのものばかり
そんなだから気にいったものはないのだが
ものを大事にするひろむの性格からか
すべてきれいに折りたたまれてはいる
あとは生活用品が少々とA5サイズの2つ折にされた
紙の束をコンビニ袋につめたもの
それとたまにもらう硬貨をその都度使わず
ためておいた黄色い電気ネズミピケチューの
貯金箱
これら全部いつかゴミ置き場に出される直前に
救出してふとん置き場のすみに隠しておいた
ひろむの体躯に対してしょうしょう大きすぎる
リュックサックにつめこんで
『さぁいくか...』
時刻は真夜中2時。
他の子どもたちはみんな熟睡してる
あとは大人たちだが.....
おそるおそる廊下を足音をけしながらすすむ
ゴールの勝手口へむかう道は園長の眠る部屋に
建具ごしに隣接している
「みすでぃえくしょんだ。気配をけしきるんだ...」
ひろむはいつも見ていたイケメンしか出てこない
技バトル系バスケアニメでおぼえた言葉を
呪文のようにくり返しながら慎重にすすんだ
築40年の床がきしむたび心臓をつかまれるような
思いをおぼえながらもどうにか勝手口に
たどりつき....
カチャッ
「ふぅ」
1人ですう外の空気は自由の匂いがした




